従来型ITと、より俊敏でDevOps主導のITとの分断が固定化した結果、データセンターのアーキテクチャは実質的に二層化しつつあります。この動向を注視してきた方にとっては、驚くことではないでしょう。私は長年にわたり、より迅速かつ頻繁に変更を進めたい運用担当者や開発者から、数多くの相談を受けてきました。しかし、その妨げとなっていたのはコアネットワークのハードウェアの硬直性ではなく、変更の実施に手作業での承認や処理を必要とするプロセスの硬直性でした。

データセンターに出入りするデータを安全、安定、かつ高速に転送できる状態を維持する担当者と、ビジネス成長の起爆剤になると期待されるアプリケーションや機能を今すぐ市場に投入する担当者との間には、必然的に摩擦が生じます。その結果、激しい言い争いや責任の押し付け合いが起こり、互いに不満を抱くことになります。
多くの人は「boxen」を責めたがります。ネットワーク内に存在する旧式のレガシーハードウェアは、アプリケーションの拡張性とセキュリティの維持に必要な重要サービスを提供しているにもかかわらず、単に「邪魔をしている」と見なされがちです。しかし実際には、boxen自体に責任があるわけではありません。現在では、そのほぼすべてにAPIが搭載されており、curlを利用でき、HTTPの実用的な知識があれば、アプリケーションのデプロイに付随するサービスを誰でも構成、管理、操作できます。こうした「boxen」の多くはそれ自体が仮想化されており、データセンターのより深い階層と同様の仮想環境を提供します。
継続的デプロイという高速道路において、これらが障害になることはほとんどありません。
むしろ、DevOpsの支持者がよく言うように、組織やその文化の硬直性こそが摩擦を生み、アプリケーションのデプロイを遅らせています。変化の激しいアプリケーション開発環境とは異なり、本番環境では安定性とセキュリティを維持する必要があるため、ミスや、それに伴って避けられないビジネスの中断に対する許容度は低くなります。
これは必ずしも悪いことではありません。コアネットワークには、データセンター内のアプリケーションへのアクセスを確保するだけでなく、業務でパブリックSaaSソリューションを利用する社内ユーザーのためにも、高い可用性を維持することが不可欠です。
しかし、最新のデータセンターにおける2つのアーキテクチャ層のニーズをより適切に両立させるには、組織は制約を緩和する必要があります。アプリケーションのデプロイは、実際により迅速かつ頻繁に行わなければなりません。そのためには、現在のプロセスを真剣に見直す必要があります。こうしたプロセスは、管理対象の機器よりもはるかに硬直的で融通が利かない場合がほとんどです。今日、IT運用プロセスは、ビジネスプロセスと同様に事業にとって重要です。ビジネスリーダーは、効率性とビジネスパフォーマンスの向上につなげるため、ビジネスプロセスを精査、評価、文書化、自動化し、改善する必要があることを理解しています。さらに重要なのは、必要に応じて変更できるだけの俊敏性をIT運用プロセスに持たせることです。そのためには、組織がプロセスを把握し、非効率な点やボトルネックを厳しい目で評価する姿勢が求められます。
2016年のAIIM Industry Watch Report「情報管理―2016年業界動向」では、回答者の55%が、ビジネスプロセス管理(BPM)は自社のビジネスにとって重要(38%)または不可欠(17%)であると回答しています。
テクノロジーを活用してプロセスを強化した企業では、あらゆる面で改善が見られました。
❶ 3分の1の組織でレビューと承認のサイクルが短縮され、62%が、担当者への、また担当者間のルーティング改善によるメリットを実感しています。42%は、組織のアジリティ向上とプロセス間のルーティングによるメリットを挙げています。
❷ 回答者の53%は、ビジネス上重要な業務の処理迅速化が最大の価値をもたらしたと回答しています。45%は、エラーの減少と例外処理を最大の価値として挙げています。
❸ 回答者の41%が1年以内に投資を回収しており、そのうち17%は6か月以内にROIを達成したと回答しています。また、25%は18か月以内にROIを達成しています。
ITでは「オーケストレーション」という用語が頻繁に使われますが、プロセスとの関係が論じられることはほとんどありません。オーケストレーションを活用して、デプロイを管理する運用プロセスを自動化することで、初めて真の改善が実現します。バリューストリームに潜む無駄やギャップを見つけ、待ち時間、不要な承認、重複を排除することで、組織はビジネスプロセスで得られたものと同様のスピードと俊敏性の向上を実現できます。
DevOpsと呼ぶにせよ、運用プロセス管理(OPM)と呼ぶにせよ、実際には両者は密接に関連しています。組織が安定性とセキュリティを損なうことなく、アプリのデプロイにおける俊敏性とスピードを高めるには、ビジネスプロセスですでに実践してきた取り組みを、IT運用プロセスにも適用する必要があります。
そして、これはデータセンターに物理マシンがあるかどうかとは、ほとんど関係ありません。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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