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グローバル オープン バンキングの成長機会をつかむ
Twimbitによるこの第三者レポートでは、グローバル オープン バンキングの取り組みと、成功するための8つの必須条件を取り上げています。
オープン バンキング:その背景
銀行業は、資本やその他の金融サービスを利用することで企業や個人が成長し、より良い生活を送るための産業として確立されました。世界的に見れば大きな進歩を遂げていますが、地球上のすべての人が金融サービスを享受できるようにするには、まだ長い道のりがあります。
控えめに見積もっても、世界の人口の22%がいまだ銀行口座を持っていません。
もう1つの未開拓市場セグメントである中小企業は、世界の企業の90%を占め、全雇用の50%を越えています。これらの企業の大多数は、正規の融資を受けられずにいます。情報が不足している、リスクが高いと見なされている、支援の手が届かないなどの理由で、現在の銀行はこれらの市場にサービスを提供できていません。一方、技術革新により、世界中のほぼすべての成人が携帯電話を持つようになりました。モビリティとインターネットの融合によって新しいビジネス モデルが可能になり、包括的な成長と環境の持続可能性という最大の課題に取り組むことができるようになりました。現在、金融サービス業界は、民主化されたオープン イノベーションの力を解き放つことで、消費者や企業の満たされていないニーズに応えるという大きなチャンスを手にしています。これを可能にするのが、オープン バンキングという新しいビジネス モデルです。
オープン バンキングとは何か?なぜそれが重要なのか?
オープン バンキングでは、消費者は金融データか否かを問わず、自分のデータへのアクセスをサードパーティ プロバイダに許可することができます。この可能性は、金融サービス業界に多くのイノベーションの機会をもたらします。新世代のフィンテック市場参加者は、既存の銀行と協力し、銀行のコア バンキング インフラストラクチャを活用して、さまざまなライフスタイルや金融サービスを提供することができます。
オープン バンキングの主なメリットは次のとおりです。
オープン バンキングがもたらす機会として最もわかりやすいのは、複数の情報源からのデータの集約。
オープン バンキングがもたらす機会として最もわかりやすいのは、複数の情報源からのデータの集約です。そして、投資とイノベーションの最大の分野は、決済のエコシステムにあります。eコマースの成長は、シームレスなエクスペリエンスを提供するための代替アプローチを開発する新しい企業に道を開きます。Buy Now, Pay Later(今買って、後で支払う)のような新しいビジネス モデルが出現し、決済サービス プロバイダの価値提案全体が強化されています。世界規模の多くのハイテク企業にとって、決済が金融サービスへの入り口となっています。また、業界が進化する中で注目すべきもう1つの分野は、製品やサービスのパーソナライゼーションです。金融サービスに限らず、多様な情報源から情報を集約できることで、プロバイダは個人ごとに高度にカスタマイズされた製品を作ることができるようになります。
国ごとに規制の仕方が異なる
世界の国々は、この新しい銀行業務を受け入れるためにさまざまな方法をとっています。規制当局が採用しているアプローチ全体は、3つのカテゴリに分類できます。
グローバル リーダーの教訓
英国の成長の主な要因は、国内のデジタル専用銀行(ネオ バンク)の成功です。これらのネオ バンクは、2,000万人以上の顧客を獲得しており、市場に大きな革新をもたらしています。これらの銀行は、銀行取引にデジタルファーストのアプローチを採用することで、消費者にとって魅力的な存在となっています。
ネオ バンクのモバイル アプリケーションのエンゲージメント率は、従来の銀行よりもかなり高くなっています。ネオ バンクは、貯蓄や支出の記録など、革新的な機能をいくつも提供しており、それによって銀行取引全体がゲーム化され、高いエンゲージメント率を実現しています。
オープン バンキングにより、ネオ バンクはすべての銀行口座の情報を集約できるようになり、消費者は自分の財務状況を完全に把握できるようになります。既存の銀行もかなり積極的で、BarclaysやHSBCなどの銀行がこうした機能の多くを提供しています。英国が世界のオープン バンキングのトレンドの先頭に立っているのは、市場でのオープン バンキングの採用と、将来を見据えた規制体制のおかげだと言えるでしょう。
英国が世界のオープン バンキングのトレンドの先頭に立っているのは、市場でのオープン バンキングの採用と、将来を見据えた規制体制のおかげだと言えるでしょう。
オープン バンキングの将来
オープン バンキングの可能性を最大限に引き出すには、取り組むべき重要なことが3つあります。
セキュリティの課題
オープン バンキングには多くのメリットがある一方で、銀行と消費者の双方に潜在するセキュリティ リスクへの懸念も高まっています。オープン バンキング システムの核心は、銀行がAPIを介してTPPとデータを共有できることにあります。
その結果として、消費者の貴重なデータにより多くの企業や個人がアクセスできるようになり、より脆弱になっています。また、データ共有の速度が速まることで、リスクも高まります。
TPPは、従来の銀行と同じように最高レベルのセキュリティを確保して運営する必要があります。TPPで何らかのセキュリティ侵害が発生すれば、情報や支払いを求める不正行為につながりかねません。
銀行口座で不正行為があった場合、消費者はまず銀行に連絡するので、銀行側としてはTPPでの漏洩に対処できるよう十分に備えなければなりません。つまり、銀行は全体的なリスクを評価し、規制を遵守するために、多大な投資をする必要があります。
APIの標準化
オープン バンキングに対するさまざまなグローバル アプローチは、市場参加者に多くの課題をもたらしています。規制当局が市場の力に委ねている場合、国内での共通のアプローチや基準そのものに合意することが第一の課題となります。さらに、複数の国で事業を展開する銀行やTPPにとっては、コンプライアンスの問題もあります。国によって政策が異なるため、混乱やコストの増加に対処しなければなりません。例えば、欧州では、欧州連合により第2次決済サービス指令(PSD2)が施行され、銀行は顧客の同意を得た上で、データを迅速、安全、確実にTPPに提供するための仕組み(通常はAPI)を構築することが求められています。
規制やその欠如、そしてコンプライアンスは、業界全体の発展にとって高いハードルとなっています。世界の規制当局と業界団体が協力して取り組むことが、成長を加速させることに大きく貢献するでしょう。
大手銀行によるプラットフォームのビジネス モデルの採用
データへのアクセスを可能にしてデータを共有しようという規制当局の呼びかけを受けて、多くの銀行がオープン バンキングに着手しています。そこではデジタル専用銀行やフィンテック、大手ハイテク企業との競争が懸念され、銀行は、銀行取引機能のオープン化と、セキュリティ管理やビジネス上の利益の保護を両立させなければなりません。
オープン バンキングは、市場で彼らを置き去りにするようなビジネス モデルではなく、成長機会となるべきです。現在の大手銀行のすべてがこの戦略をとるとは限らず、彼らの戦略は、市場の発展とともに進化していくでしょう。銀行は、ITを最新化し、組織的な機能を新たに構築し、プラットフォームのビジネス モデルに備える必要があります。
オープン バンキングは、いくつかの大手銀行がそのビジネス モデルを転換し、他社の可能性を中核的な戦略として全面的に取り入れる転換点を迎えたとき、その可能性を開花するでしょう。
まとめ
私たちは、世界中でオープン バンキングを実現する行程の出発点に立っています。この変革的なビジネス モデルは、今後20年間で銀行取引のあり方を大きく変えることになるでしょう。消費者に自分の情報の所有権を持たせることは、あらゆる産業に広範囲な影響を与えます。銀行取引、ソーシャル メディア、政府機関、医療など、さまざまな業界の情報を統合する道が開かれるでしょう。
この変革の中心となるのは、プライバシーとセキュリティをめぐる問題にどう対処するかです。F5は幸運にも、企業がセキュリティに妥協することなく、ビジネス上の成果を達成するための中心的役割を担っています。私たちは、このビジョンの実現を加速するにはコラボレーションがいかに重要かを理解しています。持続可能で包括的な未来の構築についてぜひ話し合いましょう。