CUSTOMER STORY

GMOクリック証券株式会社

メリット

BIG-IP自体の故障時にもサービスを継続可能なコネクションミラー機能

最大42Gbpsのスループットで3万同時アクセスにも余裕を持って対応

並列化によりスループットの拡張が可能

課題

サービスの前提となる耐障害性の高いアプリケーション配信基盤の構築

アクセスピーク時に必要なアプリケーション配信能力の確保

今後想定されるトラフィック増加に応える拡張性

年々増加するGMOクリック証券のトラフィック、BIG-IP 11050で余裕の処理能力と拡張性を手に

GMOクリック証券株式会社は、株式やFX取引のオンラインサービスを提供している。サービス展開のスピード感を重視し、システム構築から運用まで全て自社で行なっている。相場の動きにより瞬間的にトラフィックが集中する傾向にあるFX 取引サイトにおいて、取引能力増強を目的としたロードバランサのリプレースが行なわれた。採用されたのは、F5ネットワークスのBIG-IP LTM 11050だ。

年々増加するトラフィックに対応し続ける高いスループットと拡張性が決め手となり BIG-IPを継続採用

FX取引サイトのアクセスピークは相場の動きにより生じる

GMOクリック証券は、システムの開発から運用までを自社で手掛ける数少ないオンライン証券会社だ。100 名近い開発スタッフを擁し、時価配信の仕組みやアプリケーションの開発、システム構築から運用までほぼすべてを自社で行なっている。自社の姿勢について、GMOクリック証券株式会社 取締役である田島 利充氏は次のように語る。

「自社でシステム開発を行なっているのは、スピード感を重視しているからです。企画からサービス提供までの時間をできるだけ短くして、お客様の利便性向上につかながることにはどんどん取り組んでいきたいと思っています」

システム構築において頭を悩ませるのは、年々増加を続けるFXサイトへのトラフィックだ。特に2010年8月に「くりっく365」サービスを開始してから、トラフィック増に拍車がかかっているという。

「トラフィックは昨年に比べて倍以上になりました。FX取引は相場の動きに合わせてアクセスが集中する傾向にあり、その時間に適切にサービスを提供できなければ意味がありません。いつ訪れるかわからないアクセスピークにも十分耐えられるようにするため、システムのサイジングには細心の注意を払っています」

そう語るのは、GMOクリック証券株式会社システム部の箱崎 和男氏だ。膨大な数のアクセスをスムーズに処理するため、GMOクリック証券では歴代のBIG-IP LTMシリーズを採用してきた。サービス開始当初はBIG-IP LTM 1500を、その後のアクセス増加に対応してBIG-IP LTM 3600 へとリプレースした。そして2011年春、さらなるアクセス増に対応するために導入されたのが、BIG-IP LTM 11050だ。

BIG-IP 11050の導入でピーク時のアプリケーション配信能力を増強

リプレースのきっかけとなったのは、ピーク時の帯域の逼迫だった。ユーザ数の増加、スマートフォンの普及により、ネットワーク帯域の余裕は少なくなっていたと田島氏は言う。

「携帯電話向けのサービスでは重要なものだけに絞り込んで情報を提供してきました。スマートフォンにはより多くの情報を提供できるので、ネットワークを流れるトラフィックも増加することになります。こうしたトラフィック増に耐えられるよう、より高速なアプリケーション配信環境を構築することになりました」

単純なBIG-IPのリプレースではなく、投資対効果や性能についての比較検討はしっかり行なわれた。重要視されたのは、スループットの高さと拡張性の高さだ。FXサイトでは短時間にアクセスが集中する傾向があり、使用帯域よりも同時アクセス数の多さがロードバランサの負荷を増やしてしまう。しかしそうした処理能力の指標がないため、スループットを目安として機器を選定したという。

「安定性ももちろん大切ですが、要件というより前提条件として考えていました。また、今後のアクセス増加を視野に入れ、処理能力の拡張が容易な製品であることも重要視しています」

箱崎氏は選定条件についてそう語った。F5ネットワークスを含め3社の製品が候補として挙げられ、処理能力や機能面での比較が行なわれた結果、スループットの高さ、拡張性の高さともに優れていると認められたBIG-IPが続けて採用されることとなった。

「サイジングの際に、BIG-IP LTM 6900の実機を借りてテストする機会を得たのはとても助かりました。BIG-IP LTM 6900は当面の処理には十分でしたが、恐らく2年後にはまたリプレースしなければならないだろうと思われました。そこで、上位機種のBIG-IP LTM 11050を採用することになりました」

BIG-IP LTM 11050の最大スループットは42Gbps。さらに高い処理能力が求められる場合には、同機種を並列化することで処理能力を拡張できることもポイントだと箱崎氏は言う。

ヘルスチェックやフェイルオーバーで高速、安心な配信環境を獲得

BIG-IP LTM 11050により、GMOクリック証券は余裕のある処理能力を手に入れた。ピーク時の同時接続数は3万にものぼるが、アプリケーション配信が滞ることはない。部店ごとの振り分け、PCからのアクセスと携帯電話からのアクセスの振り分け等を行なっている。また、ヘルスチェック機能を活用してアプリケーションの監視も行なっていると、箱崎氏は教えてくれた。

「BIG-IPのきめ細かいヘルスチェック機能を活用し、サービス提供できるか細かくモニタリングしてます。BIG-IPからアプリケーションサーバへ特定のデータを送信し、バックエンドにあるDBの処理の実行結果を確認しています。このヘルスチェック機能により、ユーザに確かなサービス提供が実現できるのです」

いかなるときにもアプリケーション配信を止めずに済むよう、コネクションミラー機能も活用していると箱崎氏は言う。BIG-IP自体に障害が発生した場合にセッションを維持したままフェイルオーバーする機能で、仮に万が一故障が発生した場合にもアプリケーション配信が継続されるため、機器故障発生をユーザに気付かせない。

また、高速なアプリケーション配信基盤を確保できたことで、ビジネス展開にも多彩な可能性が生まれていると、田島氏は言う。

「より多くの投資情報の配信や絶好のタイミングで投資情報を提供できるようなアプリケーションを作れないかというサービス向上の検討や、DRサイト構築を含めたBCPの検討などに、今後取り組んでいこうと思っています。こうしたことはすべて、安定、高速なネットワーク基盤が確保されたからこそ考えられることです」

処理能力に余裕があり、拡張性も高いアプリケーション配信基盤を得たGMOクリック証券。BIG-IP LTM 11050を通じてどのようなサービスを展開していくのか、期待は高まっている。