映画『Apollo 13』には、あるシーンがあり、機器の稼働に電力がいかに重要かを強く印象づけます。宇宙船を稼働させ、その後再起動するために必要な電力が、(ネタバレ注意)最終的に宇宙飛行士を地球へ帰還させるうえで決定的な役割を果たします。

嵐などの外的要因で停電するまで、多くの人が見過ごしている現実があります。それは、稼働するすべてのアプリケーションが電力を消費するということです。今日では、照明の操作、ドアの施錠、自動車の運転に至るまでアプリケーションに依存しているため、電力は電力消費量とCPUサイクルの両面で算出されます。
ブラウザの動作が今日は遅いと冗談を言い、30個以上のタブを開いているせいかもしれないとばつが悪そうに認めることもあります。しかし実際には、コンピューティング能力は無限ではありません。エッジのようにリソースが制約された環境では、仕事や生活、娯楽のためにほぼ毎日利用している自動化、データ処理、通信を実行するためのコンピューティング能力は、さらに限られています。
エンジニアリングによって可能性の限界を押し広げてきたとはいえ、ムーアの法則の終焉を訴える声は、1平方インチに詰め込めるトランジスタの数には限界があることを改めて認識させます。スマートフォンに搭載できる部品の数にも、携帯電話基地局に設置されたサーバーラックに期待できるコンピューティング能力にも限界があります。
したがって、あらゆるデバイス、エンドポイント、リソースに制約のあるコンピューティングノードで構成されるエッジには、機器の大型化や設置スペースの拡大を伴わずに、利用可能なコンピューティング能力を高める手段が必要です。このニーズが、インフラストラクチャのルネサンスを後押ししています。これは、多くの人が気づかないところで進む動きであり、特化(最適化)されたコンピューティング能力を活用して、こうした制約のある環境の総合的な処理能力を効果的に高めることに重点を置いています。
ハードウェア最適化コンピューティングの進化
ハードウェア最適化コンピューティングの進化は、暗号処理に特化した専用アクセラレーション「カード」から始まり、やがてGPU(グラフィックス処理装置)が登場し、現在ではDPU(データ処理装置)へと発展しています。
進化の各段階では、特定の処理タスクを切り出し、文字どおりシリコンにハードコードすることで、データをより高速かつ効率的に処理する能力を飛躍的に高めてきました。これが、2000年代半ばに登場した暗号処理アクセラレーションカードの基礎となりました。暗号化および復号(暗号処理)のパフォーマンスが大幅に向上したことで、最終的にSSL Everywhereの普及が促進されました。隣接市場でも、ストレージ処理速度の向上に重点を置いた同様の進歩が見られました。TOE(TCPオフロードエンジン)は、「ハードウェアカード上でTCP/IPプロトコルを実装するネットワークデバイスです。TOEインターフェースにより、Data ONTAPは1 GbEまたは10 GbEインフラストラクチャにも接続できます。10 GbE PCIe TOEカードは、Data ONTAPのNFS、CIFS、iSCSI TCPアプリケーションを完全にサポートします。」
要するに、経済的または物理的な制約のある環境で処理能力の向上が必要になるたびに、最適化を担うハードウェアコンポーネントが導入されてきました。
現在、DPUは、NVIDIAの後押しとAIおよびML関連アプリケーションへの関心の高まりを受けて脚光を浴びており、コンピューティングの物理的制約を克服する取り組みの最新の形です。
エッジにおけるDPUの役割
エッジのような環境では、ハードウェアに最適化されたコンピューティングによる処理能力の向上が必要です。製造業では、IIoT(Industrial Internet of Things)で20 ms未満という極めて低いレイテンシーでのリアルタイムデータ処理が求められます。また、医療分野では、医療データの処理速度が生死を分けることもあります。いずれの場合も、ハードウェアに最適化されたコンピューティングが不可欠です。
つまり、組織によるエッジの活用を可能にするアプリケーション中心のプラットフォームには、主要な機能としてハードウェア最適化コンピューティングが不可欠です。
DPUは、最適化されたコンピューティング能力を誰もが利用できるようにするものです。適切なソフトウェアスタックと組み合わせ、適切なプラットフォームによって実現することで、エッジは、大規模なハイパースケールプロバイダーが現在享受しているものと同等の効率性とメリットを企業にもたらすことが可能になります。
だからこそ、F5は引き続きNVIDIAなどのパートナーと連携しています。ソフトウェアがエッジを含むあらゆる領域に浸透する一方で、すべてを動かす原動力は依然としてハードウェアです。ハードウェア最適化を活用すれば、より多くのスペースを必要とせずに、その処理能力を高められます。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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