F5の「2017 State of Application Delivery」調査によると、5社に1社が自社アプリの50%以上をクラウドへ移行する計画です。そのうち少なくとも一部は、現在「レガシー」と呼ばれるアプリになると見て間違いないでしょう。モノリシックな「ファットクライアント」アプリであれ、2000年代初頭の3層Webアプリであれ、アプリの分解が急速に進む世界では、間違いなく「レガシー」です。どれほど速いかは……ここで詳しく語るべきではない、少々生々しい例えが浮かぶほどです。
そこで問題となるのは、移行するかどうかではなく、いつ、そしてどのように移行するかです。レガシーアプリケーションのクラウド移行に向けて、取り組みを支え、成功につなげるために何を検討し、どのような準備を進めるべきでしょうか。
移行の準備にあたり、確認しておくべき4つの簡単な質問をご紹介します(質問するだけでなく、答えを出すこともお忘れなく)。
1. コンテナかVMか?
はい、今ではこれも選択肢の1つであり、特にVMの変換が必要なクラウドへ移行する場合は、真剣に検討する必要があります。2016 Apache Mesos調査では、回答者の51%がレガシー/モノリシックアプリケーションをコンテナで実行しています。コンテナをクラウドへ容易に移行できる可搬性は、この方法を選ぶ理由の1つとして挙げられています。もう1つの理由は、クラウドと同様に、コンテナにもコスト削減効果が期待されていることです。NetEnrichの調査では、回答者の46%が「開発者の生産性向上、インフラストラクチャ費用の削減、その他の効率化など、コンテナの利用によって年間ITコストを最大30%削減できると期待している」と回答しました。
もちろん、VMにも独自のメリットがあります。特に、Microsoftのアプリやサービス、クライアント側のユーザーインターフェースアプリケーションなど、コンテナでは対応できないレガシーアプリを収容できる可能性が高い点です。また、クラウド上のアプリ管理担当者はVMに精通している可能性が高いため、既存のスキルを活用することで、長期的に運用コスト全体を削減できます。
2. スケーラビリティ
このアプリをどのようにスケールさせますか。クラウドコンピューティング全般の大きなメリットの1つを生かし、自動でスケールさせるのが理想です。ただし、ほとんどのレガシーアプリはステートフルである可能性があります。そのため、クラウド上でアプリを正常に動作させたままスケールするには、負荷分散層に特定の機能が必要となり、スケーリングには注意が必要です。多くのレガシーアプリ、特に従来型の3層Webアプリでは、アプリの動作に必要な状態を維持するためにパーシステンスを使用する必要があります。ほとんどのレガシーアプリでは、リクエストを無差別に振り分ける「spray and pray」方式でスケールすることはできません。そのため、アプリを正常に動作させたままスケールできるよう、クラウドに適した負荷分散サービスを選択することが重要です。
3. セキュリティ
セキュリティは常に考慮すべき事項ですが、レガシーアプリをクラウドに移行する場合は、特に注意が必要になることがあります。とりわけ、これまで外部に公開されたことのない社内アプリの場合は注意が必要です。アプリをクラウドに移行すると外部公開されるため、認証済みユーザーのみにアクセスを制限する必要があります。そのためには、IDフェデレーションが必要になる場合があります(社内のIDストアもクラウドに移行する場合を除きますが、その可能性は低いでしょう)。また、SSL証明書の取得を検討し、その管理計画もあらかじめ用意しておく必要があります。
レガシーWebアプリの場合は、アプリのセキュリティとDDoS対策の両方が確保されていることも確認する必要があります。レガシーアプリには既存のポリシーや保護対策がない可能性があるため、セキュリティを損なうことなく時間とコストを節約するには、クラウドセキュリティサービスの利用を検討するとよいでしょう。既存のサービスがあり、それらもアプリとともに移行したい場合(常に推奨される方法です)は、真の「リフト&シフト」をより適切に実現できるコロケーションクラウドモデルへの移行を本格的に検討するとよいでしょう。
4. DNS
クラウドについて議論する際、DNSが話題に上ることはほとんどありません。しかし、レガシーアプリをクラウドに移行する以上、ユーザーがそのアプリにアクセスできるようにする必要があります。適切なタイミングでDNSが更新されるようにしてください。見落とされがちですが、アプリの移行時にはデジタル上のアドレス帳を更新することが重要なため、DNSは優先的に検討すべき事項です。
レガシーアプリをクラウドに移行する際には検討すべきことが数多くありますが、少なくともこの4つについては、アプリをそのままクラウドへ移行する前に必ず確認し、答えを用意しておく必要があります。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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