アプリケーションデリバリの現状 2016:誰もが利用しているアプリサービス

F5エコシステム | 2016年2月01日
SOAD 2016ヘッダー

アプリケーションサービス。SDAS(Software-defined Application Services)と呼ぶ場合でも、単に従来のアプリケーションサービスと呼ぶ場合でも、指しているものはほぼ同じです。つまり、アプリケーションとそのユーザー(人、モノ、または別のアプリケーション)の間に位置し、セキュリティ、可用性、迅速なデータ交換を確保するサービスです。

これらはレイヤー4~7に配置される「ネットワークサービス」であり、認識されているかどうかにかかわらず、あらゆるデータセンターに存在するステートフルサービスです。

これらはF5が極めて重視し、ハードウェア、仮想、クラウドベースの各プラットフォームを通じて提供に努めているサービスです。

しかし、誰もがそう考えているわけではありません。アプリケーションサービスは「負荷分散やWAN最適化など」とひとくくりにされがちです。アプリケーションを常時ユーザーに届けるクリティカルパスを担っているにもかかわらず、その重要性に見合う注目を集めることはほとんどありません。そこでF5は、他社が問わないような点に目を向けました。現在何を利用しているのか。今後何を利用する予定なのか。どこに導入したいのか。どのように提供したいのか。

拡大するアプリサービス(SOAD 2016)

昨年、その成果として初の「State of Application Delivery」レポートを発表しました。今年も引き続き発表できることをうれしく思います(今後も毎年発表する予定です)。アプリケーションサービスを取り巻く状況を掘り下げることで、アプリケーションサービスそのものだけでなく、新たなアーキテクチャ、アプローチ、テクノロジー、トレンドに関する世界各地の組織の計画や懸念についても知見を得られます。

たとえば、2016年に最も急速な成長が見込まれるアプリケーションサービス、つまり各組織が今年導入を予定しているサービスを見ると、あらゆる業界で主流となっているハイブリッドクラウドに関連する懸念への対応に、各組織が注力していることがわかります。

IDフェデレーション(26%)、SSO(24%)、GSLB(24%)はいずれも、経営幹部から現場担当者まで、ITプロフェッショナルが抱えるハイブリッドクラウド関連の主要なセキュリティと生産性の課題に対処するうえで不可欠なアプリケーションサービスです。アイデンティティフェデレーションは、ビジネス上の重要性が増すSaaSアプリケーションのガバナンスを確保するための主要な手段であり、ユーザーが自己申告した属性ではなく、企業が定めたアイデンティティと職責に基づくアクセスを実現します。また、SSO(シングルサインオン)も、複数の環境(ハイブリッドクラウド)に分散するアプリケーションによって、15個もの異なるパスワードの管理(および記憶)が必要となり、企業ユーザーの生産性が損なわれることを防ぐうえで重要な役割を果たします。

2016年版SOAD:アプリサービス上位5項目

現在の状況に関するデータからも、CIOや企業が何を重視しているかがわかります。現在導入されている上位5つのアプリケーションサービスのうち、4つはネットワーク、通信、データのセキュリティに重点を置いています。残る1つは、もちろんロードバランシング(可用性)です。拡張性を伴わないセキュリティは、鍵盤のないピアノのようなものだからです。

そんなたとえは、聞いたことがありませんよね?

現在導入されているアプリケーションサービスから、トレンド、テクノロジー、懸念事項について結論を導き出せるのと同様に、組織内で分断されたIT部門のさまざまな担当者が、APIやスマートテンプレートなどの機能を重視する理由も理解できます。実際、一般的な企業では現在、11種類のアプリケーションサービスが導入されており、その多くが連携して、あらゆるアプリケーションの配信、セキュリティ確保、最適化を実現しています。調査対象とした24種類のサービスのうち、10種類以上を利用している組織が過半数を占めています。また、無視できない割合である30%の組織が、データセンター全体のアプリケーションにセキュリティ、可用性、モビリティ、パフォーマンス、アクセス制御を提供するため、利用可能なすべてのサービスを使用しています。現在そうしていない組織も、翌年には導入する可能性があります。2016年に4種類以上のセキュリティサービスを導入する予定の組織は25%、少なくとも1種類の可用性サービスを導入すると回答した組織は55%に上るためです。

結論は何でしょうか。組織は、L4-7の話題で付け足しのように挙げられる3つだけでなく、あらゆるアプリケーションサービスを活用し、アプリケーションとビジネスに不可欠な機能を提供しています。

その重要性を理解するには、この調査で私が特に注目している質問の1つ、つまりネットワークのセキュリティが向上するなら回答者は何を諦められるか、という質問に照らして考えるのが最も分かりやすいでしょう。過去1年間(ましてや過去10年間)に大きく報じられた侵害の件数と、そうした侵害が組織の評判や事業遂行能力に及ぼす深刻な悪影響を考えると、「ネットワークのセキュリティが向上するとしても、そのサービスは手放さない」と答えるほど、組織はこれらのサービスを高く評価していることになります。

では、それほど重要視されたサービスとは何だったのでしょうか。

可用性を諦めると回答したのは、わずか7%でした。パフォーマンスを諦めると回答したのも、わずか10%です。4分の1(25%)は、これら2つのアプリサービスよりも、インフラストラクチャの管理性を諦める方を選びました。

これは、アプリの提供だけでなく、そのアプリに依存するビジネスにとって、アプリの成功とセキュリティを支えるうえでも、これら2つのアプリサービスがいかに重要であるかを物語っています。

アプリケーションサービスのほか、クラウド、セキュリティ、SDN/DevOpsの詳細については、f5.com/SOADで公開している完全版レポートをご覧ください。

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タグ: 2016

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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