過去18か月で、生成AI(GenAI)は世界中に急速に広まりました。
ChatGPTやDALL-Eなどの新しいサービスは、ユーザーが自然言語で入力したプロンプトに応じて、テキスト、画像、ソフトウェアコードを生成できます。
これまでにないレベルの生産性が実現可能になっています。Bloomberg Intelligenceの最新調査によると、GenAI市場の規模は2032年までに最大1.3兆米ドルに達する可能性があります。
このテクノロジーの価値が明確になるにつれ、コンピューターによる説得力のある文章やその他のコンテンツの生成を可能にする大規模言語モデル(LLM)について、業界や地域に特化したバージョンを開発する動きが広がり始めています。
LLMは、膨大な量のデータでトレーニングされた統計的言語モデルです。テキストやその他のコンテンツの生成と翻訳に加え、自然言語処理タスクにも使用できます。LLMは通常、ディープラーニングアーキテクチャを基盤としています。
世界各地の先進的な通信事業者は、こうした特化型LLMの提供とセキュリティ確保において重要な役割を担うため、すでに準備を進めています。特に、必要なコンピューティングインフラを自ら構築する余裕のない企業、スタートアップ、大学、行政機関から、エンドツーエンドのGenAIソリューションに対する強い需要が見込まれています。
これは注目すべきトレンドであり、適切なセキュリティ対策を講じることで、LLM-as-a-serviceソリューションは近い将来、医療、教育、運輸、通信を含むその他の主要分野に特化したGenAIアプリケーションの開発に活用される可能性があります。
課題
では、すべてを機能させるために次に何をすべきでしょうか。また、今後直面する主な課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
高い応答性と信頼性、常時利用可能な状態が求められるため、多くのLLMは複数のクラウドやネットワークエッジ拠点に分散して配置される可能性があります。
実際、ユーザーにはリアルタイムの「対話型」応答が求められるため、適切な低遅延を実現できれば、GenAIは通信事業者のエッジサービスに不可欠な要素となるでしょう。
収益拡大に苦戦してきた通信事業者にとって、特化型GenAIシステムを支えるエッジインフラストラクチャの提供は、大規模な新市場となる可能性があります。Bloomberg Intelligenceは、LLMのトレーニングに使用されるGenAI Infrastructure as a Service市場が、2032年までに2,470億米ドル規模に達すると予測しています。
とはいえ、GenAIで大きな成功を狙う企業は、慎重に進める必要があります。
潜在的な攻撃対象領域を拡大させる可能性がある分散アーキテクチャでは、AIのトレーニング段階と推論段階の両方でデータや個人を特定できる情報の漏えいを防ぐため、堅牢で拡張性の高いセキュリティソリューションが必要です。
悪意ある攻撃者が、相互接続された複数のシステムに侵害を拡大するためにラテラルムーブメントの手法を用いるケースが増える中、通信事業者はアプリと、さらに第三者がLLM-as-a-serviceへのアクセスに使用するAPIの両方を保護することが不可欠です。この点に関する認識向上を支援するため、Open Source Foundation for Application Security(OWASP)は最近、LLMの導入および管理に伴う潜在的なセキュリティリスクについて、開発者、デザイナー、アーキテクト、管理者、組織に啓発する新たなプロジェクトを開始しました。
1つ確かなことがあります。GenAIシステムでは個人または企業の機密データを処理する必要が生じることが多いため、通信事業者がこの市場で信頼されるプレーヤーとなるには、顧客からの信頼を維持する必要があります。そのため、多くの政府や規制当局は、管轄区域内にあるコンピューティングリソース上でこうしたシステムを稼働させることを強く望んでいます。一方、企業も知的財産を脅かす可能性のある機密データの共有には消極的であるため、プライベートLLMサービスを選ぶ傾向があります。
その他の注目すべき課題として、AIクラスターが仮想的なユーザーコミュニティとして機能するため、各国や企業のプライベートリポジトリに保存されたデータへアクセスするには、高性能なデータパスが必要になる点が挙げられます。
さらに、各国や企業がAIアプリをセルフホストする計画を進めるにつれ、AIがネットワークトラフィックやインフラストラクチャに及ぼす影響は一層大きく左右されるようになります。ハルシネーション、著作権、セキュリティ、AIによる環境への影響に対する懸念から、多くの国や企業がデータのセキュリティと管理をさらに強化しようとしています。また、予想されるGPUへの負荷を軽減する新たな方法も必要になります。こうした要素はすべて、AIインフラストラクチャ全体のTCOに影響します。
通信事業者の出番:複数の環境にわたる柔軟でスケーラブルな保護
通信事業者は、AI革命において大きな役割を果たす可能性があります。国内インフラを保有し、既存のB2Bサービスを提供しているため、AI-as-a-serviceのプロバイダーとなる有力な選択肢です。
その一例として、F5はすでに、欧州の通信事業者が新たに提供するGenAIサービスのセキュリティ確保を支援しています。この事例では、Nvidia DGX Super PODとNvidia AI Enterpriseのテクノロジーを活用し、現地の言語でネイティブにトレーニングされた初のLLMを開発しています。その目的は、言語のニュアンスに加え、文法、文脈、文化的アイデンティティの固有性を捉えることです。
複数のエッジサイトにわたってソリューションを保護するため、この通信事業者は、クラウドベースのサービスとして提供されるF5 Distributed Cloud Web Application and API Protection (WAAP)を活用する予定です。また、F5のADCクラスターを活用し、エッジインフラストラクチャ全体で新しいAIプラットフォームの負荷分散を行っています。
重要なのは、F5のソリューションをパブリッククラウドとマルチテナント型データセンターに加え、自社環境やエッジインフラストラクチャでも利用できることです。
さらに、F5 Distributed Cloud WAAPと関連するAPIセキュリティソリューションは、トラフィックの増加に応じて迅速にスケールできるため、LLM-as-a-serviceの提供にかかる総コストを削減できます。またF5は、通信事業者やその他のマネージドサービスプロバイダーが、法人顧客にサービスレベル契約を提供するために必要となる、トラフィックフロー、レイテンシ、応答時間の可視性も提供します。
F5は、LLM推論やAIタスクが大量のリソースを必要とするという課題への対処にも役立ちます。これらのワークロードでは大規模なデータ交換が必要であり、セキュアなデータ交換を大規模に行う必要があるため、ボトルネックが生じることも少なくありません。その結果、貴重なリソースの使用率が低下し、運用コストの増加や、期待する成果の実現の遅れにつながる可能性があります。
通信事業者は、適切な戦略のもと、拡張性と堅牢性を備えたセキュリティソリューションを効果的に活用できれば、業界別・国別LLMの信頼できるプロバイダーとなるために必要な要素をすべて備えています。これに成功した通信事業者は、今後数年にわたり、間違いなく大きな競争優位性を獲得するでしょう。
詳しく知りたい方は、2月26日~29日にバルセロナで開催されるMobile World Congress(ホール5、スタンド5C60)で、F5とのミーティングをご予約ください。
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