2025年を迎え、生成AIが大きな注目を集めていますが、デジタルエンタープライズを再構築する要因はほかにもあります。コストと複雑さの増大を背景に、企業ではストレージやデータなどの主要なワークロードをパブリッククラウドからオンプレミスへ戻す動きが進んでいます。こうした移行は、AIを活用した取り組みに向けて制御性を高め、リソースを最適化することを目的としていますが、クラウドを全面的に廃止する動きには至らない見通しです。企業は今後も、パブリッククラウド、オンプレミス、エッジ環境にワークロードを適切に配分するハイブリッドアプローチを継続していくでしょう。
しかし、このハイブリッドアプローチでは、多様なプラットフォームにわたるアプリケーションのセキュリティ確保、配信、運用に新たな課題が生じます。F5は、こうした複雑さへの対処と、アプリケーション配信、セキュリティ、デジタル運用の変革が期待される新興テクノロジーに注目しています。ここでは、2025年に企業へ最も大きな影響を与えるとF5が考える5つのテクノロジーをご紹介します。
- WebAssembly
WebAssembly(Wasm)は、ハイブリッドマルチクラウド時代に実用的なソリューションを提供します。Wasmランタイムが利用可能な場所であれば、どこでもアプリケーションを実行できます。Wasmのメリットは移植性にとどまりません。パフォーマンスとセキュリティを強化し、効率を損なうことなく、さまざまな環境にアプリケーションをデプロイしてスケールできます。 - エージェント型AI
エージェント型AIは、従来のSaaSワークフローをAI駆動の自動化プロセスに置き換えることで、企業の業務運営に変革をもたらしています。事前に定められたガイドラインに従って自律的に動作するため、企業は業務をより効果的に効率化し、高コストで複雑なソフトウェアへの依存を減らしながら、適応力を高めることができます。 - データ分類
攻撃対象領域が拡大し、データ規制が変化する中、リアルタイムのデータ分類が不可欠になりつつあります。生成AIモデルは、従来のルールベースシステムを超えてデータ分類を進化させ、企業によるセキュリティの強化、コンプライアンス基準への適合、機密情報のより効果的な管理を可能にします。 - AIゲートウェイ
AIトラフィック特有の要件に対応するため、AIゲートウェイが登場しています。双方向の非構造化データフローを処理し、「良性」ボットとのやり取りの増加を管理します。一般的なAPI機能を超えるこれらのゲートウェイにより、企業はパフォーマンスやセキュリティを損なうことなく、AIアプリケーションを円滑に拡張できます。 - 小規模言語モデル
AIのハルシネーションやバイアスに対する懸念から、小規模言語モデル(SLM)と検索拡張生成(RAG)の導入が加速しています。検索システムと生成モデルを組み合わせることで、SLMとRAGはより精度が高く、コンテキストに即した結果を提供し、リアルタイムの意思決定におけるAI駆動型アプリケーションの信頼性を高めます。
最後に、私たちは「トランスフォーマーの先」に目を向けています。現在のテクノロジーが、すでに打破すべき限界に直面しているためです。効率的なAIアーキテクチャへの需要が高まる中、リソース消費量の多さなど、トランスフォーマーモデルの制約がイノベーションを促しています。1ビット大規模言語モデルなどの新しいモデルは、ハードウェア要件を最小限に抑えながら、AIの精度を最適化することを目指しています。こうしたイノベーションにより、企業環境全体で、より利用しやすく拡張性の高いAIへの道が開かれつつあります。
2025年を見据え、F5は引き続き、これらのテクノロジーを探究し、その影響を予測するとともに、進化するデジタル環境の複雑さに企業が対応できるよう支援していきます。
これらのテクノロジーと、F5がそれらを非常に重要だと考える理由について詳しく知るには、F5 2025 Tech Outlookの全文をご覧ください。各分野のF5エキスパートによる解説と見解を掲載しています。私自身、これをまとめる過程で多くの気づきを得ました。皆さまにも有益な内容としてお読みいただければ幸いです。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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