マーケティングから採用、運用、セキュリティに至るまで、あらゆる分野でのAI活用が大きな注目を集めています。F5の年次調査によると、ほとんどの組織がビジネス、運用、セキュリティの各分野でAIの活用に強い関心を寄せています。

いずれも驚くようなことではありません。多くの調査から、さまざまなビジネス機能やIT機能を支援するために、AIの導入が着実に進んでいることが示されています。
あまり語られていないのは、開発にAIがどのように取り入れられているかという点です。
ビジネスとセキュリティにおけるAIの価値は、パターンや関係性を認識し、行動につながるインサイトを生み出す能力にあります。多くの人は、その能力を支える「エンジン」について意識していないため、価値あるインサイトをまるで魔法のように見いだすために、どのようなAI技術が使われているのかを詳しく掘り下げることはありません。
機械学習は、データ分析とモデリングに重点を置くAIの一分野です。十分な時間とデータがあれば、異常な挙動を示すパターンをリアルタイムで特定できるため、セキュリティにも活用できます。同様に、ビジネスデータに潜む、製品やサービスのマーケティング機会につながる見えにくい関係性を見つけることもできます。
しかし、機械学習はモデリングにも優れています。つまり、何百もの「もし~なら」というシナリオを実行し、複数の変数間にある複雑な関係への理解を深めることができます。開発、すなわちエンジニアリングにおける変数としては、データサイズ、割り当てメモリ、I/O速度、ネットワーク帯域幅、仮想マシンのパラメーターなどが考えられます。機械学習は非常に柔軟であり、変数を特定すれば、そのさまざまな組み合わせをモデル化して「最適な」組み合わせを見つけることができます。
たとえば、F5 Distinguished EngineerのLaurent QuerelとF5 Sr. ArchitectのSebastien Soudanは共同で、PubSubからBigQueryへデータを効率的に取り込む方法を構築するために、どのようにモデルを設計したかを解説する記事を最近公開しました。
また、今日のソフトウェア最適化に機械学習を活用する方が適している理由についても、非常に分かりやすく説明しています。ここでは、その言葉をそのまま引用します。
「現在、ソフトウェアの最適化は反復的かつ大部分が手作業のプロセスであり、プロファイラーを使用してソフトウェアコードのパフォーマンス上のボトルネックを特定します。プロファイラーはソフトウェアのパフォーマンスを測定し、開発者が確認してコードをさらに最適化するためのレポートを生成します。この手作業によるアプローチには、最適化が開発者の経験に左右されるため、非常に主観的になるという欠点があります。また、時間がかかり、網羅性に欠け、エラーが発生しやすいうえ、人間のバイアスにも影響されます。クラウドネイティブアプリケーションは分散型であるため、手作業による最適化プロセスはさらに複雑になります。
十分に活用されていない、より包括的なアプローチとして、性能実験とブラックボックス最適化アルゴリズムを用いる別の種類のパフォーマンスエンジニアリングがあります。より具体的には、多数のパラメーターを持つ複雑なシステムの運用コストを最適化することを目指します。」
開発においてAI、特に機械学習の活用が進む背景は、IT運用全般で導入が進む背景とほぼ同じです。手作業によるプロセスは時間がかかり、エラーが発生しやすく、人間のバイアスにも左右されやすいためです。
ITのモダナイゼーションと完全なデジタルビジネスへの着実な移行には、開発/エンジニアリングも含まれます。
適切なモデルを設計するプロセスや、実際の経験から得られた知見を把握するだけでも、「Google Vertex AI Vizierを使用してアプリケーションを最適化する」を一読することをお勧めします。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
Lori Mac Vittieのその他のブログ記事関連するブログ記事

SOAS 2025:足並みの乱れが凡庸さを招く
AI導入における方針の不一致は、非効率を招きます。セキュリティ、自動化、導入の各戦略を整合させ、AIの可能性を最大限に引き出す方法をご紹介します。

WebAssemblyが重要な理由
WebAssembly(Wasm)は、あらゆるプラットフォームで高性能なアプリケーションを実現する、ポータブルで高速かつセキュアなバイナリ命令セットです。
インフラストラクチャは依然として格好の攻撃経路
クラウドコンピューティングでは、APIやドラッグ&ドロップ式の設定ツールを活用し、ネットワークやインフラストラクチャを敬遠する人がそれらを直接扱わずに済むようにすることで、インフラストラクチャへの対応を不要にすることが長年追求されてきました。しかし、インフラストラクチャを無視することも、攻撃の主要な標的であるという事実を見過ごすこともできません。
堅牢なデータアーキテクチャがもたらす戦略的メリット
適切に構築されたデータアーキテクチャがもたらす効果は、業務プロセスの改善にとどまりません。戦略的な業務効率の向上、より深いビジネスインサイトの獲得、隣接するビジネス機会への展開にもつながり、これらすべてをより俊敏に実行できるようになります。
デジタルワークフローにおける不正検知には、データだけでは不十分
2019年には、業界全体でクレジットカード詐欺の試みが約25万件確認されました。これは約2分に1件の割合です。今日、不正を検知するには、デジタルワークフロー上のできるだけ多くのポイントから収集したデータを相互に関連付け、手作業によるデータ処理をはるかに上回る速度で分析する能力が求められます。