妥協のないAIモデルとエージェントのセキュリティ:F5によるCalypsoAIの買収で実現する、エンドツーエンドのAIランタイム保護

F5エコシステム | 2025年9月11日

AI時代のサイバーセキュリティ管理は、かつてないほど困難になっています。企業が生成AIやエージェント型AIツールを急速に導入する中、プロンプトインジェクション攻撃、データ漏えい、コンプライアンス上の課題など、増大するリスクに直面しています。AIアプリケーション、モデル、APIは動的かつ高度に相互接続されているため、攻撃対象領域が拡大し、規制当局による監視が厳格化するとともに、運用上の死角が生じています。

従来のポイントソリューション型セキュリティツールでは、複雑化し進化し続けるAIの脅威環境への対応が困難です。企業には、これまでにないスピードと規模で、コンプライアンスを確保し、機密データを保護し、運用の遅延を回避しながら、こうした強力なツールを業務に統合することが求められています。

F5は、AIワークフローのセキュリティ確保に、速度、ユーザーエクスペリエンス、スケーラビリティを犠牲にする必要はないと考えています。このたび、AIシステム向けに適応型保護、リアルタイムの脅威監視、監査対応のガバナンスを提供するエンタープライズAIセキュリティのパイオニア、CalypsoAIを買収することを発表いたします。今回の買収により、F5はあらゆる場所で、すべてのアプリ、API、さらにAIモデルとエージェントに至るまで、エンドツーエンドの保護を提供する初の企業としての地位を確立します。

CalypsoAIとともにエンタープライズAIセキュリティを再定義し、組織がリスクを軽減し、コンプライアンス対応を簡素化しながら、安全に拡張して高性能なAIワークフローを実現できるようにします。CalypsoAIの機能をF5 Application Delivery and Security Platform (ADSP)に統合することで、企業は世界で最も包括的なエンドツーエンドのAIセキュリティソリューションを利用でき、パイロット段階から本番環境まで妥協することなくAIシステムを保護できます。

CalypsoAIのCTOであるJames White氏と、F5のChief Innovation OfficerであるKunal Anand氏に、この画期的なソリューションがAIシステムのライフサイクル全体にわたるエンタープライズAIセキュリティをどのように簡素化するのかを伺いました。

Q:Jamesさん、F5へようこそ。CalypsoAIのミッションと、今回のパートナーシップに至った経緯を教えていただけますか?

James White:ありがとうございます。CalypsoAIは一貫して、組織が自信を持って安全にAIを導入できるよう支援することを使命としてきました。企業がAIの活用を急速に拡大するなか、敵対的攻撃、モデルの不正な挙動、ポリシー違反、変化し続けるコンプライアンス要件などのリスクが高まっています。AIは急速に変化しているため、従来のツールではこうしたリスクに対応できず、保護とガバナンスに不備が生じます。

こうした課題に対処するため、AIの成熟度を問わず、あらゆる段階のAIワークフローを保護するソリューションを構築しました。これには、AI Red Teamingによるプロアクティブな攻撃テスト、ランタイム検査やポリシー適用などのソリューションによるリアルタイム防御、さらにGDPRやEU AI Actなどの規制基準に対応するための一元的な可観測性とコンプライアンスが含まれます。

F5への参画により、私たちのビジョンをさらに広げ、これらの機能を1つの統合プラットフォームにシームレスに組み込むことができます。これにより、企業はセキュリティを損なうことなく、AIのテスト、導入、拡張が可能になります。

Q:Kunalさん、この買収は、企業の成功に向けたF5のビジョンをどのように支えるのでしょうか?

Kunal Anand: AIは単なる新たなワークロードではありません。従来のセキュリティをすり抜ける、新たな動的攻撃対象領域です。F5は数十年にわたり、アプリケーションとユーザーをつなぐ重要な接点に位置してきました。AIモデル、エージェント、データフローのセキュリティを確保することは、F5の中核的な使命を論理的に拡張するものです。

F5が目指すのは、コードやAPIに加え、現代のアプリケーションを支えるAI構成要素まで保護する、単一の適応型プラットフォームです。CalypsoAIのAIネイティブセキュリティをF5 ADSPに統合することで、このビジョンを現実のものにしています。これは、単に新機能を追加するという話ではありません。アプリケーションファブリック自体にAI保護を組み込むということです。企業はAIのリスクに対応するだけでなく、AIを活用して構築できるようになります。これこそが、この変革をリードすることと、単に参加することの違いです。

Q:Jamesさん、CalypsoAIが具体的にどのような課題に対処するために開発されたのか、詳しく教えていただけますか?

James White: 企業が新たなAIスタックの導入を進める中、AIワークフローによって動的な攻撃対象領域が生まれ、特有の課題が生じています。

  • AIの脆弱性:リスクには、プロンプトインジェクション攻撃、データポイズニング、敵対的操作などがあり、AIシステムの完全性が損なわれる可能性があります。特に差し迫った課題の1つとして、セキュリティ専門家が指摘しているのが、シャドーAIの増加です。サードパーティのAIサービスを許可なく利用することで、データ流出や運用上の死角といったリスクが増大します。実務担当者は、AIによるデータ需要とサイバーセキュリティの原則を両立させようとすると、多くの場合トレードオフを迫られ、企業は効果的なAIと堅牢なセキュリティのどちらかを選ばざるを得なくなると指摘しています。
  • コンプライアンス上のギャップ:GDPRやEU AI Actなどの規制では、一元的な監督と説明責任が求められますが、多くの組織では、AIシステムのコンプライアンス対応を効率化するための有効なツールが不足しています。
  • シャドーAI:監視されていない、または許可されていないサードパーティAIサービスの利用は、データ流出や運用上の死角などのリスクを高めます。
  • 分断されたセキュリティツール:多くの企業では、連携されていないツールや手作業のプロセスに依存しているため、非効率が生じ、ボトルネックが発生しています。

CalypsoAIの専用ソリューションをF5 ADSPに統合することで、こうした課題に直接対処し、パイロット運用から本番運用までのあらゆる段階で、プロアクティブなリアルタイム保護を提供します。

Q:Kunalさん、CalypsoAIをF5 ADSPに導入することで、お客さまはどのような主なメリットを期待できますか?

Kunal Anand: AIのライフサイクル全体にわたるセキュリティを提供します。すぐに得られるメリットは次の3つです。

  • 導入前にモデルを強化AIに対する継続的かつ自動化されたレッドチーミングとお考えください。CalypsoAIはモデルに数千件の敵対的プロンプトを送信し、数週間ではなく数時間で脆弱性を発見して修正します。これにより、チームはレジリエンスの高いシステムをより迅速にリリースできます。
  • 実行時のAIを保護 これは単なる受動的なログスキャナーではありません。データパス上で機能するリアルタイムの防御機能として、パフォーマンスを損なうことなく、プロンプトインジェクション、データ流出、その他の攻撃を能動的にブロックします。侵害を報告するだけでなく、未然に防ぎます。
  • AIのための統合オブザーバビリティ。AIシステムはブラックボックスのように感じられ、運用上の大きな死角が生じることがあります。CalypsoAIは、AI環境全体のあらゆるプロンプト、レスポンス、データのやり取りを監視します。これにより、不明瞭な状況を明確なインサイトに変え、問題のトラブルシューティングやドリフトの検出、監査に対応できるAIの挙動の完全な記録の維持が可能になります。見えないものを保護することはできません。
Q:Jamesさん、CalypsoAIのアプローチが企業に変革をもたらすのはなぜですか?

James White:当社のアプローチは、プロアクティブかつ継続的です。たとえば開発中には、当社のRed Teamingツールが敵対的攻撃をシミュレーションしてAIシステムに負荷をかけ、導入前に脆弱性へ対処できるようにします。導入後は、ライブ監視とランタイム保護システムにより、異常な動作やデータ流出などの攻撃をリアルタイムで検知し、対応します。

この多層型セキュリティアプローチにより、企業はパイロット段階から本番環境までリスクに対処し、コンプライアンス対応を効率化しながら、AIイノベーションを安全に加速するためのツールを利用できます。CalypsoAIは、導入後のAIモデルセキュリティ分野で確固たる実績を持つ業界のエキスパートです。CalypsoAIのソリューションにより、測定とベンチマークに関する独自の知見を得て、世界で最も広く利用されている生成AIモデルとエージェント型AIモデルの脆弱性を評価できます。CASIセキュリティインデックスとAgentic Warfare Resistanceリーダーボードでは、それぞれの分野で上位10モデルをランク付けしています。これにより、企業は導入すべきモデルと、導入時に伴う固有のリスクをより的確に把握できます。

Q:Kunalさん、このパートナーシップがエンタープライズAIセキュリティに大きな変革をもたらすのはなぜでしょうか?

Kunal Anand: 現在のアプローチが機能していないことは、企業も認識しています。市場では、問題の10%しか解決しない一方で、運用上のオーバーヘッドを100%増加させる、個別用途に特化したAIセキュリティツールの寄せ集めが販売されています。その結果、企業は自社のセキュリティのために、システムインテグレーターの役割まで担わざるを得なくなっています。

これはアドオンではなく統合であり、状況を一変させます。スタックを集約し、F5 ADSP全体にAIセキュリティを組み込んでいます。管理対象のボックスを増やすのではなく、インフラストラクチャのネイティブ機能として提供します。さらにF5だからこそ、このプラットフォームは、ハードウェア、ソフトウェア、SaaSを問わず、あらゆるクラウドの必要な場所で稼働します。統合プラットフォームは、ポイントソリューションを継ぎはぎした「フランケンスタック」を常に上回ります。これこそが、状況を一変させる理由です。

AIファーストの世界では、AI運用のセキュリティ確保は任意ではなく、ミッションクリティカルです。F5とCalypsoAIの統合により、企業は妥協することなくイノベーションを推進するために必要なツール、ガバナンス、制御を利用できるようになります。

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著者について

Kunal Anand
Kunal Anand最高製品責任者 | F5

Kunal Anandは、最高製品責任者としてF5の製品部門を率いています。製品のビジョン、戦略、実行を統括し、重要な課題を解決して優れた顧客体験を生み出す画期的なソリューションの開発を推進しています。前職の最高技術・AI責任者としては、F5のテクノロジーおよびAIに関する戦略とビジョンを策定しました。 F5入社以前は、Impervaで最高技術責任者と最高情報セキュリティ責任者を兼任していました。2013年に共同創業したアプリケーションセキュリティのスタートアップPrevotyが2018年に買収されたことを機に、Impervaに加わりました。Prevoty以前は、BBC Worldwideでテクノロジーディレクターを務めました。イノベーションと技術分野で豊富な実績と専門知識を有し、Gravity、MySpace、NASA Jet Propulsion Labでは、セキュリティ、データ、テクノロジー、エンジニアリングの各チームを率いる役職を歴任しました。 AIと機械学習の分野で15年以上の経験を持ち、モデルのトレーニング、AIを活用したアルゴリズムによる製品強化、AIアーキテクチャの設計と実装に携わってきました。 Babson Collegeでコンピューターサイエンスの理学士号を取得しています。

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