2014年、Lori MacVittieと私は、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを支えるアプリにとって、アプリケーションサービスがいかに不可欠であるかについて議論を始めました。こうしたビジネス施策の成否は、最終的にアプリケーションのパフォーマンス、デリバリー、セキュリティにかかっていると考えたのです。当時、デジタルトランスフォーメーションが仕事や余暇のあり方を変えるという期待が、まさに現実になり始めていました。Pharrell Williamsの「Happy」はBillboardの2014年年間1位に輝き、Disneyの「Frozen」関連では、ElsaやOlafのあらゆるグッズがホリデーシーズンのおもちゃリストを席巻していました。ここで当初の調査結果を振り返り、当時の状況と、その後の過程で得られた知見を見ていきましょう。
2015年に発表した最初のレポートでは、プライベートクラウドが最大のトレンドでした。x86ワークロードの80%が仮想化され、サーバー仮想化による設備投資(CapEx)面のメリットは明らかでしたが、組織はITスタック全体に真のソフトウェア主導型アプローチを導入することで得られる俊敏性と柔軟性を求めていました。データ主権をパブリッククラウドに委ねることには慎重だったため、ほとんどの組織はまず自社のデータセンターを整備する道を選びました。
かつてのパブリッククラウド対プライベートクラウドという議論から、状況は大きく進展しました。F5の2023年版レポートでは、一般的なITスタックは今後もハイブリッドであり続け、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションなどの機能が、コア、クラウド、エッジの各環境に広く分散することが明らかになりました。「ハイブリッド」と呼べるのはクラウドだけではありません。組織は今後も、複数の異種テクノロジースタックを管理し、世代の異なるインフラストラクチャとアプリケーションをサポートしていくことになります。2024年もハイブリッド環境は定着し続け、クラウド黎明期に得た教訓がAIに生かされると予想されます。組織は、AIモデルやワークロードの配置先と分散方法を慎重に検討し、データ主権を優先しながら、業界をリードする一般公開の大規模言語モデルも活用していくでしょう。

ハイブリッド環境の課題
最初のレポートでは、組織はハイブリッド環境に伴う課題、とりわけハイブリッドクラウド環境全体でIDおよびアクセス管理を実現する方法に苦慮していました。技術面では、まずアプリケーションの配置場所とアーキテクチャを把握し、シングルサインオンに最適なアプローチを見極めることが最優先課題となっていました。幸い、業界はIDおよびアクセスに関する障壁の解消に取り組み、その結果、現在ではIDおよびアクセス管理が最も広く導入されているアプリケーションサービスとなっています。しかし、新たな課題が生じる一方で、依然として残る課題もあります。
さまざまなテクノロジープロバイダーやクラウドサービスプロバイダーが提供する膨大な数のツールとAPIは、それぞれ機能が少しずつ異なるため、すでに時間に追われているITチームに多大な負担をかけ、標準化と統合の不足を招いています。ハイブリッド環境の拠点やアプリケーションアーキテクチャ全体で一貫したセキュリティを確保することは、2018年以来、現在に至るまで主要な課題であり続けています。組織は、グローバルに事業を展開するうえで適用される数多くの規制要件を満たすセキュリティを、ハイブリッド環境全体に一貫して導入しようとしています。こうしたハイブリッド環境における2つの主要課題を背景に、複数のクラウド拠点とアーキテクチャ間の接続を抽象化するマルチクラウドネットワーキング(MCN)が、2023年の主要トレンドとなりました。
アプリケーションのパフォーマンスは、初回のレポートでも主要トレンドの1つであり、今後も当面は重要なテーマであり続けます。Googleによると、ページの読み込み時間が1秒から10秒に延びると、モバイルサイトの訪問者が離脱する確率は123%増加します。パフォーマンスが重視されるのは、一般公開アプリだけではありません。F5の「State of Application Strategy」調査では、デジタルトランスフォーメーションの取り組みは、社内業務機能にも同程度に重点を置いていることが明らかになっています。そこでは、高パフォーマンスのアプリケーションによって実現される従業員の生産性と満足度が、重要な成果となります。

2024年の予測は? 予想どおり、生成AIが主要トレンドの1つになるでしょう。また、組織はAIモデルの配置先について、要員のスキルセットとコストを現実的に捉えつつ、長期的な戦略上のメリットを評価し、より慎重に検討するようになると予測しています。楽曲については、Taylor Swiftの曲が、彼女のフレンドシップブレスレットとともにギフトランキングの上位に入ると堅く見ています。私がフレンドシップブレスレットを贈りたい相手の筆頭はLori MacVittieです。そして皆さまには、受付を開始したばかりの2024年版SOAS調査へのご回答という贈り物をいただき、このAIをめぐる熱狂に現実的な視点を加えていただければ幸いです。調査の最後では、2014年当時のトレンドのうち、後になって期待外れだったと感じたものもお聞かせください。私たち自身の予測の誤りを振り返ることからも、多くを学べるからです。たとえば私は、SDNによって、NetOpsとSecOpsの担当者に自動化を活用した新たな俊敏性の時代が到来すると考えていました。今も期待はしていますが、運用変革のペースについては、以前よりはるかに現実的に捉えています。
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