Yan Han Tan
Senior Corporate Communications Specialist
ya.tan@f5.com
Kohei Otsuka
Kyodo PR
kohei.ootsuka@kyodo-pr.co.jp
F5では毎年末、サイバーセキュリティやマルチクラウドネットワーキングなどの分野における翌年のテクノロジートレンドの予測をグローバルで発表しています。今回は特別版として、F5ジャパンのメンバーが日頃お客様と接する中で得たインサイトに基づき、2025年の日本で注目すべきトレンドのトップ5を発表します。
現在、生成AIに主に用いられているのはChatGPTのような汎用モデルですが、近い将来、独自のLLM(大規模言語モデル)や特定のニーズに合わせてファインチューニングされたモデルが登場するでしょう。AIサービスは業界特化型になり、各社が重要なデータをモデルに組み込むようになるでしょう。しかし、AIが無秩序にデータにアクセスできる状態のままだと、不正アクセスなどを受けた場合に、モデルを介して機密データが流出するリスクが高まります。企業がそのリスクを認識したときには、既に手遅れとなっている恐れもあります。早急にAIのセキュリティ対策に取り組む必要があるでしょう。
生成AI関連では、SLM(小規模言語モデル)も2025年の日本で注目すべきトピックでしょう。SLMとは、文字どおりLLMよりコンパクトな(パラメータ数が少ない)ため、GPU計算リソースの消費を抑えつつ、業務領域に合わせてカスタマイズしやすいというメリットがあります。日本でもすでに、NTTやNECなどのベンダーが、オンプレミス環境での運用を想定したSLMを提供しており、今後ユーザー企業が増えるでしょう。LLMとSLM、いずれもRAG(検索拡張生成)を使い企業の固有データと連携した上でAIに出力をさせることになりますので、モデルと自社データ間の接続は常にセキュアに行われているようにすることが重要です。
今日、APIのセキュリティ対策として、「脆弱性の検出」が最初の重要なステップであることを多くのお客様が理解し、無防備なAPIがいかに多いかに気づき始めています。次のステップは、「APIの適切な保護」です。OWASPが挙げているAPIセキュリティ リスクのトップ10への対応は、セキュリティ・プラットフォームに依存するだけでは達成できません。シフト・レフトとシールド・ライトの両方のソリューションをシームレスに提供できるプラットフォームを使い、アプリケーションの開発~実装~運用のライフサイクルで対策を講じていくことが今後間違いなく不可欠になるでしょう。
代表的なコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesは、コンテナ環境においてアプリケーションを実装、運用するのに非常に有益なツールですが、外部ネットワークと組み合わせて運用しようとする場合、アプリ識別の仕組みの問題で、スケールアウト/スケールインをシームレスに構成するのが難しいという課題があります。
対処法として、シンプルな操作とシンプルな物理ネットワークにより、コンテナインフラと外部ネットワークを統合しようとする機運が高まるでしょう。Kubernetes APIとアプリケーションを統合する機能を持つVLANを介して両者を接続することで、アプリのワークロードを動的に取得し、円滑に運用することが可能となります。
既存のアプリケーションをクラウドネイティブ化してビジネスの成長を図る「アプリケーション モダナイゼーション」の重要性は、この数年の間に多くの企業に認知され、F5のお客様もほとんどが、マルチクラウド環境を導入しモダナイゼーションにすでに取り組んでいるか、または検討段階にあります。その一方で、モダナイゼーションを完遂したお客様はまだ少なく、多くはマルチクラウド環境でのアプリ運用の複雑さに悪戦苦闘しています。アプリケーション レイヤを含めたインフラ全体を最適化し、いかにスムーズにモダナイゼーションを進めるかが重要課題になるでしょう。
総合すると、AI利用の広がりと、APIを介した様々なサービスの連携が今まで以上に加速している中で、いかにセキュアな環境を保つか、安定したサービスのダウンタイムを最小化し安定したスケーラブルな環境を実現するか。アプリケーション基盤やインフラを支える技術の文脈においては、当然ながらこれらは当たり前の事として認識されています。しかし、そんな当たり前の事が今まで以上に重要になってきているのかも知れません。お客様とのやり取りの中で基盤技術への重要性の高まりを感じる結果となりました。
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