生成AIアプリ:実験から本番環境へ

F5エコシステム | 2024年7月18日

期待は膨らむばかりです。生成AIを活用したアプリケーションには、人の生産性を高め、ひいては企業の利益を向上させることが期待されています。しかし、多くのユースケースでは、実験から本番環境に移行する道のりは、今なお慌ただしく危険に満ちています。まるで、コナミが1981年に発売したビデオゲーム「Frogger」のようです。カエルはまず交通量の多い道路を渡り、次に流れの速い川を越えて、家に帰らなければなりません。立ち止まることはできませんが、常に前へ跳べるわけでもありません。そこには避けがたい危険があるからです。

企業はカエルです。道路と川は、目まぐるしく押し寄せるAIテクノロジーの奔流です。安全な場所(車の途切れた道路や浮かぶ丸太)は、自社開発プロジェクトやベンダーの製品・サービスを表しています。乗用車、トラック、カメ、そして丸太のない水面は、生成AIがもたらす倫理、法律、プライバシー、精度上のリスクです。対岸のゴールは、生成AIアプリケーションを本番環境に導入し、ビジネス上の成果が飛躍的に高まる場所です。

Frogger
生成AIを本番環境に導入するのは、Froggerをプレイするようなものです

生成AIが急速に普及したことで、企業内には焦燥感にも似た切迫感が生まれています。しかし、モデルの進化があまりにも速く、足元の状況が絶えず急変するため、方向性を見定められず、動けなくなる組織もあります。生成AI導入の秘訣は、Froggerのゲームを始めるときと同じです。まずは飛び込んでみましょう!

生成AIの基本的なユースケースを出発点として、企業は望ましいと思われるものを選定したら、実験を始めることができます。AI対応アプリケーションの構築、サードパーティ製品の試用、またはその両方を行うことで、初期の試行を通じてビジネスに本当に必要なものが明確になります。この初期段階で成功する鍵は、安全性と有効性に関する本番環境の要件を満たす最小限のアプリケーションを完成させることです。これが組織の基盤となります。そこから、どのモデルの進歩が重要か、構築と購入のどちらがより賢明かを判断しながら、前進できます。

生成AIを導入しようとする組織の歩みを必ず遅らせる「落とし穴」が2つあります。社内でのモデルのトレーニングと、非公開データリポジトリです。基盤モデルは今や数週間から数か月単位で進化し、派生バージョンは毎日更新されています。その証拠は、HuggingFaceのモデル追跡ページを見れば一目瞭然です。この記事の執筆中に開いたページでは、1分以内に更新されたモデルだけで、ほぼ1ページ全体が埋まっていました。2分以上前に更新されたモデルを見つけるには、画面を下にスクロールしなければならないほどです。

AIに投げかけた質問への回答に必要なデータが公開されている場合、API経由で利用できる多様な基盤モデルがすでに存在する可能性が高いでしょう。一方、データが非公開の場合は、推論時にそのデータを送信するか、モデルを自社で構築または調達し、プライベート環境にデプロイするかを判断する必要があります。モデルの利用料を支払う方が、自社でモデルを構築するかライセンスを取得し、ホスティングと保守を行うよりも確実に迅速で、費用も安く済む可能性が非常に高いでしょう。自社が最も得意とすることは何でしょうか。大規模言語モデル(LLM)の構築や保守でないなら、自社で構築してホスティングするのではなく、購入する方がよいでしょう。

また、非公開データについても、LLMを利用するためのコンテキストウィンドウやカスタマイズオプションが急速に成熟し、クラウドコンピューティングですでに受け入れられているものと同等のエンタープライズグレードのセキュリティとコンプライアンスが、ほとんどの企業の要件を満たすようになっています。実際、お客さまのデータをトレーニングに使用しないという要望は、2023年にモデルプロバイダーへ明確に届きました。たとえば、ChatGPT Enterpriseは、SOC 2 Type 2への準拠、SAML SSO、保存中および転送中のデータの暗号化に加え、データ保持とドメイン検証に対応する専用ワークスペースを備えているとしています。なかなかのものではないでしょうか。実際、Fortune 500企業の92%にとっては、十分な水準のようです。

生成AIの可能性を信じる組織は、内在するリスクや日々進歩するLLMを前に、立ちすくむ必要はありません。リスクを十分に認識したうえで取り組むことで、成果を上げられます。最初の実験サイクルを通じて確信を深め、安全かつ倫理的に利用した場合に最も大きな効果が見込めるタスクを優先できるようになります。こうしたタスクを本番環境で組織全体に展開すれば、評価担当者や実装担当者に余裕が生まれます。また、組織は生産性向上の効果を測定し、次に取り組むタスクの優先順位を決め、LLMを自社で構築するか、外部サービスへのアクセスを購入するか、どちらがより合理的かを判断する時間を確保できます。

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著者について

James Hendergart
James Hendergartテクニカルリサーチ担当シニアディレクター | F5

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