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アプリケーション戦略の現状:適応型アプリケーションの実現

Kara Sprague サムネール
Kara Sprague
Published March 03, 2021

今日の世界は、1年と少し前の世界とは、さまざまな点で大きく違う気がします。パンデミックは、私たちの働き方、学び方、人とのつながり方など、生活のあらゆる面に影響を与えています。そのため、本日発表された第7回『アプリケーション戦略』年次レポートの結果で、COVID-19が世界中を席巻する前にすでに動き出していたデジタル変革の取り組みの劇的な加速と比べると、それほど大きく変化していないことに私は驚いています。

また、このレポートの結果が、アプリケーションが環境に応じて適応できる機能を備えた適応型アプリケーションというF5のビジョンと密接に一致していることも注目に値します。これにより、企業は、顧客を魅了し、顧客の安全を維持し、ロイヤルティを高める、優れたデジタル エクスペリエンスの提供に専念できます。今年のレポートの調査結果をもとに、2021年に世界中の企業が適応型アプリケーションの実現に向けてどのように取り組んでいるかを見てみましょう。

アプリケーションをモダナイズして、クラウドやエッジに拡張

顧客が期待するデジタル エクスペリエンスを適切に提供するために、回答者の77%がアプリケーションをモダナイズしていると報告しています。レガシー システムが絶えず変化するビジネス条件に迅速に適応できない場合、このモダナイゼーションのプロセスが必要になります。今年の回答者のほとんどは、従来のアプリケーション コンポーネントと最新のアプリケーション コンポーネントを結び付けるものとしてAPIを使用しています。モダナイゼーションの取り組みが続く中、これまで以上に多くの組織(87%)が、最新のアプリケーションと従来のアプリケーションのアーキテクチャにまたがるアプリケーション ポートフォリオを管理しています。

また、このモダナイゼーションの取り組みに伴い、組織はマルチクラウドの定義をエッジへの展開を含めるものに拡張しています。複数のクラウドおよびエッジ ロケーションにまたがるコンテナ内に配置されたモジュール型アプリケーション コンポーネントをサポートすることで、スケーラビリティを向上させ、レイテンシを低減し、カスタマ エクスペリエンスを強化することができます。回答者の4分の3以上(76%)が、アプリケーションの展開、パフォーマンス、およびデータの可用性に関連するメリットを得るために、エッジをすでに使用しているか、または使用する予定があると回答しています。

世界クラスのエンドツーエンドのアプリケーション セキュリティを実装

2021年版のレポートの結果によると、クラウドとSaaSの導入が加速していることから、セキュリティに対するマルチクラウド アプローチの必要性が高まっていることが明らかです。クラウドとエッジに展開されるアプリケーションの割合は増え続け、組織が利用するSaaSアプリケーションの数も増加しています。異常検出、不正防止、ボット管理におけるAIやMLの機能が強化されているため、SaaSセキュリティは組織にとって理にかなったものですが、オンプレミスのデータ センタでの導入と管理が難しく、費用がかかる可能性があります。さらに、アプリケーションやユーザーが本質的に分散しているため、環境全体でセキュリティ ポリシーを統一できることがますます重要になっています。

ますます巧妙化する攻撃者やサイバー犯罪者に対抗するための適応型セキュリティの必要性を考えれば、SaaS型セキュリティ ソリューションの利用が、回答者の大多数にとって最大の戦略的トレンドになっているのも不思議ではありません。

インフラストラクチャのプロビジョニングと管理を自動化

世界中の組織がデジタル変革の加速化に取り組んでおり、その自動化が成功には不可欠であることは明らかです。残念なことに、ほとんどの企業は必要なツールを持っていると回答していますが、2021年の調査では回答者の半数近くが、さまざまなベンダや環境にわたりこれらのツールを統合することが実際の課題であると回答しています。50%以上の組織が、宣言型またはスクリプト化された定義を使用して、プラットフォーム、コンテナ システム、サービスなどのインフラストラクチャをプロビジョニングして管理していると回答しているのは良いニュースです。このようにインフラストラクチャをコードとして扱うことで、プロセス全体を簡素化しながら、手動設定や従来の設定ツールの管理の手間を省くことができます。

この戦略を採用している組織では、すでに自動化を導入している場合でもより頻繁に展開する傾向が2倍になり、完全に自動化されたアプリケーション パイプラインを持つ傾向が4倍になります。また、完全に自動化されたパイプラインを使用して、アプリケーション ポートフォリオの半分以上を展開している傾向が2倍になります。今年のレポートから得られた知見に基づいて、より多くの組織がInfrastructure-as-Codeアプローチを採用し、開発者が顧客にアプリケーションを提供する際のセキュリティ、一貫性、速度を向上させることを期待しています。

アプリケーション テレメトリを活用してインサイトを得る

アプリケーションのテレメトリ データとそのデータから導き出された実用的なインサイトの関係を検討するときにも、自動化が役立ちます。調査の回答者は、この2つを明確に区別しています。回答者の4分の3は、アプリケーションのセキュリティとデリバリに関するテレメトリがビジネスの成果を達成するために重要であると考えていますが、ほぼすべての企業(95%)が、現在持っている監視および分析ソリューションではインサイトが得られないと回答しています。

企業とその従業員の分散化が進む中で、より速く、より相互に接続され、より楽しく、よりサポート性の高いユーザー エクスペリエンスを提供するには、テレメトリを増やすだけでなく、そのデータを実用的なインサイトに変換する方法が必要です。高度なリアルタイムのアプリケーション データを分析できる組織は、複数のプラットフォームにわたり変化する状況に適応し、進化する脅威に対抗して、顧客が求めるデジタル エクスペリエンスを提供できる優位な立場に立つことができます。

振り返り、さらに飛躍する

未曾有の1年に、組織はデジタル変革プロジェクトを加速させることで、パンデミックがもたらした課題に対応してきました。その結果、分散型、データ駆動型、アプリケーション中心がさらに進んだ未来に向けた数年分に相当する進歩が見られました。

そのような未来で成功を収めるためには、企業の顔ともいえるアプリケーションが、常に変化する状況や環境にうまく適応できるようにしなければなりません。今年のレポートは、デジタル カスタマ エクスペリエンスを継続的に改善し、拡張しようと模索している組織が実践している戦略に関する重要なインサイトを示しています。アプリケーションのモダナイズ、クラウドとエッジへの拡張、世界クラスのエンドツーエンドのアプリケーション セキュリティの実装、インフラストラクチャのプロビジョニングと管理の自動化、インサイトを得るためのアプリケーション テレメトリの利用などにより、これらの組織はF5のビジョンである適応型アプリケーションに向けて加速しており、デジタルの未来に向けてさらに飛躍しています。

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