5G | サービス プロバイダ

5G技術の変革について

Executive Summary

5G時代の到来に伴い、各サービス プロバイダは、5Gがもたらす機会を最大限に活用するために必要な、コンテナ化されたサービスベースのクラウドネイティブ アーキテクチャをそれぞれのインフラストラクチャに備えなければなりません。競合他社に打ち勝つため、サービス プロバイダには、5Gネットワークと顧客を保護し、5Gの将来を支える適応型アプリケーションを可能にするための適切なセキュリティ、可視性、制御が必要です。

5Gについて

ブロードバンド セルラー ネットワークの第5世代技術標準である5Gを大々的に宣伝する言葉を聞いたことがあるでしょう。立案、規格の決定、必要なハードウェアとソフトウェアの開発に何年もかけてきた第5世代の無線技術、すなわち5Gがついに普及し始めました。サービス プロバイダは世界中でネットワークを構築し始めており、企業などの消費者は、長い間待望されていたメリットを享受し始めています。

GSMAによると、「5G時代は2020年から本格的に始まり、消費者、企業、事業者、ベンダー、そしてすべての利害関係者に大きなチャンスをもたらします。」GSMAの報告書『モバイル エコノミー2020』によると、2020年の初めまでに、24の市場で46の事業者が5Gを商業的に利用できるようになりました。また、事業者は、今後5年間で世界全体でモバイルに1.1兆ドルのCapExを行うと予想され、そのうちの約80%が5Gネットワークに費やされるとしています。1

5Gのデータ速度は10~100倍、場合によっては10 Gbpsになる可能性があります。

既存の技術と比較して5Gのメリットは非常に大きいため、この投資は理にかなっています。5Gは、4G LTEネットワークと比較してレイテンシを約20ミリ秒からわずか1ミリ秒へ、10分の1に短縮し、99.999パーセントという非常に優れた信頼性を実現します。また、データ速度は10~100倍、場合によっては10Gbpsの高速通信が可能になります。

5Gにより、サービス プロバイダは最大で100倍のネットワーク効率を期待でき、これによりネットワークのエネルギー消費量を大幅に削減することができます。また、5Gでは、シグナリング効率が3倍、接続密度が10倍になり、より少ないネットワーク機器でより多くのデバイスを簡単に接続できるようになります。

図1:4G LTEネットワークに対する5Gのメリットとして、速度、接続密度、効率の大幅な向上が挙げられます。

この高速化とレイテンシの短縮が、数十億台のデバイスと接続可能になることと相まって、より多くのユーザーが利用でき、ダウンロード時間が大幅に短縮される、アプリケーションのまったく新しい世界を切り開くことになります。また、これらの新しい機能は、現在のモバイル ネットワークの約1,000倍のデータ量を生成することになります。サービス プロバイダが競争力を維持するためには、トレンドに対応するための柔軟性を維持しながら、これらの新しい機会を活用した新しいアプリケーションやサービスを加入者向けに迅速に構想、開発、展開、拡張する能力が求められます。

適応型アプリケーション サービスで付加価値を高める

この新しい5Gの世界に必要なのが適応型アプリケーションです。適応型アプリケーションは、生き物のように、その環境や使用方法に応じて拡張・収縮し、身を守り、ダメージを回復できなければなりません。サービス プロバイダは適応型アプリケーションを実現することで、顧客やパートナーに価値を提供できるようになります。

適応型アプリケーションは、その環境や使用方法に応じて拡張・収縮し、身を守り、ダメージを回復します。

適応型アプリケーションは、大量のデータを処理する際に重要となる、ネットワークを介したデータ フローの大部分を占めるルーチン タスクやアクションの自動化を可能にするため、TCOの削減に役立ちます。また、適応型アプリケーションは、予測的に(たとえば、小売業者がブラック フライデーやサイバー マンデーに経験しているような、予想される需要の増加に対応して)、また需要に応じて、スケーリングすることもできます。このスケーリングの能力は、CapExとOpExを抑制するのに役立ちます。さらに、適応型アプリケーションが需要に対応するために使用されるデータと同じデータを使用して、パフォーマンスをさらに最適化するAIや機械学習のソリューションを開発することができます。

他のアプリケーションと同様に、適応型アプリケーションにもアプリケーション サービスが必要です。F5の『2020年版アプリケーション サービスの状況レポート』の通信事業者編の通信事業者の章では、サービス プロバイダが平均して、それぞれ1,000以上のアプリケーションをサポートし、それらのアプリケーションの90%がマルチクラウドで展開されていることが明らかになっています。その結果、サービス プロバイダは、アクセス制御だけでなく、アプリケーションとネットワークのセキュリティを提供するアプリケーション サービスを重要視し、現在と将来のアーキテクチャと容易に統合できるアプリケーション サービスを探しています。

<p>5Gエッジへの近道</p>

5Gエッジへの近道

クラウドネイティブでコンテナベースのマイクロサービスをサービスベースのアーキテクチャに実装するためのベスト プラクティスをご紹介します。

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5Gの可能性を実現するには、その用途、
環境、CI/CDの改善に継続的に適応するアプリケーションが求められています。

アプリケーション サービスの
可用性

アプリケーションを中心とする
サービスの可用性

アプリケーションの
パフォーマンス

ネットワーク上で動作するアプリケーション向けに
最適化されたネットワーク

アプリケーションの
サービス品質

アプリケーションを中心とする
品質管理

アプリケーションの
インサイト

アプリケーションを中心とする
可視性と分析

5Gをうまく機能させる:インフラストラクチャ

スピードと俊敏性が求められていることから、サービス プロバイダは、高いパフォーマンス、柔軟性、セキュリティを維持しながら、適応型アプリケーションを構築し、それを可能にするアプリケーション サービスをサポートする必要があります。インフラストラクチャの観点から見ると、サービス プロバイダは、これらの新しいサービスのほとんどを新しいスタンドアロン(SA)5G Core上で提供することになります。この新しいインフラストラクチャは、大幅に強化された柔軟なサービスの開発、自動化、スケーラビリティ、レジリエンスを提供します。

これは実際には、5G Coreが適応型アプリケーションの以下の主要な特性をすべて共有していなければならないことを意味します。

  •  クラウドネイティブ
    •  マイクロサービスベース
    •  サービスベース アーキテクチャで構築
    •  (Kubernetes内で)コンテナ化
    •  サービス メッシュを組み込むように設計

5Gクラウドネイティブ インフラストラクチャは、従来のサービス プロバイダのITグループとネットワーク グループを統合し、企業中心の5Gネットワークを構築するための触媒です。

 

クラウドネイティブ インフラストラクチャ上にサービスベース アーキテクチャ(SBA)を実装することは、SA 5G Core ネットワークを展開するための必須条件です。現在、重大な転換点を迎えており、サービス プロバイダがSBAを実装すると、リアルタイムで動的にワークロードをスケーリングし、刻々と変化する消費者の需要に対応することが可能になります。5Gによって、個人消費者の需要を満たすために必要な分散型ネットワークの展開と管理が可能になるだけでなく、デジタル トランスフォーメーションの取り組みの完了に向けて努力している企業規模の顧客の増加にも対応できるようになります。また、サービス プロバイダは、ネットワークのコア、エッジ、ファー エッジからクラウド サービスに瞬時にアクセスしたいという需要の高まりに対応するために、マルチクラウド ネットワークを構築する必要があります。5Gのクラウドネイティブ インフラストラクチャは、従来のサービス プロバイダのITグループとネットワーク グループを統合し、企業中心の5Gネットワークを構築するための触媒となります。

図2:クラウドネイティブのコンテナ化は俊敏性、スピード、効率性を向上させます。

サービスベース アーキテクチャのメリット

1   |   モジュール方式と再利用性
ネットワークは、モノリシックなサービスを個別の機能に分割した、モジュール式サービス(マイクロサービス)で構成されています。これらの機能は、個別にアップグレードやスケーリングが可能であり、異なるネットワーク機能で再利用することもできます。

2   |   クラウドネイティブ
クラウドネイティブ コンピューティングでは、継続的デリバリが可能になるため、アプリケーションのテストや統合にかかる時間が短縮され、ひいては新機能やバグ修正を提供するための市場投入までの時間が短縮されます。クラウドネイティブのマイクロサービスは、ほとんどの場合、Kubernetesを使用してコンテナ化されており、基盤となるインフラストラクチャに関係なく、一元的にオーケストレーションを行い、拠点間で移動させることができます。

3   |   拡張性
サービスベースのインターフェイスは、新しい参照ポイントを導入することなく簡単に拡張でき、ネットワーク機能サービスの新しいインスタンスを展開することでトラフィックを容易に分散し、軽減することができます。

4  |   オープン性
サービスベースのインターフェイス(および認証など、一部の制御機能)は、サードパーティのアプリケーション開発者などの外部ユーザーに簡単に公開することができます。また、サービス プロバイダは、単一のベンダーに限定されることなく、ソリューションを最善の組み合わせで使ってネットワークを構築することができます。

5Gをうまく機能させる:管理

サービス プロバイダは、SA 5G Coreの実装を成功させるために必要な基本インフラストラクチャに加えて、ネットワークが体験品質(QoE)を維持するための主要な要件を確実に満たすようにし、さらに5Gの攻撃対象の増加を利用して進化する脅威からネットワークを保護する必要があります。5Gの変革の初期段階で、クラウドネイティブ インフラストラクチャを導入しているサービス プロバイダはパイオニアです。ワンパターンのアプローチは5Gネットワークには適さず、複数のクラウドの展開が出発点にすぎないことは、すでに明らかになっています。

上述したように、5Gインフラストラクチャは、ネットワーク要件に基づいてアプリケーションのオーケストレーションを行う、Kubernetesを使用してコンテナ ワークロードを管理するクラウドネイティブのコンテナ化アーキテクチャ上に構築されています。しかし、Kubernetesはキャリアグレードの展開向けに特別に設計されたものではありません。サービス プロバイダは複雑さとコストを最小限に抑える必要があり、Kubernetesにはこれを可能にするネイティブなツールがありません。これらの懸念に対処するため、5Gクラウドネイティブ インフラストラクチャを設計して展開する際にサービス プロバイダは以下の要件を最優先しなければなりません。

可視性:ネットワーク トラフィックの可視性は、どのようなモバイル ネットワークでも不可欠ですが、5Gネットワークではなおさらです。Kubernetesは本質的にKubernetesノードやクラスタへのイングレスまたはエグレス トラフィックの可視性を提供しません。

セキュリティ:セキュリティ管理は、ネットワーク内の複数のポイントで、また複数のレイヤーにわたり適用する必要があります。悪質なトラフィックをネットワークから排除するためには、コンテナ侵入時のパケット キャプチャやその他のセキュリティ対策が重要です。暗号化も、5Gネットワーク セキュリティ サービスの基本です。

制御:ポリシー管理と分析がネットワーク制御を可能にします。これらはすでに複雑化している5Gネットワークの自動化には欠かせません。

多様なサービス要件を満たすためには、コンテナ化されたクラウドネイティブの5Gアーキテクチャが不可欠であり、Kubernetesで管理されるコンテナ ワークロードは特に重要です。本来、動的であるため、ネットワークのニーズに容易に適応し、ネットワーク内にアプリケーションとそのワークロードを適切に配置できるようにすることで、俊敏性、スピード、効率性を向上させます。

図3:5Gのクラウドネイティブ インフラストラクチャにより、プラットフォームにかかわらず、ネットワークのコア、エッジ、ファー エッジからクラウド サービスに瞬時にアクセスできます。

まとめ

サービス プロバイダは、サービスベースのアーキテクチャを使用し、数千とは言わないまでも数百のエッジ コンピューティング設備を含む、クラウドネイティブ インフラストラクチャ上で動作する5Gスタンドアロン ネットワークを構築することで、新たな領域に足を踏み入れようとしています。この取り組みは難しいものですが、通信ネットワークのデジタル変革という成果により、サービス プロバイダは、より優れたカスタマ エクスペリエンスを提供し、5Gの魅力的な使用事例をサポートし、収益と収益性を向上させる革新的なビジネス モデルを採用することが可能になりました。

新しいSA 5G Coreで適応型サービスを提供するというニーズは、サービス プロバイダを通信とITの業界が交差する場所へと導き、さらにF5を、サービス プロバイダの5Gへの移行を支援する独自の立場に導いています。5Gネットワーク機能は、適応型アプリケーションがそうであるように、動的にスケーリングし、回復し、安全を確保する必要があります。F5は、適応型アプリケーションにサービスを提供するソリューションと豊富な経験を持ち、サービス プロバイダが5G Coreと5Gシグナリングに同じコンセプトを適用できるよう支援することができます。

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