クラウドは、デジタルトランスフォーメーションの第1波でした。
当時は、そう呼んでいませんでした。自分たちが何を始めようとしているのか、分かっていなかったからです。しかし、実際にはデジタルトランスフォーメーションの第一波であり、今なおデータセンターに変革をもたらし続けています。
デジタルトランスフォーメーションとしてのクラウド
デジタルトランスフォーメーションは、多くの場合、2つの方向性に大別されます。1つ目は「ペーパーレス化」という考え方に重点を置くものです。これは、テクノロジーを活用して生産性をデジタルに向上させたいというニーズに直接応えるものです。モバイルアプリ。ITの自動化とオーケストレーション。障壁を減らすためのクラウド導入。
2つ目は、ガジェットやデバイスに焦点を当てたものです。この種のデジタルトランスフォーメーションでは、消費者向けと産業向けの両方のIoTが対象となります。IoTでは、ビジネス上および運用上の意思決定の最適化に活用できるデータの収集に重点が置かれます。
デジタルトランスフォーメーションのどちらの定義にも、その根底には利便性とやり取りのしやすさという考え方があります。実は、これこそがデジタルトランスフォーメーションの知られざる本質です。変わるのは「何をするか」ではなく、「どのようにするか」なのです。
2018年4月に特に大雪が降った後、近所の人がNextDoorに投稿した、次のような助けを求める声を見てみましょう。

嵐の後の除雪を手伝ってくれる人を探したり、自治体のサービスが予定どおり提供されるか確認したりすること自体は、今に始まったことではありません。以前から行われてきたことです。ただし、かつては電話をかけたり、一軒一軒訪ねたりしていました。今では代わりにテクノロジーを活用し、近隣住民や地方自治体から、資源回収やごみ収集といった日常的なサービスに至るまで、さまざまな相手とやり取りしています。
クラウドがもたらしたのは、まさにこの変化です。ネットワークやアプリケーションのインフラストラクチャとの関わり方を劇的に変えたため、クラウドはデジタルトランスフォーメーションの第1波となりました。CLIにログインするのではなく、APIを介して運用するようになったのです。テクノロジーとのやり取りの方法とともに、運用の負担もスタックの上位レイヤーへと移行しました。
クラウドはそれを実現し、それ以降、ほかのあらゆるテクノロジーに大きな影響を与えてきました。
クラウドは、ネットワークとアプリケーションのインフラストラクチャを導入、プロビジョニングし、運用するための、より優れた方法を示しました。その方法は、ゆっくりと、しかし着実に、世界中の組織のデータセンターへと浸透しています。クラウドから始まったデジタルトランスフォーメーションは今、驚くほどの速さでオンプレミスシステムにも広がりつつあります。

このITのデジタルトランスフォーメーションは、クラウドコンピューティングと、それがテクノロジーとの関わり方に対する私たちの意識にもたらした、一見しただけではわかりにくい破壊的な影響に直接起因しています。クラウドを体験し、テクノロジースタックのより上位のレイヤーで容易に操作できることを知ると、私たちはたちまち夢中になりました。クラウド黎明期の苦労を乗り越えた開発者や運用担当者も同様で、将来のデータセンターがどうあるべきかについて、確固たる考えを持つようになりました。
では、なぜこれが重要なのでしょうか。クラウドがデジタルトランスフォーメーションの第一波だったとして、それが何を意味するのでしょうか。
変革の第2波が、今にも業界全体に押し寄せようとしているからです。
クラウドの再興
クラウドが変革したのは、インフラストラクチャとの関わり方だけではありません。その利用形態も変えました。ここで取り上げたいのは、ビジネスモデルやライセンス、サブスクリプションの話ではありません。そうした話はさておき、注目したいのは、クラウドが始め、現在ではマイクロサービスとコンテナが加速させている「ネットワークの分割」です。
現在のクラウドでは、アプリケーションとそのインフラストラクチャを設計するというより、組み立てるようになっています。構築するのはソリューションではなくスタックであり、対象を極めて限定したアプリケーションサービスを組み合わせます。これは、マイクロサービス、あるいはより可能性が高いミニサービスからアプリを組み立てるようなものです。
ケーブルでデータパスを定義する代わりに、アプリのワークロード(マイクロサービス、ミニサービス、モノリスのいずれであっても)のスケーリングとセキュリティ確保に必要なアプリケーションサービスの構成を連結します。連結するのは、個々のアプリケーションサービスの構成です。なぜなら、現在、クラウドプロバイダーは差別化を図るために、付加価値のある個々のアプリケーションサービスを活用しているからです。
この影響は、遠からず市場全体に波及するでしょう。クラウドによるデジタルトランスフォーメーションがもたらす変化は今も続いており、いわばその第2波が、あらゆるデータセンターへ押し寄せようとしています。その兆しは、コンテナの普及と、マイクロサービスを多用したスタックにも表れています。そこでは、ソリューションは設計されるのではなく、組み立てられます。スタックのあらゆるレイヤーにまたがる、多種多様なアプリケーションサービスを組み合わせて構築されるのです。
第1の波は、インフラストラクチャとの関わり方を変えました。第2の波では、そのインフラストラクチャの組み立て方が変わります。
厳重な備えが必要です。クラウドによるデータセンターの変革は、まだ終わっていません。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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