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F5 Distributed Cloud Servicesが新たなL7 DDoS攻撃に立ち向かう

Sudhir Patamsetti サムネール
Sudhir Patamsetti
Published February 10, 2023

F5は2022年、エッジベースのセキュリティを必要とする企業組織に対してWebアプリケーションとAPIの保護を提供し、サービスとして利用できるDistributed Cloud Servicesを発表しました。今日の相互接続された世界ではサイバー脅威が増加しており、組織は重要なインフラストラクチャを新しい、進化し続ける攻撃から保護する態勢を整えなくてはなりません。最も一般的なタイプのサイバー攻撃の一つが、DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)です。この攻撃は最大規模のWebサイトやオンライン サービスでも停止させてしまう場合があります。

先頃、Killnetとして知られるロシア寄りの有名な政治的ハッカー グループが、欧州の大規模組織に対して巧妙なL7 DDoS攻撃を仕掛けました。この攻撃は、会社のサーバーに最大120,000 RPSの攻撃トラフィックによって、ユーザーがWebサイトにアクセスできなくすることを目的としたものでした。しかし、F5 Security Operations Center(SOC)の努力とF5 Distributed Cloud Servicesの高度なDDoS緩和機能によって、攻撃の緩和に成功し、攻撃中もWebサイトの運用を継続させることができました。この攻撃は、同グループを発端とし、過去数週間にわたって繰り広げられていた複数のDDoSキャンペーンの一つでした。

注:これは一週間にわたって行われた一連の激しい攻撃キャンペーンですが、緩和に成功した結果、このブログに掲載できることとなりました。

このDDoS攻撃は、世界中の複数の地域から仕掛けられました。上の地図の灰色の点は攻撃元を表し、赤い四角マークはF5 Global Networkの接続拠点で、アプリケーションの攻撃トラフィックをフィルターで遮断し、正当なトラフィックが受け入れられた場所を表しています。

Killnetからの攻撃の主な特徴の一つは、アプリケーション層(L7)を狙うという点です。これらの攻撃は特に検知や緩和が困難です。それは、攻撃が正常なユーザー行動を模倣する(正当なトラフィックとの区別が困難)だけでなく、複数のアプリケーション攻撃ベクトルや改変機能(さまざまなソース ロケーション、IP、その他の攻撃要素の循環など)が関与しているためです。

攻撃元となる上位のソースIP。この攻撃トラフィックは世界各地の分散型IPアドレス経由で散見されます。
この攻撃シナリオにおいてほとんどの攻撃トラフィックの原因となっているTLSフィンガープリント。

たとえトラフィック源が19か国の35個の異なるIPアドレスに分散されていても、攻撃トラフィックの攻撃元となっているのはわずか3つのTLSフィンガープリントです。上の図にあるように、攻撃トラフィックの72%が1つのTLSフィンガープリントから仕掛けられています。このフィンガープリントはTofseeマルウェアとの関連性があるとされ、Tofseeに感染したシステムがDDoSボットネットの一部として利用されます。

攻撃者は、位置情報保護の空白部分を見つけ出そうと、さまざまな地理情報を用います。
攻撃で標的となるさまざまなHTTP方式とURLの組み合わせ。

F5 SOCでは、トラフィック フィルタリング、IPインテリジェンス、レート制限など、攻撃から防御するためにさまざまな戦略をとっています。このような多岐にわたる戦略によってチームは、正当なトラフィックをWebサイトに受け入れながら、悪質なトラフィックのみを識別してブロックすることができます。悪質なトラフィックの緩和に必要なもう一つの重要な要素は、リアルタイムの脅威インテリジェンスとL7 DDoS自動緩和機能をチームで使用することです。これによって、人間が介在する必要なく攻撃をあらゆる側面から阻止できます。この情報を使用すると、地理的場所、さまざまなIPアドレス、新しい攻撃経路をたどるうちに攻撃が進化していっても、攻撃者を出し抜いて防御対策を迅速に調整することができます。

KillnetなどのグループによるL7 DDoS攻撃の緩和に成功したことは、ニューノーマルを表しているといってよいでしょう。このように攻撃が抑制されたことで、複数の階層にわたるセキュリティ インフラストラクチャを整備し、十分な訓練を受けたセキュリティ チームがリアルタイムでサポートすることの重要性が明らかになりました。トラフィックのフィルタリング、レート制限、クラウドベースのDDoSスクラビング、リアルタイムの脅威インテリジェンス、綿密な障害復旧計画を組み合わせて利用することにより、組織はインフラストラクチャやアプリケーションを標的とする非常に巧妙なDDoS攻撃からも身を守ることができます。

現在攻撃を受けていて、緊急にF5 Distributed Cloud Servicesについて情報を入手されたい場合は、当社の緊急サポート窓口((866) 329-4253または+1 (206) 272-7969)までご連絡ください。