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制約下のコンピューティング:エッジにおけるハードウェア最適化の事例

Lori MacVittie サムネール
Lori MacVittie
Published September 20, 2021


映画『アポロ13』のシーンに、機器を動かすための電力の重要性を痛感させられる場面があります。宇宙船を操作して起動させるために必要な電力が、(ネタバレ注意)宇宙飛行士を無事に地球に帰還させるという結末の中心となります。

電力がすべて
Gene Kranz役のEd Harrisは、映画『アポロ13』で「電力がすべて」ということを説明しています。

実際に嵐やその他の外部的な事象によって停電するまで、多くの人が気にも留めていないことですが、私たちが使用しているアプリケーションはすべて電力を消費しています。照明、ドアのロック、自動車の走行などをアプリケーションに依存している今日、電力は消費電力とCPUサイクルの両方の形で計算されています。

現在では、ブラウザの動作が遅いことについて冗談を言ったり、それはタブを30以上開いているからではないかときまり悪そうに認めたりすることがありますが、実際のところ、計算能力は無限ではありません。エッジのような制約のある環境では、仕事、生活、遊びで私たちがほぼ毎日利用している自動化、データ処理、および通信を行うための計算能力はさらに低下します

私たちはエンジニアリングで可能になることの限界を押し広げてきましたが、ムーアの法則終焉が叫ばれていることで、1平方インチに押し込むことができるトランジスタの数は限られていると引き続き私たちは認識しています。携帯電話に押し込める部品の数は限られており、基地局に設置されているサーバー ラックに期待できる計算能力も限られています。

したがって、すべてのデバイス、エンドポイント、および制約のある計算ノードで構成されるエッジでは、サイズやスペースを増やすことなく、利用可能な計算能力を高める方法が求められています。このようなニーズがインフラストラクチャ ルネッサンスの背景にあります。これはほとんど目に見えませんが、特殊な(最適化された)計算能力を活用して、このような制約のある環境の全体的な容量を効果的に増やすことに焦点を当てています。

ハードウェアによって最適化されたコンピューティングの進化

ハードウェアによって最適化されたコンピューティングの進化は、暗号技術に特化したアクセラレーション「カード」から始まり、最終的にGPU(グラフィック プロセッシング ユニット)、そして現在のDPU(データ プロセッシング ユニット)へと受け継がれています。

進化のたびに特定の処理タスクが抽出され、それが文字通りシリコンにハードコーディングされ、データをより速く、より効率的に処理するための指数関数的な能力が生み出されました。これは、2000年代半ばに登場した暗号アクセラレーション カードの基礎となるもので、暗号化と復号化(暗号処理)の性能を飛躍的に向上させることで、「SSL Everywhere(どこでもSSL)」の導入が最終的に促進されました。同様の進歩は、ストレージの処理速度の向上に焦点を当てた隣接する市場でも起こりました。TOE(TCPオフロード エンジン)は、「ハードウェア カードにTCP/IPプロトコルを実装するネットワーク デバイスです。TOEインターフェイスは、Data ONTAPに1 GbEまたは10 GbEインフラストラクチャへのインターフェイスも提供します。10 GbE PCIe TOEカードは、Data ONTAPのNFS、CIFS、およびiSCSI TCPアプリケーションを完全にサポートします。」

基本的には、経済的な制約や物理的な制約などの制約のある環境で容量を向上させる必要があるたびに、ハードウェア コンポーネントの最適化が行われてきました。

DPUは現在、NVIDIAのおかげでAIやML関連のアプリケーションへの関心が高まっており、コンピューティングの物理的な制約を克服するための努力の現れと言えます。

エッジにおけるDPUの役割

エッジのような環境では、ハードウェアによって最適化されたコンピューティングによる性能の向上が必要です。IIoT(Industrial Internet of Things)が超低遅延(20ミリ秒未満)でデータのリアルタイム処理を必要とする製造業や医療データの処理速度が人の生死を分ける医療分野では、ハードウェアによって最適化されたコンピューティングが必要となります。

つまり、企業がエッジを活用できるようにしようとするアプリケーション中心のプラットフォームは、ハードウェアによって最適化されたコンピューティングを主要機能として搭載する必要があるということです。

DPUは、最適化された計算能力の一般化を意味します。適切なソフトウェア スタックと組み合わせて、適切なプラットフォームで実現することで、エッジは、現在大規模なハイパースケール プロバイダーが享受しているのと同じ効率とメリットを企業に提供できるようになります。

だからこそ、私たちは引き続きNVIDIAなどのパートナーと協力しています。ソフトウェアがエッジを含むすべてを支配しているとはいえ、あらゆるものを動かすのはハードウェアです。また、ハードウェア最適化を利用することで、省スペースでも性能を高めることができます。