AI導入準備の現状:構想からアーキテクチャへ

F5エコシステム | 2025年7月14日

誰もがAIを求めています。ほとんどの組織がAIに取り組んでいるとしています。しかし、AIを求めることと、その導入準備が整っていることはまったく別です。F5の最新調査では、さまざまな情報に惑わされることなく、組織の実態を厳しく検証しています。先に結論をお伝えすると、ほとんどの組織は自らが考えるほど準備が整っていません。

導入段階からモデルの多様性まで、6つの指標を正規化して複合的なAI準備状況指数を作成し、回答者を複数の層に分類しました。「準備が十分に整っている」層に入ったのは、わずか2%です。21%は、ようやく取り組み始めた段階でした。大多数はどうでしょうか。中間層にとどまっています。

AI準備状況指数

これは私にとって驚くことではありませんし、皆さまにとっても同様でしょう。この指標の半分は、生成AI、AIエージェント、エージェンティックAIという特定のAI機能の導入状況に基づいています。エージェンティックAIは今まさに進化の途上にあるため、3つすべてに取り組んでいる組織がわずか2%という結果も意外ではありません。

おっと!ほかにも新しい点があります。

本当に、それほどの速さで進んでいます。

大半がある程度の準備を整えているという調査結果は、適切なペースで前進していることを示す好ましいものです。慎重かつ有意義な形で、AIに関する取り組みやインフラストラクチャ、ビジネスユースケースへのAI活用を成熟させています。

中程度の準備状況:無理のない中間層

組織の77%がこの層に該当します。期待先行の段階を脱し、試行錯誤を重ねながら、定着に向けて取り組んでいます。すでに基盤整備には着手していますが、まだ本格稼働には至っていません。

ほとんどの組織では、GenAIプロジェクトがすでに稼働しています。エージェントを導入している組織もあれば、エージェント型AIを「活用する」とはそもそも何を意味するのかを模索している組織もわずかながらあります。複数のアプリケーションタイプを試してはいるものの、平均的なAI活用の広がりはまだ限定的です。具体的には、ユースケースは5件程度、AIを活用しているアプリは全体の3分の1、使用するモデルは通常、有料モデルとオープンソースモデルを1つずつ、計2つです。悪くはありません。ただ、十分ではありません。

なぜこれが重要なのでしょうか。モデルの種類が限られていると、柔軟性も低下するからです。単一のモデルですべてのワークロードに対応することはできません。選択肢が必要です。アプリケーションについても同様です。AIの活用がチャットボットや社内アシスタントに限られていては、組織の変革にはつながりません。必要なのは、活用の深さと広がりの両方です。

セキュリティはどうでしょうか。依然として対応が後手に回っています。AIチームとセキュリティチームの連携にはばらつきがあります。ファイアウォールの導入も進みつつありますが、その大半はまだロードマップ上にとどまっています。データ保護についても、部分的なインライン制御やトークン化は見られるものの、体系的な取り組みと呼べるほどインフラ運用が徹底されていません。

その場しのぎの対策と希望的観測で、軌道に乗るまで取り繕えると考えているなら、いずれ現実を思い知らされます。脆弱なセキュリティがもたらす代償は、一時的な悪評にとどまりません。規制当局からの反発や信頼の喪失、さらには事業の存続を脅かすリスクへとつながります。

そして、データそのものにも問題があります。正式に定められた反復可能なデータラベリング手法を導入している組織は、わずか21%です。これは、F1マシンを造っておきながら、燃料タンクに池の水を入れるようなものです。動かせたとしても、遠くまでは走れません。

従来、ネットワークやアプリケーションを重視してきた人々がデータに目を向けるのは、奇妙に思えるかもしれません。しかし結局のところ、AIの品質はデータの品質で決まり、扱うデータ量もはるかに多くなります。何にせよ、「ガベージイン、ガベージアウト」という原則は今も変わりません。アプリケーション、インフラストラクチャ、セキュリティなど、既存のものをAIで強化する場合も同様です。AIの品質は、学習に使用するデータの品質を超えることはありません。このステップを怠れば、インテリジェンスを構築するどころか、誤った推測を助長し、疑わしい判断を自動化することになります。

この段階は、いわば「習熟が追いつかないまま前進している状態」です。勢いも方向性もありますが、依然として多くの障壁があります。意欲が足りないからではなく、規模の拡大や連携、アーキテクチャ上の技術的負債という現実があるためです。

準備度「低」:まだロビーで足踏み

次に、21%の組織について見ていきましょう。こうした組織は、いまだに何から始めればよいのかを模索しているか、さらに悪いことに、取り組む必要はないと思い込んでいます。チャットボットのプロトタイプくらいはあるかもしれません。あくまで、あるかもしれないという程度です。こうしたチームに欠けているのはビジョンではなく、行動力です。

その多くは、リスク許容度が低く、アーキテクチャが脆弱な規制業界や、レガシーシステムに縛られた環境にあります。しかし、そこでも動きは見られます。ファイアウォールやインラインでのポリシー適用など、AIに特化したセキュリティ対策を導入している組織はごくわずかです。大半は、AIのユースケースに対応して拡張できない一般的なIT境界防御に依存しています。3分の2は、AIプロジェクトを試験運用中、または計画中だと回答しています。これは一歩前進です。しかし、意欲と実行を混同してはなりません。

ここでのリスクは、トレンドを見逃すことではありません。このトレンドを見逃す人はいないでしょう。リスクは、その波が押し寄せたときに対応しきれなくなることです。データ、インフラストラクチャ、人材の基盤を整えなければ、どれほど優れたモデルでも期待される成果を上げることはできません。

「高度な準備が整っている」とは、実際には何を意味するのか

さらにレベルアップするには、上位2%の企業のように構築しましょう。

  • 有料モデルとオープンモデルを組み合わせ、複数のモデルを環境に導入しましょう。重要なのは柔軟性です。すべてのタスクに適した万能なモデルはありません。
  • エージェントは単に「導入する」だけでなく、実際の運用タスクに活用してください。それがスケールにつながります。
  • 個別のアプリにとどまらず、ワークフロー全体にGenAIを組み込みましょう。統合は不可欠です。それが、単なる目新しさで終わるか、実用的な価値を生み出すかを分けます。
  • ポリシーだけに頼らず、アーキテクチャレベルでデータセキュリティを確保します。コンプライアンスだけでは侵害を防げません。重要なのは設計です。
  • そして何より、最初からスケーラビリティを考慮して設計してください。後からレジリエンスを組み込むのは、決して容易ではありません。

実のところ、レディネスは購入できる製品でも、契約できるサービスでもありません。組織としての姿勢、体制、そして考え方です。これを読んで「ある程度は準備できている」と感じているなら、それは決して悪いことではなく、一つの節目です。しかし、次のステップへ自然に進めるわけではありません。明確な意図を持ち、足並みをそろえ、多少の居心地の悪さも受け入れる必要があります。

AIが成果をもたらすのは、好奇心を持つ組織ではなく、準備を整えた組織です。

データをさらに詳しく分析し、このモデルについて理解を深めるには、「2025 State of AI Application Strategy Report: AI Readiness Index」をこちらからご覧ください。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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