Yuki ONODERA
システムを運用する中で、日々の管理業務や障害対応を効率化したいと感じたことはありませんか?
そんな時、BIG-IPを流れるトラフィックやシステム内部の状態をグラフィカルに確認できるツールがあれば、運用の負担を大幅に軽減できるはずです。
そんなニーズに応えるのが、F5の「Application Study Tool(AST)」です。
AST(Application Study Tool)は、オープンソースのテレメトリおよび視覚化ツールを基盤にした、BIG-IP 用の可視化ツールです。
主な機能としては、メトリクスの収集、データの可視化、迅速なデプロイとカスタマイズなどが挙げられます。
ASTを活用することで得られるメリットは以下の通りです。
例えば、パフォーマンスの問題を早期に発見し障害を未然に防いだり、可視化したデータを活用して適切な対応を迅速に行うことが可能になります。
ASTは、日々の運用を効率化する強力なツールです。
では、ASTの導入手順について説明します。
事前に準備が必要なものは以下のとおりです。
環境が整ったら、実際にASTをデプロイしていきます。
ASTのデプロイは大きく分けると3ステップに分かれています。
設定値の設定については下記のドキュメントに手順が載っているので、参考にしてください。
https://f5devcentral.github.io/application-study-tool/getting_started.html#installation
ASTにログインすると、以下のような画面が表示されます。
左上の三本線をクリックするといくつかメニューが表示されます。
ここからDashboardを選択すると、Dashboard 一覧が表示されます。
ASTでは用途に応じて様々なDashboardが用意されており、目的に応じて選択が可能です。
例えば、Device Overviewのダッシュボードでは、BIG-IPデバイスの状態・リソース・仮想サーバ・ネットワークなどに関する様々なメトリクスが確認できます。
様々な数値が見やすいように可視化されているので、まずは一通りダッシュボードを眺めてみるのがおすすめです。
昨今では、証明書の有効期限管理が話題に上がることも多いかと思います。
ASTを利用することで、下記の画像のように全てのBIG-IPデバイスにおける証明書情報を一元管理でき、より効率的な運用を実現できます。
また、ベースとして OSS の Grafana を使っているので、自分専用のダッシュボードを作成したり、既存のグラフを編集したりすることもできるようになっています。
ドラッグ&ドロップで、簡単にサイズや配置を変更することもできます。
さらに、ダッシュボードにない値を確認したい場合は、Explore からどのようなデータが可視化できるのかを検索して、試してみることもできます。
BIG-IP自体にも標準的なダッシュボードがありますが、ASTとは以下の点で違いがあります。
また、同様の運用可視化ツールとして QKView が挙げられますが、QKViewには以下のような制約があります。
これに対し、ASTではこれらの制約がなく、より自由度の高い運用が実現します。
注意点として、ASTは可視化とモニタリングに特化したツールであるため、設定変更や管理タスクの実行はできません。
AST(Application Study Tool)は、BIG-IP運用に特化した視覚化および分析ツールです。
障害対応や運用の効率化を支援するだけでなく、チーム全体の連携強化にも役立ちます。
利便性の高いツールでありながら、導入手順もシンプルで、迅速に構築可能です。
BIG-IPをご利用の方は、ぜひ一度ASTを導入し、その効果を体感してみてください。
関連情報
F5ネットワークスジャパン合同会社が提供する製品の詳細は下記ページをご覧ください。
https://www.f5.com/ja_jp/products/nginx