AIと機械学習:特定の課題に特化したツール

F5エコシステム | 2023年7月10日

人工知能と機械学習(AI/ML)は、近年大きな注目を集めています。お客さま、パートナー、業界アナリスト、ジャーナリストなどとの会議では、オンラインか対面かを問わず、ほぼ必ず話題に上ります。質問や議論が明確なテーマに絞られ、具体的な場合もあれば、焦点が定まらず、漠然としている場合もあります。

AI/MLについて一般的な質問を受けたとき、私はほかの人とは少し異なるアプローチで回答しているかもしれません。私にとってAI/MLは汎用的なソリューションではなく、効果を発揮するにはツールとして具体的な問題に適用する必要があります。

では、企業が抱える課題のうち、AI/MLが解決に役立つものには何があるでしょうか。すべてを網羅しているわけではありませんが、私が特に注目しているものをいくつかご紹介します。

自動化された攻撃

自動化された攻撃は、多くの場合、ボットネットによって実行されます。こうした攻撃は、不正行為による損失、在庫の不正操作、評判の低下、データ窃取、インフラストラクチャコスト、パフォーマンスコスト、サポートコストなど、企業にさまざまなリスクをもたらします。自動化された攻撃を検知して緩和するには、人間によるトラフィックと自動化されたトラフィックの違いを理解する必要があります。

概念的には単純に思えるかもしれませんが、実際にはさまざまな手法を必要とする困難な取り組みです。その手法の1つがAI/MLの活用です。ただし、汎用的に用いるのではなく、不要な自動トラフィックと正当な人間によるトラフィックを区別するという課題に特化して適用します。

不正行為

不正行為は企業にとって深刻化する問題であり、特にオンライン取引が多い企業ではその傾向が顕著です。企業が不正行為によって損失を被る形態はさまざまですが、デジタルチャネルに大きな影響を及ぼす代表的なものとして、アカウント乗っ取り(ATO)と不正なアカウント開設(AO)があります。ATOでは多くの場合、不正行為者などの権限のないユーザーが、漏えいした認証情報、マン・イン・ザ・ブラウザー(MITB)、ソーシャルエンジニアリングなどの手段を用いてアカウントを乗っ取ります。AOでは、不正行為者などの権限のないユーザーが、盗まれた、または合成された個人を特定できる情報(PII)を使用してアカウントを開設します。

多数の誤検知を発生させずに不正を確実に検知するには、ルールベースやシグネチャベースの不正検知だけでは不十分です。エンドユーザーがオンラインアプリケーションを操作する際に、セッション内での意図を把握する必要があります。そのためには、エンドユーザーの行動、デバイスの特性、接続元のネットワーク/環境を観察し、AI/MLを適用して分析します。これもAI/MLの非常に具体的な活用例の1つであり、実際に良好な成果が得られています。

APIセキュリティ

APIセキュリティも、AI/MLを活用して難しい課題を解決できる分野の1つです。企業は、急速に変化する市場のニーズに対応するため、テクノロジーの進化を推し進める必要に迫られてきました。その一環として、エンドユーザーのニーズに応える顧客向けアプリケーションやAPIをリリースしてきました。しかし、こうしたアプリケーションやAPIが、十分なセキュリティ対策や保護を講じないままリリースされる場合があります。また、適切に棚卸し、管理されていない場合もあります。

これらはいずれも、アプリケーションやAPIに脆弱性や弱点をもたらします。そこで企業にとって非常に重要になるのが、AI/MLを活用した検出です。検出により、未知のAPI、インベントリに登録されていないAPI、管理されていないAPIを特定できます。また、APIが適切な種類の認証で保護されていること、リクエストやレスポンスに機密データが含まれていないこと、修正が必要な脆弱性がないことを確認できます。これらはすべて、企業がアプリケーションとAPIのセキュリティを強化するうえで役立つ、AI/MLの具体的な活用例です。

まとめ

AI/MLについて広範で一般的な質問を受けたとき、私は議論の焦点を少し絞るようにしています。私にとってAI/MLは、解決に役立つ特定のセキュリティや不正行為の問題に適用でき、また適用すべきツールです。実際、ほぼすべての企業が直面する重要な問題の中には、AI/MLの活用によって独自の優位性が得られることが実証されているものがいくつかあります。

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