公共部門におけるマルチクラウドと複数クラウドのギャップを埋める

F5エコシステム | 2021年12月01日

公共部門ではマルチクラウド戦略の導入が進んでいるものの、それを実行する政府機関が直面する多くの課題に対応できる効果的なソリューションは、依然として十分ではありません。その課題の1つが、複数のプロバイダーにまたがってホストされるワークロードを安全に相互接続することです。連邦政府向けのCloud Smartや国防総省向けのSCCAでも指摘されているこの問題は、利用するクラウドベンダーが増えるほど深刻になります。

複数のクラウドにアプリを展開している組織は全体の75%を占め、そのうち63%が3つ以上のクラウドを利用していることが、Propeller Insightsの調査で明らかになっています。全体では、半数を超える組織(56%)が、異なるクラウドプロバイダーにまたがるワークロードの管理を困難と感じており、セキュリティ、信頼性、そして全般的な接続性を課題として挙げています。実際、連邦政府のITモダナイゼーションに関する大統領宛ての報告書では、政府機関に対し、データレベルの保護を優先し、最新の仮想化テクノロジーを最大限に活用するよう推奨しています。

こうした困難の一部は、主に運用モデルの違いに起因します。各クラウドは、そのクラウドプロバイダー固有のサービスとAPIを提供しており、多くの場合、お客さまはそれぞれ異なるスキルセット、ポリシー、アプローチに対応する必要があります。どのクラウドでも「ソフトウェア定義ネットワーク」を利用できますが、そのエクスペリエンスはクラウドごとに異なります。こうした環境間の違いを適切に考慮しないと、構成に不整合が生じやすくなり、ゼロトラスト手法の欠如と相まって、セキュリティやパフォーマンスに影響を及ぼします。

クラウドネイティブ(マイクロサービスベース)アプリケーションの導入により、相互通信が必要なインスタンス数が大幅に増加し、相互接続の難しさがさらに深刻化しています。Propellerの調査では、「回答者の70%以上が、プロバイダー間でセキュリティサービスが異なること(77%)、API数の増加(75%)、マイクロサービスベースのアプリケーションの普及(72%)により、マルチクラウド環境でセキュリティ上の問題が深刻化していると回答しています」と報告されています。

この課題により、マルチクラウドネットワーキングに対する新たなアプローチの必要性と需要が高まっています。

公共部門が直面するマルチクラウドネットワーキング特有の課題

マルチクラウドネットワーキングは、アプリケーションデリバリを簡素化する2つの異なるアプローチを統合します。

  1. ボトムアップでソフトウェア定義のネットワーク間接続を採用します。ネットワーク環境間の違いを抽象化し、複数のクラウド環境を併用する際の課題を大幅に簡素化するオーバーレイを構築します。固定された物理インフラストラクチャを高機能なアンダーレイとして活用し、標準化されたクロスクラウドのコントロールプレーンによって、その上に動的な仮想ネットワークを実現します。
  2. トップダウンのアプローチにより、シンプルなコンテナネットワーキングを高度な分散へと拡張します。業界ではコンテナワークロードが事実上のアプリケーション単位として標準化されつつありますが、その基盤となる比較的単純なネットワーキングを他の環境へと拡張する必要があります。これは、環境間のアプリケーショントラフィック管理を支援する分散クラウドが最終的に登場することを示しています。

これら2つの要素の融合により、お客さまのアプリケーションアーキテクチャには、ネットワークワークロード管理を容易にするKubernetesと、ネットワーク間接続を簡素化するソフトウェア定義ネットワークという、2つの抽象化レイヤーがすでに生まれています。しかし、現状では、この2つのアプローチを組み合わせても、依然としてお客さまに大きな負担が生じています。

複数のクラウドが関係する環境で標準化された相互接続方式を確立するには、これらのテクノロジーによって運用面で過度に細かな設定が必要となるため、多くの政府機関が課題を抱えています。クラウド環境全体でネットワークをプロビジョニングし、管理する方法の違いに対応しながらネットワークの標準化を進めるには、多くの場合、各環境の相違点に精通した専門スタッフを確保し続ける必要があります。また、こうした専門家にとっても可視性の確保は大きな課題です。CISAのContinuous Diagnostics and Mitigation(CDM)Programを利用していても、政府機関は複数のテクノロジーを横断して可視性を確保し、コンプライアンス基準に準拠する方法を見いださなければなりません。TIC 3.0により、政府機関が機能を強化するためにクラウドを活用する際の厳格なガイドラインの一部は緩和されましたが、暗号化されたストリームに対して必要な可視性を確保できるセキュリティソリューションをどのように設計すべきかという課題は、依然として残っています。

ソリューションとしてのDistributed Cloud

この2つのソリューションを管理するだけでも大きな負担ですが、複数のクラウドプロバイダーが加わると、問題はさらに深刻になります。この課題には、KubernetesとSDNの連携を強化し、環境の違いに対処するとともに、ネットワークの専門知識がなくても実現できるようにするという、より効果的なアプローチがあります。F5では、このアプローチを「分散クラウド」と呼んでいます。

政府機関では一般に、サービスに最適なネットワークやクラウドを選定する前に、事業上の判断とアプリケーションのニーズを比較検討する際、この問題に直面します。この判断では、コスト、サービス開始の可否、導入の迅速性、コンプライアンス、特定のリージョンに配置する必要性など、さまざまな要因が考慮されます。つまり、アプリケーションの成功に不可欠であると各機関が判断したあらゆる要因です。最初の事業判断で、ネットワーク側の要因や他のクラウドとの相互運用性が考慮されることはほとんどありません。残念ながら、その結果、アプリケーションが想定されるライフサイクルをたどり、組織内の他部門がクラウド利用について新たな判断を下すにつれて、別の課題が生じやすくなります。

F5は、ビジネスニーズに特に適し、Cloud SmartおよびSCCAのガイダンスに準拠したクラウドテクノロジーを採用するという判断は、たとえ複数のベンダーや環境を利用することになっても、本質的に誤りではないと考えています。特定のクラウドプロバイダーだけのメリットを追求するのではなく、ネットワークに関するスキル、アプリケーションのニーズ、ビジネス上の要望に照らして現実的かつ導入可能で、拡張を前提に構築されたソリューションを活用し、すべてのクラウドに共通性を持たせてコンプライアンスを徹底することを推奨します。

分散クラウドに対するF5のアプローチは、次の3つの重要な考え方に基づいています。

  1. ネットワークは、品質や市民/従業員のエクスペリエンスを損なうことなく、場所や時間を問わず利用できるモデルをサポートする必要があると考えています。
  2. お客さまがどの基盤クラウドを選択しても、あらゆるインターネットワーキングクラウドはシンプルかつ包括的で、一貫性を備えているべきだと考えます。
  3. シンプルかつ宣言型でAPI駆動の統合を制御プレーンと管理プレーン全体で実現することで、お客さまはより大きな価値を得られるべきだとF5は考えています。

分散クラウドモデルでは、お客さまのアプリケーションのユーザーに対し、最高水準の品質、パフォーマンス、セキュリティをほぼリアルタイムで提供する必要があると考えます。F5は、大幅なコスト増加、プロビジョニングに伴う時間的制約、環境による差異を生じさせることなく、クラウド間の弾力性という概念を実現する分散クラウドの提供を目指しています。

F5は、一貫性のあるテクノロジーとプラクティスを提供することで、こうした重大な局面に正面から対応する幅広いソリューションポートフォリオをすでに構築しています。現在は、お客さまのアーキテクチャ内にあるすべてのアプリケーションへと、その対象を拡大すべく取り組んでいます。より多くのAdaptive Applicationsへの移行を推進するという使命の一環として、各機関がこうした移行を完了し、環境ごとにネットワークの専門家チームを配置することなく、ワークロードを最も効率的かつ効果的な場所、リージョン、またはコストモデルへ容易に移行できるよう支援することを目指しています。

F5の独自性は、お客さまがF5の公共部門向けソリューションを活用し、オンプレミスの重要なワークロードとクラウド規模のマルチクラウド環境を橋渡しできる点にあります。F5によるVolterraの買収により、政府機関は、真に共通化された制御・管理プレーンを通じて、パブリッククラウドのワークロードとネットワークにも同等の運用性と機能を適用できます。これにより、クラウド間の接続を確立するためだけに、クラウドごとに複数のチームを編成したり、環境固有の多数のAPIを管理したりする必要がなくなり、ネットワーク間接続の課題が簡素化されます。

F5は、シンプルで効果的なマルチクラウドビジネスソリューションをお客さまに提供することを、引き続き優先課題としています。組織が求める「今すぐ実現したい」というニーズへの解決策は、F5のテクノロジーによって、より優れ、より高速で、よりセキュアかつ分散化されたクラウドを構築することで、確実に手の届くところにあると考えています。

複数のクラウドを個別に管理する段階から脱却し、マルチクラウドネットワーキングを導入する方法をご覧ください


本コンテンツの一部は、以前の「投稿」を再構成し、公共部門向けにカスタマイズしたものです。

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