CUSTOMER STORY

株式会社アドバンスクリエイト

メリット

BIG-IP GTMがサイトの健全性を判断、災害時はトラフィックをDRサイトへ

WAN通信を高速化するBIG-IP WOMにより100Mbpsの回線を最大活用

統一されたインターフェイスで各機能を管理でき運用負荷を最小化

課題

災害時の事業継続性を確保するDRサイトへの瞬時の切り替え

低コストな回線を利用したメインサイト、DRサイトの同期

DNSの脆弱性への対応負荷の軽減

DRサイトへの自動切り替えにBIG-IP GTM、データ同期の高速化にBIG-IP WOMを採用し、アドバンスクリエイトがBCP(事業継続計画)を実現

株式会社アドバンスクリエイトは複数の保険会社から最適な保険をチョイスできる新しいタイプの保険代理店だ。実際の店舗だけではなくWebサイトを通じた情報提供や保険販売にも力を入れており、そのアクセスは増加の一途だという。そのアクセスを処理できるパフォーマンスの確保と、災害時にも事業を継続させるためのDRサイトの構築を目的としたシステム再構築においてF5ネットワークスの製品が多数導入された。ロードバランサとしてBIG-IP LTMが、メインサイトとDRサイトとの自動切り替えが可能なDNSとしてBIG-IP GTMが利用されている。さらに、データベースの同期をリアルタイムに近づけるため、BIG-IP WOMも導入された。

BIG-IP WOMをオンにした場合4~5倍の速度改善が確認できました。通信回線は100Mbpsを境に価格が急激に上がるので、この速度改善はコストの低減に貢献しています

ビジネス上の課題

株式会社アドバンスクリエイトは、特定の保険会社に偏ることなく顧客ニーズに応えて保険を販売している。現在は「保険市場」をメインブランドとして、来店型のコンサルティングプラザや日本最大級の保険比較サイトを運営している。サイトの運用状況について株式会社アドバンスクリエイト 取締役 常務執行役員 IT統括部長の村上 浩一氏は次のように語る。

「2003年のリニューアルオープン以来多くの方にご利用いただき、来訪者もトラフィックも増加を続けてきました。回線やシステムの増強も続けてきましたが対症療法に過ぎず、システムの増強の作業や日々の運用負荷が、大きな負担となり始めていました。そこで、システム再構築を伴う抜本的な改善が必要になったのです」

日々の運営業務において、Webサーバやネットワークの維持管理と並んで負担になっていたのが、DNSの運用だ。BINDを使ってDNSを自社運用していたのだが、近年は脆弱性への対応に多くの時間を取られていたと、株式会社アドバンスクリエイト IT統括部の東尾 圭治氏は言う。

「脆弱性情報が出るたびに、BINDにパッチを当ててアップデートしていました。作業自体に必要な時間は約半日程度ですが、いつ発生するかわからない予定外の作業なので負担は少なくありません。サイト再構築によってこうした運用負荷も軽減したいという思いがありました」

システム再構築を検討していたタイミングで発生したのが、東日本大震災だ。ビジネスを支えるシステムにも、いつ発生するかわからない災害への備えが必要だと痛感し、サイト再構築と合わせてDRサイトの構築も行なうことになった。

ソリューション

新しいサイトに求められたのは、1Gbpsのトラフィックを処理できること、24 時間止まらないこと、メインサイトに万一のことがあったとしても即座にDRサイトへ切り替え、事業を継続できること。新しいシステムの設置は別のデータセンタ事業者に移管することになったが、運用方法自体が大きく変わらないよう、使用機器やネットワーク構成の変更は少なく抑えられた。ロードバランサには、従来から使用しており安定稼働の実績があるBIG-IP LTMを採用。他社製品よりもインターフェイスが使いやすいことも気に入っていると株式会社アドバンスクリエイト IT統括部の西岡 永幸氏は語る。

「他社ロードバランサを使っていたこともありましたが、インターフェイスがわかりづらく機能を使いこなせませんでした。BIG-IP LTMはGUIもマニュアルも完備されているので、自社できちんと管理できます」

新たに東京に構築されるDRサイトも同様の基本構成で進めることになったが、大阪のメインサイトとの切り替えやデータ同期の仕組みが課題となった。DNSを手動で切り替える手法では、作業とDNS反映に時間がかかってしまう。

「こちらの要望を伝え、インテグレータから提案されたのがBIG-IP GTMでした。DNSを自分たちで構築したり手動で切り替える必要がなく自動化できるので、安全で容易にDRサイトを構築できるのが魅力でした」

さらにメインサイトとDRサイトとの間で行われるデータ同期には、WAN経由でのトラフィックを高速化するBIG-IP WOMも採用された。

これまでは日々の運用で精一杯でしたが、これからはビジネスを牽引する力を増す取り組みに力を注げるようになるでしょう

メリット

大阪のメインサイトは2013 年1月に新サイトへと切り替わった。サーバ類も一新され、従来システムで課題視されていたサイトのレスポンスは格段に向上。季節要因を差し引いてもアクセスやコンバージョン率の向上が見られ、パフォーマンス向上が好影響をもたらしたと考えられている。DNSはBIG-IP GTMに移行し、東京で構築中のサイトが完成すればDR環境も整う予定だ。

■  DNS運用負荷が軽減しセキュリティを向上

DR構築の要として導入されたBIG-IP GTMにより、DNSの運用負荷は格段に軽減されていると東尾氏は言う。「これまでは、BINDの脆弱性情報にアンテナを張り巡らせながら日々の運用をしていましたが、今後はBIG-IP GTMのアップデートに統合できるので作業負荷は格段に軽減されると期待しています。運用負荷の軽減だけではなく、もちろんDNSセキュリティの向上も実感しています」

サイト構築に当たっていくつかのクエリを試してみたところ、BIG-IP GTMが正しいDNSクエリにのみ返答することを確認したという。近年増え続けているDNSを標的とした攻撃への備えとして心強いと東尾氏は語っている。

■  データ同期の高速化で低コスト回線を活用

大阪のメインサイトと東京のDRサイトは、100Mbpsの回線で結ばれ、ほぼリアルタイムでデータベースが同期される予定だ。DRサイト構築に先駆けて行われたテスト結果について西岡氏は次のように言う。

「データ転送のテストを行なったところ、BIG-IP WOMもオンにした場合とオフにした場合とで4~5倍の速度改善が確認できました。通信回線は100Mbpsを境に価格が急激に上がるので、同等の実効速度を回線だけで確保しようとすればかなり高額になってしまいます。100Mbps回線が持つポテンシャルを最大限に引き出してくれるBIG-IP WOMには大いに期待しています」

■  iRulesの活用など新たな取り組みに意欲

従来使われていたBIG-IPに比べ、TMOS v11を搭載した最新のBIG-IPではインターフェイスの進化も見られると東尾氏は述べた。

「トラフィックの状況をリアルタイムで確認できるなど、さらに使いやすくなった印象です。BIG-IP GTM、WOMともに使いなれたBIG-IPのインターフェイスで管理できるので、新たな機器の導入による管理負荷の増加も心配していません」

日々の管理負荷が軽減したことで、今後はより戦略的な取り組みや、新しいトライもできるようになるだろうと村上氏は語る。 「BIG-IPにはiRulesなど魅力的な機能が多く、使いこなせればもっと色々なことができるのではないかと期待しています。これまでは日々の運用で精一杯でしたが、これからはiRulesの活用やスマートデバイス向けコンテンツの拡充など、ビジネスを牽引する力を増す取り組みに力を注げるようになるでしょう」