先行する自動化と同様に、AIは運用に取って代わるものではありません。運用の力を増幅するものです。
現在のヒステリックな論調:AIは人類の存亡を脅かす存在だ。AIに消される前に、AIを停止せよ!
テクノロジー業界の多くの人と同じように、私もAIをめぐる期待とヒステリックな反応の高まりを見てきました。そしておそらく多くの人と同様に、後者には首をかしげています。
振り返ってみると、生成AIの機能を通じて世界にAIを紹介したことは、天才的であると同時に無謀でもありました。天才的だったのは、高度なテクノロジーを可能な限り幅広い人々が利用できるようにしたからです。無謀だったのも、高度なテクノロジーを可能な限り幅広い人々が利用できるようにしたからです。
クラークの第三法則を思い出してください。「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」
この場合は、「十分に高度なAIは知性と見分けがつかない」と書き換えるべきかもしれません。
知性に見えるものは、純粋な数学にすぎません。それでも、何百万人もの人々が、生成AIには意識がある、少なくとも知性はあると固く信じています。
でたらめです。
生成AIには意思決定ができません。推論や推測を行うことも、回答が人間に及ぼし得る影響を考慮して応答することもありません。知的に見えるのは、人間の言語で応答できる能力の副産物にすぎません。その実態は、人間の知性というより、訓練された九官鳥の物まねに近いものです。
しかし何より、生成AIはラーテルのようなものです。文字どおり、何も気にしません。企業のビジネスも、ユーザーも、顧客も意に介しません。そのため、仮に何らかの判断を下すとしても、純粋に数学だけに基づくことになります。生成AIは究極のミンマクサーであり、より広い視野や倫理的な観点から妥当なことではなく、変数の最適化を追求します。
生成AIは、かつての自動化と同様に、仕事を奪うために、ましてや人類を脅かすために登場したものではありません。生成AIはツールであり、ほかのツールと同じく、使い手次第で良くも悪くも使われます。
それを使うのは、皆さまです。
自動化とAIについて、手作業で行うことの多い単調なタスクを肩代わりし、自身の有効性と生産性を高める手段と捉えることもできます。一方で、組織に提供する価値は、記述するコードの行数、実行するスクリプトの数、管理するポートの数だけで決まると思い込まされてきたために、自分に取って代わる邪悪なグレムリンと捉えることもできます。
確かに、私がニューラルネットワークの構築やモデルのトレーニングに携わってから、すでに30年以上が経っています。しかし、手法やツールは変わっても、基本原則は変わりません。その原則の1つは、テクノロジーはあくまでツールであり、それが人類にどのような影響を及ぼすかは、主に使い手によって決まるということです。
F5にとって、それはAIを責任ある形で活用・統合し、従業員とお客さまの業務効果と生産性を高めることを意味します。また、全社で生成AIを活用する方法を模索すると同時に、F5のテクノロジーを利用する方々の業務を容易にするため、AIによってF5のポートフォリオを拡張・強化する新たな方法を検証しています。
F5の使命は、アプリケーションの配信とセキュリティを驚くほど簡単にすることです。AIも、その実現に向けて活用するツールの1つにすぎません。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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