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適応型アプリケーションはデータ駆動型

 サムネール
Published October 05, 2020

私のサンゴの水槽をのぞき込むとこんな風に見えます。

サンゴ

たとえば、すばらしいスナギンチャクが見えます。何年もかけて丹精込めて育てられたサンゴ。この世界のさまざまな生き物の美しさと、海に生きるもののすばらしさを目の当たりにします。

その下にあるものを見ることはありません。これらの生き物が住んでいる砂や岩には微生物の驚くべき生態系が隠されていて、この生態系がなければスナギンチャクが生きていくことはできません。

APEXインターフェイス

私が注意深くスナギンチャクの環境の状態を監視していることも見えませんし、何か問題が起きたときに私に知らせてくれる、1分単位、1日単位のグラフの数字も見えません。また、パラメータが1つ安全レベルから外れただけで鳴るアラーム音も、水槽を見ている人には聞こえません。

これは技術の世界でもまったく同じです。

私たち(企業としての私たち)が適応型アプリケーションの話をするときは、人々が見ているものについて話しています。

今日、ユーザーが製品を購入し、支払い、サポートを受けるために御社とやり取りするとき、ユーザーが目にするものは、ユーザー エクスペリエンスです。そのエクスペリエンスを安全に提供する無数のアプリケーション、インフラストラクチャ、環境、サービスは、ユーザーには見えません。

しかし、それらは存在し、ユーザー エクスペリエンスを健全な状態に保つためには欠かせません。

データの重要性

何かが間違っていることを知ることと、それに対して何をすべきかを知ることには大きな違いがあります。pHと温度の関係を理解するというような単純なことが、問題を解決できるか、悪化させるかの違いを生むこともあります。これはユーザー エクスペリエンスにも同じことが言えます。

前進するための基本的な一歩は、正しいデータを収集しているかどうかを確認することです。残念ながら、かなりの割合の組織がそれを行っていません。

Turbonomicの調査で明らかになった現状は(強調を追加しています)、「組織としてアプリケーションのパフォーマンスをどのように測定しているかを尋ねたところ、60%以上が何らかの形で測定していることがわかったことは期待できる結果だが、最も一般的なアプローチは、サービス レベル目標(SLO)の管理ではなく、可用性の測定であり、多くは、応答時間やトランザクション スループットの形式で取得していた。また、13%はアプリケーションのパフォーマンスをまったく測定していなかった。」というものでした。

測定せずに、適応型アプリケーションを実現することはできません。ユーザー エクスペリエンスの状態の把握は測定値に基づいて導き出され、それらの測定値を分析することで関係性やパターンが推測されます。最終的に、真の適応型アプリケーションを生み出す自動化は、測定値とその理解に基づいています。水槽内の状態を正確に測定できる(そしてそれらの関係を理解できる)からこそ、対応を自動化し、水槽の住人のために最適な環境を労力をほぼかけずに維持することができるのです。

ユーザー エクスペリエンスについても同じことを行わないと、ビジネスに非常に大きな影響を与えます。顧客の89%が、劣悪なユーザー エクスペリエンスをきっかけに取引を競合他社に乗り換えています。[1]失った顧客に代わる新しい顧客を獲得するためのコストは高く、小売業界では顧客1人当たり平均77ドル、金融業界では250ドル以上かかります。また、失わなければ得られたはずの収益はさらに大きく、ロイヤルティの高い顧客は、平均して、最初の購入時の10倍の価値があります。[2]特別なユーザー エクスペリエンスを維持することは、ビジネスに有益なだけでなく、必要不可欠です。文字通り指先だけで代替品が手に入るので、ロイヤルティの高い顧客を維持するためには、私がサンゴの水槽で行っているようにユーザー エクスペリエンスの状態に細心の注意を払う必要があります。

対応を自動化するための制御点と同様に、測定値を得るための鍵となるのが、アプリケーションを提供し、保護するインフラストラクチャとサービスです。

適応型アプリケーションはデータ駆動型

二枚貝のシステム

ポーランドのワルシャワで、どんな技術よりも8匹の二枚貝による水質測定が優れていることが証明されました。「汚染に非常に敏感なイガイが水の汚染を検知すると、口を閉じ、貝殻に取り付けられた特別なセンサによってアラームが作動します。」[3]最近まで、その存在は知られていませんでした。住民はただ、安心して水を飲んでいました。

この二枚貝のような生き物は、本能的にすべてを測定し、データに基づいて危険を察知することに長けていますが、1つの内部システムでその驚くべき能力を担っているわけではありません。水が危険であると一瞬で判断するには、何百もの内部システムが連携して測定値を生成し、その結果を分析する能力が必要なのです。

アプリケーションを適応型にするのは、測定値、つまりデータです。行動の明確なきっかけがなければ、適応する必要が生じません。容量と需要を理解することでスケーリングが行われ、悪意のあるアクティビティを特定することでセキュリティ対策が開始され、パフォーマンスの低下を認識することで最適化が行われるのです。

このデータは広範囲にわたり、必然的にテクノロジ スタックのあらゆる層からの測定値が含まれます。これらのデータをまとめて、ビジネス プロセス、すなわちデジタル ワークフローにマッピングすることで、これらのデータを分析し、アプリケーションが自動的に適応する必要のある情報に変換することができます。

さらに分析することで、関係性やパターン、傾向が明らかになり、ビジネス リーダーがアーキテクチャ、インフラストラクチャ、アプリケーションを実際のビジネスの成果に合わせて調整できるようになります。これらのインサイトにより、AIベースのセキュリティとAIOpsという形でアクションの自動化が可能になり、ビジネスとITの関係者が情報に基づいて意思決定できるようになります。

アクションには、指示を受け取り、それに基づいて行動できるシステムが必要です。私たちの体内の危険な状態に反応するのは、外界との境界面(インターフェイス)ではありません。私たちに代わって行動するのは、免疫システムなどの内部システムです。デジタルの世界では、これらの内部システムはアプリケーション サービスとインフラストラクチャです。インターフェイスの背後にある技術が、データを生成し、ユーザー エクスペリエンスを保護、スケーリング、最適化するために行動します。

適応型アプリケーションは、アプリケーション サービスとインフラストラクチャ、そしてそれらを提供、保護、スケーリングするシステムから生成されたテレメトリによって実現されるデータ駆動型のアプリケーションです。企業は、データを分析し、実用的で自動化が可能なインサイトを生み出すことができるプラットフォームを利用することで、適応型アプリケーションの実現に向けて自信を持って速やかに前進することができます。