PRESS RELEASE

AI導入がアジア太平洋地域で加速するも、 消費者は信頼、セキュリティ、雇用喪失に懸念

2025年5月21日

Published May 21, 2025

AI導入がアジア太平洋地域で加速するも、
消費者は信頼、セキュリティ、雇用喪失に懸念

~日本は、雇用喪失への懸念が際立って低い特異な傾向も~

 

  • F5の最新調査により、AIのパラドックスが浮き彫りに - アジア太平洋地域の消費者は、AIの潜在能力には期待するものの、そのリスク面を依然として警戒
  • 透明性、セキュリティ、責任ある利用を通じて信頼を構築することが、AIの導入拡大の鍵

 

現在、アジア太平洋地域 (APAC) の消費者は、AIを取り巻くパラドックスに直面しています。AIは、生産性と効率性の向上に役立つと評価される一方で、それがもたらすプライバシーリスクや詐欺、雇用への影響に対する懸念が普及の妨げになっています。マルチクラウドのアプリケーションセキュリティとデリバリーの世界的リーダーである F5 (NASDAQ: FFIV) が新たに実施した調査では、アジア太平洋地域の消費者がAI に対して抱いている認識と態度が浮き彫りになりました。

F5が発表した調査報告書「2025年のAIを取り巻くパラドックス:アジア太平洋地域における消費者の意識 (The 2025 AI Paradox: Understanding Consumer Perceptions in APAC)」では、以下の通り、アジア太平洋地域の9か国でAIに対する消費者の信頼に影響を与えている5つの主要なパラドックスが指摘されています:

  • 「能力の強化」対「管理」: 消費者はAIの潜在能力に期待を寄せる一方で、自身のデータや体験の管理に安心感を確保できるよう透明性とガバナンスを求めています。
  • 「テクノロジーへの精通」対「懐疑論」:テクノロジーの導入が進んでいるにもかかわらず、消費者はAIの信頼性と倫理的影響について依然として懐疑的な見方をしています。
  • 「効率性」対「雇用の安定」:AIが効率性の向上を約束する一方で、雇用喪失に対する不安が広がっています。
  • 「革新性」対「環境問題への懸念」:消費者はAIの革新的な可能性を認識しているものの、環境への影響を懸念しています。
  • 「進歩」対「責任」:消費者は、公平性、安全性、説明責任を優先し、責任あるAIの導入を企業に期待しています。

F5ジャパンCTOの丸瀬明彦は次のように述べています。「今回の調査では、AIの導入に関して、アジア太平洋地域における信頼度に明確なギャップが浮き彫りになりました。消費者はAIのメリットを認識しているものの、セキュリティリスク、倫理的な利用、雇用や社会に対する長期的な影響については、依然として慎重な姿勢を崩していません。企業は、AIドリブンのあらゆる体験に透明性、ガバナンス、セキュリティを組み込むことで、こうした懸念に積極的に取り組む必要があります。信頼性の欠如によりAIの導入は停滞し、イノベーションや効率化を推進する潜在能力も制限されてしまいます」。

また、この調査では、AIに関する個人的な体験と職業上の体験との間に相違があることも明らかになりました。AIによって個々人の生活における生産性が向上していると多くの人が感じている一方で、職場ではその恩恵を十分に実感できていないようです。このことは企業が、AIをより効果的にワークフローへ統合することや、従業員が業務でAIをより効率的に活用するために、必要なトレーニングやリソースの提供に重点的に取り組む必要があることを示唆しています。

F5ジャパンCTOの丸瀬は次のようにも述べています。「AIが真のビジネス価値をもたらすためには、企業はセキュリティとパフォーマンスを維持しながら、AIをデジタルインフラにシームレスに統合する必要があります。F5では、AIを搭載したアプリケーションを安全に導入し、ディープフェイクによる詐欺などのAIを悪用した脅威から保護し、AIソリューションがマルチクラウド環境全体で確実に実行されるよう支援しています。これらのセキュリティとスケーラビリティの課題に対処することで、企業は信頼性を損なうことなくAIの潜在能力を最大限に活用できるようになります」。

今回の報告書に記載されている主な調査結果は以下の通りです:

  • アジア全域で AI に対する高い認知度:AIに対する認識はすべての市場で高く、全体の認知度は89%を超え、ほとんどの地域で90%を超えています。なかでも中国は98%でトップであり、積極的な導入戦略と広範にわたる技術統合がその原動力となっているようです。

  •  企業は職場におけるAIの潜在能力を完全には活用できていない:AIにより個人生活における生産性が向上したと答えた消費者は73%に達する一方、職場では業務効率に目立った変化がないと答えた人が52%に上っており、後者においてAIは明らかに低い恩恵しかもたらしていないようです。しかし、今回の調査では、AIは継続的に使用することで生産性が最大限に向上することが明らかになっています。AIを毎日使用しているプロフェッショナルの46.2%が大幅な改善を報告しており、継続的なインタラクションの威力を物語っています。各企業は、AIのより優れた統合、トレーニング、ワークフロー設計を通じて、このギャップを埋める必要があります。
  • セキュリティリスクの中で高まる信頼への懸念:アジア太平洋地域は詐欺のホットスポットとなっており、2024年にはシンガポール (207%増)、タイ (206%増)、インドネシア (201%増) で詐欺の発生率が大幅に上昇しました。特に、AIを駆使した詐欺行為が同地域の消費者による信頼を低下させており、2024年にはディープフェイク詐欺が194%、なりすまし詐欺が121%増加しました。AIの導入が進むにつれ、企業はAIソリューションを責任を持って拡張しながら、消費者の信頼を構築するために強固なセキュリティ対策を講じなければならないという課題に直面しています。
  • ·失職への懸念がAIの受容を妨げる一方、アジア太平洋地域内で異なる状況も:アジア太平洋地域では、自動化による失業への懸念が、職場におけるAI導入の妨げとなっています。しかし、こうしたAIによる失職に対する危惧は、地域によって大きく異なります。インドとシンガポールでは、AIによる失業懸念が最も高く、両市場の消費者の97%がこうした可能性を多少なりとも心配しています。一方、日本はAIに対する態度が目立って冷静で、「わずかな懸念」を示しているのは日本の消費者の57%にとどまり、30%は「まったく懸念していない」ことが明らかになりました。
  • AIはスピードに秀でるものの、信頼獲得には依然として人間による対応が必要:アジア太平洋地域の消費者は、AIがもたらす効率性の向上を認識しており、カスタマーサポート(47.9%) や個人的なショッピング (45.6%) など効率性を重視する作業では、ほぼ半数の消費者がAIを好意的に捉えています。また、アジア太平洋地域の消費者はAIによる洞察力にも信頼を寄せており、ヘルスケア (40.1%) や金融アドバイス (39.2%) などデータドリブンの意思決定においてもAIを積極的に活用しています。しかし、感情や感覚的な体験を伴う分野に関しては、AIに不利な結果となっています。アジア太平洋地域の消費者は、料理 (32.2%) や感情的な支援 (26.6%) など、共感や個人的な関わりが重要な場面では、依然として人間との対話を好んでいます。
  • AIの環境に対する影響が、持続可能性への懸念を想起:AIの急速な普及は、それに伴うエネルギー需要の増大とイノベーションのバランスを取るという喫緊の課題をもたらしています。AIの普及拡大により、2028年までにアジア太平洋地域のデータセンターの容量は2倍以上になると予測されています。そのため、アジア太平洋地域の消費者の大半 (53.8%) は、AIの利点は否定しないものの、その資源消費量を削減するための取り組みが必要だと考えています。アジア太平洋地域の企業・組織は、エネルギー効率の高いAIモデル、持続可能なコンピューティングインフラ、より環境に配慮したデータセンターに対する現地社会からのニーズの高まりに対処し、AIの責任ある進化を念押しする必要があります。

Twimbit社の創設者兼CEOであるマノジ・メノン (Manoj Menon) は次のように述べています。「今回の調査により、消費者は2つの世界それぞれの長所を求めていることが明らかになりました。消費者は、取引上の処理における効率性とスピードを求めてAIを受容していますが、それでもなお、感情的なつながりや複雑な意思決定には人間的な対応を重視しています。AIの能力と人間の専門知識を戦略的に融合させ、効率性と共感性を兼ね備えた体験を生み出す企業、これがAI時代に成功する組織と言えるでしょう。セキュリティ上の懸念に対処し、透明性の高いAIシステムを構築し、自動化と人間的なつながりの適切なバランスを見出すことで、企業はアジア太平洋地域全体において、AIが秘める変革の可能性を存分に発揮し、必要とされる信頼を構築することができるのです」。

なおTwimbitは、2025年にF5の委託を受けて、アジア太平洋地域におけるAIに対する消費者の認識と態度を評価する本調査を実施しました。調査は、9つの主要市場 (オーストラリア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、ニュージーランド、シンガポール、台湾) に在住する900人を対象に行いました。

調査結果の詳細については、こちらから報告書全文のダウンロードをお願いします。

■F5について
F5はより優れたデジタル世界の実現に取り組む、マルチクラウド・アプリケーション・サービスおよびセキュリティ会社です。F5は、世界最大かつ最先端の組織と提携し、オンプレ・クラウド・エッジなどの場所を問わず、あらゆるアプリとAPIの最適化およびセキュリティの確保を実現します。F5により、これらの組織は顧客に卓越したセキュアなデジタル体験を提供すると共に、常に新たな脅威に対応します。F5やパートナー企業、テクノロジーに関する詳細は以下のリンクをご参照ください。

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