BLOG

BIG-IP VE for SmartNICsソリューションにL4 Traffic AccelerationとCarrier-Grade NATのサポートを追加

Tom Atkins サムネール
Tom Atkins
Published September 23, 2021

驚いたことに、F5がBIG-IP VE for SmartNICsソリューションを発表してから1年余りが経ちました。このソリューションは、BIG-IP Virtual EditionとIntel SmartNICを統合し、パフォーマンスと効率を向上させると同時にコストを削減する製品です。この間に、インターネットとアプリケーションの状況は急速に進化し続けており、以下のデータ ポイントは、このソリューションの妥当性だけでなく、本日ここで発表する新しいユース ケースの重要性もまとめて示唆しています(詳細については後ほど説明しますので、最後までお読みください)。

  1. 2023年までにインターネット ユーザーは合計53億人(2018年は39億人)となり、各ユーザーが平均3.6台の固有デバイスを所有するようになります(2018年は2.4台)。1

インターネット ユーザーがこのように大幅に増加すれば、アプリケーションやサービスへの需要が高まることは簡単にわかるかと思います。このように拡大するユーザーベースをサポートするには、ワークロードのスケールアップやスケールアウトが必要になるだけでなく、ネットワーク インフラストラクチャもトラフィック量の増加に対応するためにレベルアップする必要があります。また、ユーザーの大半がモバイル デバイスと固定デバイスの両方を使用しているため、クライアントの種類にかかわらず高品質のエクスペリエンスを保証することがこれまで以上に重要になっています(データ ポイント2を参照)。

  1. モバイル以外のユーザーの約25%はWebサイトの読み込みに4秒以上かかるとサイトを離れ、モバイル ユーザーの74%はモバイル サイトの読み込みに5秒以上かかると離れます。2

今日のアプリケーションでは、超高速のWebおよびモバイル エクスペリエンスが不可欠となっています。ユーザーはそれに満たないものを受け入れないため、企業は顧客や収益を失わないようにするために、スピードと信頼性に優れたアプリケーション環境を構築する必要性に迫られています。最大限の性能を発揮するサーバーと遅延が最小限に抑えられたルーターやケーブルを運用するだけでなく、多くの企業はサービスやコンテンツをエンド ユーザーに近づけてエクスペリエンスを向上させることを選択しています(データ ポイント3を参照)。

  1. 2023年までに、新しい企業インフラストラクチャの50%以上がエッジに展開され、大部分が低コストの仮想化インフラストラクチャ上にワークロードとネットワーク コンポーネントを展開するようになります。3/4

要するに、ユーザーの期待を上回るために、ITチームは、パフォーマンスと信頼性を高めて、遅延をより低く抑え、一元型のデータ センターから分散型のエッジ ロケーションまでのどこにでも導入できる柔軟性も兼ね備えたネットワーク ソリューションを必要としています。そのためには、F5のBIG-IP VE for SmartNICsのようなソリューションが必要となります。

CGNATおよびLayer 4 Traffic Acceleration向けSmartNICオフロード

BIG-IP VE for SmartNICsソリューションに慣れていない場合は、高性能なField Programmable Gate Array(FPGA)対応のSmartNICを使用して、BIG-IP Virtual Editionから特定の計算集約型機能をオフロードします。BIG-IP VEは通常、汎用ワークロード向けのパフォーマンスを提供するCOTS(Common-off-the-Shelf)サーバー上に配置されるため、BIG-IP VEには、DDoS軽減などのリソース集約的なタスクを効果的に実行するための十分な計算能力がない場合があります。ただし、SmartNICを使用することで、システム パフォーマンスが大幅に向上するだけでなく、BIG-IP VEのコンピューティング使用率の負担も軽減できます。

F5は、昨年のソリューション発売時に発表したDDoSユース ケースをベースに、Carrier-Grade Network Address Translation(CGNAT)とLayer 4 Traffic Acceleration(レイヤ4ロード バランシングなど)の両方をこのSmartNICとの統合によって強化できることを発表しました。以下の図1は、SmartNICとBIG-IP VEを統合してこれらのユース ケースを実現する方法をわかりやすく説明したものです。

BIG-IP VEからIntel FPGA PAC N3000 SmartNICへのタスク オフロードの図

実際に、SmartNICのFPGA内でCGNATおよびL4トラフィック処理機能を実行した場合、ソリューションのテストでは、総トラフィック スループットが約30%向上し、VEのコンピューティング使用量が約80%からわずか5%に削減できる可能性があることが示されました。これによってソリューションがより多くのユーザー トラフィックを処理できるようになるだけでなく、システムの信頼性が向上すると同時に、BIG-IP VEの計算サイクルを増やして、他のセキュリティおよびトラフィック管理タスクに充てることができます。

これらの機能をSmartNIC内で処理すると、遅延を低減できるというメリットもあります。図1に示すように、対象となる接続がBIG-IP VEを効果的にバイパスするようになったことで、総接続時間を約500ミリ秒短縮できます。これは、特に金融や医療などの時間的制約のある市場や、エッジのコンテンツ デリバリ ネットワーク(CDN)でライブ ストリーミングを提供しているメディア企業にとっては、小さいながらも大きな節約になります。

BIG-IP VE for SmartNICsソリューションは、新規または既存の高性能BIG-IP VEのアドオンとして利用できます。F5は今後も開発を続け、将来のリリースで段階的なユース ケース サポートを提供していきます。ここで紹介したユース ケースやソリューションの詳細については、こちらのソリューションの概要(リンクを追加)をご覧ください。

その他のリソース:

参考資料:

1Cisco社『State of the Internet Report』(2018年~2023年)

2LoadStorm

3Flexera社『State of the Cloud』(2021年)

4https://www.statista.com/statistics/1182070/worldwide-enterprise-it-infrastructure-edge-deployment/