公共安全機関がF5でAIデータ配信を保護
セキュアで高可用性を備えたデータパスにより、ロボットやドローンのセンサーデータをストレージに転送し、さらに国の公共安全技術機関向けRAGパイプラインへと送ります。
自律型プラットフォームは、映像データとセンサーデータを継続的に生成します。ある国の公共安全技術機関は、これらのデータを保存、変換し、RAGサービスに取り込んでいます。F5 BIG-IP r4600アプライアンスを同機関のWekaおよびVAST Dataストレージの前段に配置することで、この取り込み経路のセキュリティを確保し、負荷を分散します。これにより、境界でデータを保護するとともに、AIアプリケーションで使用するデータを確実に最新の状態に保ちます。
ビジネス上の課題
ある国の科学技術機関は、現場の職員が公共の安全を守るうえで役立つ高度なシステムを開発しています。特に先進的な取り組みの1つが、現場業務を支援するために配備される地上ロボットやドローンなど、自律型ロボティクスプラットフォームの概念実証です。これらのプラットフォームには、コンピュータービジョンシステム、物体検出機構、センサーフュージョン技術が搭載されており、拠点を出発した時点から、画像、テレメトリ、イベントデータを継続的に生成します。
これらのデータはすべて同機関のプライベートクラウドに集約され、S3互換インターフェースを介して、WEKAおよびVAST Dataのソリューションを基盤とする高性能ストレージに書き込まれます。その後、データセットは取得され、必要に応じて変換されたうえで、同機関のAI駆動型アプリケーションを支える検索拡張生成(RAG)サービスに取り込まれます。このパイプラインを流れるデータの鮮度と完全性は、AIの性能を直接左右します。AIがリアルタイムの運用上の意思決定を支援する環境では、これは極めて重要です。データ経路の遅延や侵害は、単なる不便ではなく、運用上のリスクです。
この機関にとって最大の課題は、データソースがWEKAおよびVAST Dataのストレージ環境に到達する前に保護できる、堅牢な境界セキュリティフレームワークを実装することでした。現場のデバイスで生成されたデータは、ネットワーク境界を越え、自らを防御するようには設計されていないストレージAPIに到達します。この機関には、エッジでトラフィックを検査・制御し、通過を許可するすべてのソースを認証すると同時に、取り込み速度を低下させず、データを活用するアプリケーションを中断させない仕組みが必要でした。
プログラムの拡大に伴い、ストレージ層もその成長に対応する必要があります。ロボット、ドローン、センサーパッケージが新たに追加されるたびにデータストリームが増加し、AIの新たなユースケースが加わるたびに、そのデータを読み取る側も増えていきます。この機関には、こうしたデータフローを保護し、その増加に合わせて拡張できるストレージのフロントドアが必要でした。
ソリューション
同機関は、WEKAおよびVAST Dataストレージクラスターの前段にセキュアで高可用性のデータパスを構築するため、r4600の「Best Bundle」構成でF5 rSeriesハードウェアを導入しました。概念実証で検証されたこのアーキテクチャでは、F5 BIG-IP Local Traffic Manager (LTM)とF5 BIG-IP Advanced WAFをDMZに配置し、境界でWebアプリケーションファイアウォール(WAF)、APIゲートウェイ、S3、DNSの各サービスを提供します。そこからBIG-IP LTMが、仮想マシン、Kubernetesベースのサービス、ストレージ環境が稼働するプライベートクラウドプラットフォームへのトラフィックを負荷分散します。
データプレーンでは、BIG-IP LTMがS3オブジェクトリクエストをストレージノード間でインテリジェントに分散し、高いスループットとサービスの可用性を維持します。ノードの健全性を継続的に監視し、ホットスポットによってパイプラインが停止する前に、負荷が高まったノードを避けて取り込みトラフィックを振り分けます。WEKAとVAST Dataの両環境で一貫してこの処理を行うことで、異種ストレージにアクセスするための単一のデータパスを同機関に提供します。また、BIG-IP LTMは、単一の安定したアドレスの背後にストレージエンドポイントを抽象化します。これは、ストレージ運用チームにとって同様に重要な要素です。現場のロボットとデータセンターのRAGサービスの接続を維持したまま、そのアドレスの背後でノードを追加、廃止、または再分散できます。これにより、ストレージ管理者はメンテナンス時間帯を待たずに、運用中でもクラスターを立ち上げられます。
一方、F5 WAFおよびAPIセキュリティサービスは、ストレージ直前のデータパスに配置され、S3 API呼び出しがクラスターに到達する前に検査します。複数フェーズにわたる導入の第1フェーズで実装されたアクセス制御により、認証および認可された送信元のみが、この環境に対してデータの書き込みや読み取りを行えるようにします。この機関の導入ロードマップでは、同じ制御ポイントをAIランタイムセキュリティにも拡張する計画です。RAGアプリケーションが概念実証から本番環境へ移行するのに伴い、F5サービスが推論トラフィックを検査します。
その結果、ストレージ環境の手前にあるデータパス上で、セキュリティとトラフィックを一元的に制御できます。受信時にデータを保護し、送信時にはデータの流れを維持します。
成果
ロボティクスAI向けの信頼性の高いデータ取り込み
地上ロボットやドローンは、映像、検知、センサーフュージョンのデータを、安全で可用性の高い経路を通じてストレージへストリーミングできるようになりました。ストレージノードの性能が低下した場合、BIG-IP LTMがそのノードを迂回してルーティングするため、データ取り込みを継続できます。これらのプラットフォームが依存するAIアプリケーションは、リアルタイムの運用判断に必要なデータへ確実にアクセスできます。
ストレージAPIのための単一のセキュアな窓口
WAF、APIセキュリティ、アクセス制御の各サービスが、S3環境の前段にある単一のポリシー適用ポイントに集約されました。すべてのリクエストはストレージノードに到達する前に検査および認証されるため、データの安全性が各クライアントの適切な動作に左右されることはありません。境界が強化されたことで、ストレージチームが最後の防衛線を担う必要もなくなりました。
RAGパイプラインに最新データを継続的に供給
信頼性の高い取り込み経路により、データセットはオブジェクトストレージから取得、変換され、中断することなくRAGサービスに取り込まれます。最新かつ完全なデータによって、政府機関のAI駆動型アプリケーションは、業務で利用する職員にとって、より正確でレジリエント、かつ信頼できるものになります。
アプリに手を加えずにストレージを拡張
クラスタの前段にアプリケーションデリバリ層がない場合、エンドポイントの変更やホットスポットは、WEKAやVAST Dataストレージのような高性能プラットフォームに大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、BIG-IP LTMがストレージエンドポイントを抽象化するため、機関はアプリケーションや現場のプラットフォームを一切リダイレクトすることなく、WEKAおよびVAST Dataクラスタを拡張できます。ストレージ管理者は、安定したアドレスの背後でノードを追加してデータを再分散でき、クラスタの拡張中もヘルスモニタリングとトラフィックステアリングによってクラスタが保護されます。
AIデータ配信の設計図
この機関がWEKAおよびVAST Dataストレージで実現した成果は、汎用的なS3互換オブジェクトストアでも、トレーニングと推論向けに構築された高性能データプラットフォームでも、ストレージクラスターからAIにデータを供給するあらゆる組織に当てはまります。RAGのデータ取り込み量が増加する中、専用のデリバリーおよびセキュリティ層を導入することで、処理能力が限界に近づいている可能性のあるストレージを、保護され、拡張に対応できるパイプラインへと変えられます。この機関のロボティクスプログラムが拡大しても、そのデータパスは対応できる状態にあります。
メリット
- フィールドデバイスからストレージまでの安全なデータ取り込み
- WAFとアクセス制御でストレージAPIを保護
- RAGパイプラインに最新データを継続的に供給
- 単一の安定したエンドポイントでストレージを拡張
課題
- 急増するロボット、ドローン、センサーのテレメトリ
- オブジェクトストレージへのデータパスが外部に露出
- 信頼できるデータが不可欠なリアルタイムの意思決定