変革の先へ:デジタル最適化の推進

F5エコシステム | 2024年8月06日

デジタルビジネスは新たな段階へ

大多数の企業にとって、デジタルトランスフォーメーションは日常的な取り組みとなっています。ESGの報告によると、72%の組織がデジタルトランスフォーメーションを進めており、25%はその取り組みが成熟段階に達しています。テクノロジーを取り巻く環境が進化し、変化し続ける中、継続的なデジタルトランスフォーメーションを標準的な取り組みとするべきか、それとも次の段階である「デジタル最適化」へ移行する方が合理的なのかを検討する必要があります。

デジタル最適化の定義

デジタル最適化では、既存のデジタルビジネスを調整し、組織固有のニーズにより効果的に対応できる機会を見極めることに重点を置きます。単に顧客にデジタル体験を提供するだけでなく、デジタルインフラへの投資や更新をビジネス目標に整合させます。これは継続的なデジタルトランスフォーメーションと似ている面もありますが、顧客に提供するデジタル体験の変革を推進するのではなく、最適化のプロセスを通じてビジネスの重点は変わりません。

この定義に従えば、デジタル最適化は必然的に各組織のビジネスニーズに応じて異なります。それでも、現在のデジタルトランスフォーメーションのトレンドに関するデータから、デジタル最適化には組織や業界を超えた共通の特徴があることが示唆されています。たとえば、F5 2024 State of Application Strategy調査の回答者の88%がハイブリッドまたはマルチクラウドアーキテクチャを利用していると回答していますが、多くの組織は依然としてマルチクラウドの実装に関する課題に直面しています。ESGによる分散クラウド全体におけるアプリケーションモダナイゼーションのトレンドに関するレポートでは、組織の30%がセキュリティポリシーの一貫した適用に苦慮し、30%が統合と相互運用性の課題を抱え、28%が異種インフラの管理に困難を感じています。複雑さが現代のデジタルビジネスにとって依然として大きな課題であることは明らかです。

デジタル最適化で複雑さを抑制

組織は複雑性を特定して対処する必要がありますが、ハイブリッドおよびマルチクラウドアーキテクチャを採用する企業には、最適化の機会となる3つのステップが共通して見られます。

  1. インフラストラクチャ全体で効果的な接続性を確保する:ITおよびネットワークの専門家の90%が、マルチクラウドネットワーキング(MCN)の接続性を「不可欠」または「非常に重要」なニーズとして挙げています。出典:Futuriom Multicloud Networking and NaaS Survey Report……その理由は明らかです。効果的な接続性がなければ、アプリケーションのパフォーマンスが低下し、可視性が失われ、情報の分断によってコスト管理が大幅に難しくなります。
  2. 一貫したセキュリティ態勢の採用:既存のアプリケーション環境にクラウドネイティブアプリケーションを統合しようとする組織にとって、セキュリティは課題となっており、44%がセキュリティをアプリケーション統合の課題として挙げています。
  3. 監視と管理の改善:エンドツーエンドの可視性は、データセキュリティプロトコルへのコンプライアンスを確保し、アプリケーションのパフォーマンスを監視するうえで不可欠です。また、統合やコスト削減の機会も特定しやすくなります。

いずれの場合も、まず自社のビジネスに適した明確なマルチクラウドの方針と戦略を策定することで、増大する複雑性の抑制に役立つソリューションを特定しやすくなります。マルチクラウドネットワーキングソリューションは、デジタルトランスフォーメーションの取り組みの最適化に役立つ重要な投資です。GigaOmとESGはいずれも、組織に最適な戦略を選択する際の検討要素と、MCNソフトウェアの導入によって得られる可能性のあるメリットを明らかにしています。上位には、ネットワークセキュリティの向上(49%)、ネットワークパフォーマンスの向上(44%)、アプリケーションパフォーマンスの向上(36%)が挙げられています。

マルチクラウドネットワーキングにおけるAI:デジタル最適化で将来の変化に強いビジネスを実現

ネットワーキングにおけるAIとは
ネットワーキングの文脈では、AIのユースケースは一般に2つに分けられます。1つ目は、パフォーマンスデータからパターンを見つけ、ネットワーク最適化の機会を特定することです。2つ目は、ネットワークインフラストラクチャを活用するAIアプリケーションです。この場合、AIモデルとその利用方法の特性に応じて、組織がネットワークインフラストラクチャの各要素をどのように接続し、保護する必要があるかが決まります。以降では、後者のユースケースに焦点を当てます。

ネットワーキングにおけるAIから何を学べるか
ビジネス目標を効率的かつ効果的に達成できるようデジタルインフラストラクチャを最適化することで、資金と人材の両方をイノベーションに振り向けられる可能性があります。生成AIは、柔軟なハイブリッドアーキテクチャまたはマルチクラウドアーキテクチャのメリットを享受できる新興テクノロジーの好例です。IDCは、AIの導入がマルチクラウドネットワーキングソリューションの普及を促す主要因になると予測しており、AIへの支出は2027年までに5,000億米ドルを超えると見込んでいます。特にエンタープライズ組織では、パブリックAIとプライベートAIを組み合わせて構築し、サービスを提供する可能性が最も高いため、AIの導入にマルチクラウドネットワーキングソリューションが必要になる可能性が高いと考えられます。

単一のAIモデルを実装する場合でも、マルチクラウドネットワーキングは重要です。AIモデルの出力品質は、データの取り込みとトレーニングにおける徹底したデータ衛生管理に左右され、最高のパフォーマンスを引き出すには、エッジで推論ワークロードを効果的に管理する必要があります。既存のアプリケーション環境にAIを統合すると、複雑さが増し、脅威の対象領域も拡大するため、一貫したセキュリティがさらに重要になります。難しく思えるかもしれませんが、接続性(コンテナネットワーキングソリューションを含む)、セキュリティ、可視性を考慮した適切なマルチクラウドネットワーキングソリューションを導入することで、AI活用を成功に導く基盤を整えられます。堅牢なマルチクラウドネットワーキングソリューションをすでに導入している組織は、ネットワーキングにおけるAI関連の潜在的な課題に対処するうえで優位に立てます。また、この傾向は、安全で効果的な接続性を確保し、一貫したセキュリティ態勢を実装することの重要性も示しています。これにより、データを安全かつ効果的に保護・処理し、必要な場所に出力を提供できる柔軟なアーキテクチャを構築し、最新の技術革新を活用するための準備を整えられます。

まとめ

継続的なデジタルトランスフォーメーションが適している組織もある一方で、新たな段階であるデジタル最適化への移行が有効な組織もあります。この段階では、新たなインフラストラクチャを構築するのではなく、ビジネス固有のニーズに合わせて既存のデジタルインフラストラクチャを調整し、複雑さを軽減することで、効率の向上を図ります。多くの組織がマルチクラウドネットワーキングを複雑さの要因として挙げているため、まずはこの領域の効率化に取り組むのが自然です。優れたマルチクラウドネットワーキング戦略は、運用を改善するだけでなく、リソースを解放し、組織のイノベーションと進化を可能にします。

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