SDDC(Software-Defined Data Center)やDevOpsなど、アジリティを重視した手法やアーキテクチャへの関心は、主にスピードと安定性という2つの目標の達成に向けられています。前者については、ほぼあらゆる規模の組織で本番環境を確実に管理するデプロイメントパイプラインにアプリを通す時間を短縮し、市場投入までの期間を改善することが目的です。
本番環境がビジネス全体を支えているという理由だけでも、安定性は不可欠です。本番環境は、基幹ネットワークや重要なアプリケーションで構成され、良いものも悪いものも含め、あらゆるビジネスシグナルが流れる神経系の役割を果たします。中断は許容できません。設定ミスなどのエラーによってダウンタイムが発生した場合、その影響範囲は甚大です。安定性を確保しながら、アプリケーションの開発からデプロイまでのスピードを向上させる必要があります。
これは決して容易な作業ではありません。その主な理由は、環境が複雑だからです。単に新しいサーバー、いくつかのソフトウェア、ネットワークを用意すればよいわけではありません。アプリインフラストラクチャだけでなく、アプリサービスインフラストラクチャも含む、高度に統合された接続群です。また、アプリサービスインフラストラクチャも、ネットワーク図から受ける印象ほど単純ではありません。ファイアウォール、ロードバランサー、アプリを順に配置するだけではないのです。実際には、セキュリティ、スケーラビリティ、パフォーマンス、アクセスにわたる、より堅牢なサービス群で構成されています。各サービスは新たにプロビジョニングする必要が生じる場合があり、必ず設定が必要です。さらに、エンドユーザーから実際のアプリケーションまで適切に通信できるよう、適切なネットワークサポートも欠かせません。組織は、アプリケーションの配信とセキュリティ確保のために、平均11種類のアプリサービスを利用しています。さらに、こうした組織が平均500種類のアプリケーションをサポートしていることを考えれば、本番環境自体が極めて複雑なサービスのネットワークである理由がよく分かります。

これがアプリ導入の現実であり、市場投入までの時間短縮と導入効率の向上を実現するうえで、ネットワークが依然として「障害」になっていると見なされがちな理由です。
SDDC:安定性を犠牲にせずスピードを実現
スピードと安定性の両立は、まさにSDDC(Software-Defined Data Center)のような取り組みが目指すものです。データセンターの一元的な指揮統制システムを通じて自動化とオーケストレーションを実現することで、組織はアプリケーションの配信とセキュリティ確保に必要な多様なアプリケーションサービスをより適切に管理できるだけでなく、その導入プロセスを監視、測定、改善できます。
問題は、真にエンタープライズクラスのデプロイパイプラインに必要な幅広いサービスを、単独ですべて網羅できるベンダーが存在しないことです。たとえば、ネットワークサービスのプロバイダーが、すべてのアプリケーションサービスも提供しているとは限りません……
つまり、プロビジョニングと管理を自動化し、オーケストレーションすることで、デプロイパイプラインを実際に最適化してばらつきを抑えるには、エコシステム型のアプローチが必要です。これは、統合されたパートナー各社が机上だけでなく本番環境でも連携し、一貫性があり、シームレスで再現可能な一連の本番デプロイプロセスを実現するエコシステムです。
VMwareやF5のようなパートナーは、SDDCなどの取り組みを組織の成功へと導く共同ソリューションの開発と実装に長年取り組み、そのコミットメントを実証してきました。
アプリケーション(およびビジネス)に必要なパフォーマンス、可用性、セキュリティを提供するうえで重要とされるサービスについて、運用の俊敏性を実現することは容易ではありません。利用可能なITリソースの大半を消費せずに、これを一貫して実現するのはさらに困難です。VMware NSXやVMware vRealize Orchestratorを使用してVMwareとF5を組み合わせて導入することで、組織はアプリケーションの可用性とセキュリティの維持に必要なアプリケーションサービスを、迅速かつプログラムによってプロビジョニングできます。VMwareとF5は、Software-Defined Data Center(SDDC)で連携し、多種多様なアプリケーションに対応するアプリケーションネットワーキングサービスのオーケストレーションを改善しています。
クラウド環境でも同様です。
これが重要なのは、今や単なるクラウドの時代ではなく、ハイブリッドクラウドの時代だからです。少なくとも、F5が実施した最新の「State of Application Delivery」調査では、回答者の81%がそう答えています。つまり、VMware NSXやvRealize Orchestratorなどのオーケストレーションおよび管理ソリューションと連携するだけでは不十分です。クラウド上のアプリケーションの配信とセキュリティ確保を担うサービス自体も、クラウドに導入できることが不可欠です。そのためF5では、アプリケーションがどこに導入されていても、その可用性、パフォーマンス、セキュリティに対応できるよう、F5ソフトウェアをvCloud Airに導入する機能も提供しています。データセンターとvCloud Airの両方で、F5による単一のサービス配信プラットフォームの一貫性と、VMwareを通じた統合プロビジョニングおよび管理を実現することで、俊敏性の向上、コストの削減、セキュリティの強化、パフォーマンスの向上、信頼性の改善につながります。
ビジネスに必要な安定性と予測可能性を損なうことなく、「ネットワーク」が市場投入期間の短縮や運用効率の向上を妨げないようにします。
こうした説明だけでも魅力は伝わりますが、よく言われるように、真価は実際に見てこそ分かります。F5は、ビジネス需要に応じてVMware Horizonをスケールできる、この新しいSDDCオーケストレーション/自動化ソリューションを、サンフランシスコで開催されるVMworld 2015でデモンストレーションします。デモをご覧いただける機会は2つあります。9月2日午前8時からのブレイクアウトセッション「NET6320-SPO」と、イベント期間中のブース#1513です。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
Lori Mac Vittieのその他のブログ記事関連するブログ記事

F5 Application Study Tool:OpenTelemetryによるF5 BIG-IP環境の監視
F5の新しいオープンソースツールは、BIG-IP環境を詳細に可視化し、データを追跡するとともに、強力でカスタマイズ可能なインサイトを得るための基盤を提供します。
F5 BIG-IPでAI防御を実現
F5 BIG-IP Advanced WAF、BIG-IP APM、BIG-IP SSL Orchestratorが、生成AIアプリ向けに包括的なセキュリティソリューションを提供する仕組みをご覧ください。
F5 Advanced WAFによるGraphQL APIの保護
ここ数年、多くの組織がデジタルトランスフォーメーションを進めており、COVID-19のパンデミックによってその動きは加速しています。
アプリケーションサービスの現状 通信業界版:リーダーとしての台頭
通信ネットワークが進化し、さまざまな業界の幅広いユースケースに対応するなか、通信業界の回答者がテクノロジーリーダーとしての存在感を高めていることがわかります。
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではない
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではありません。真のモダナイゼーションにアプリケーションアーキテクチャとセキュリティの再構築が必要な理由を、F5ブログでご覧ください。
やめましょう。もう本当にやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。
もうやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。プロトコルのパフォーマンスに関する微妙な違いと、暗号化トラフィックを適切に最適化する方法については、F5ブログをご覧ください。