

このブログ記事は、F5のVice President of Product Management - Service ProviderであるAhmed Guetariと、NVIDIAのSenior Director of AI Networking and Security EcosystemsであるAsh Bhalgatの共著です。
AIは、推論性能とセキュリティが、顧客の期待に応えられるかどうかを左右する時代を迎えています。トークンエコノミーが進展するなか、AIインフラに求められるのは、もはや単なる演算能力ではありません。クラウドからエッジデータセンターまで、推論機能をオーケストレーションし、保護し、拡張することが重要です。生成AIおよび推論プラットフォームを構築するクラウド事業者には、GPU効率の最大化、トークン処理能力の向上、レイテンシの低減、AIインフラのあらゆるレイヤーの保護が急務となっています。
F5は、推論処理をスケールさせることで、これらの課題に対応します。その基盤となるのが、NVIDIA Cloud Partner(NCP)リファレンスアーキテクチャです。この重要な設計指針は、主要なAIクラウドプロバイダーがGPUアクセラレーテッドインフラストラクチャを設計、構築、運用する方法を定めています。このリファレンスアーキテクチャは、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、セキュリティにわたる最先端のテクノロジーを統合し、NVIDIA Cloud Partnerが信頼性とパフォーマンスに優れたAIサービスを大規模に提供できるようにします。
“F5の機能をNVIDIA Cloud Partnerリファレンスアーキテクチャに適合させることで、トークンスループット、トークンあたりのコスト、レイテンシ、電力効率、セキュリティを最優先事項とする新たな評価基準の確立を支援しています。”
この協業により、F5 BIG-IPは現在、NVIDIAエコシステム内でセキュアかつ高スループットな推論を実現するうえで重要な役割を担っています。
F5は、ネットワーキング、セキュリティ、アプリケーションデリバリの各機能を緊密に統合し、NVIDIAとともに、トークンを原動力とするインテリジェントなAIプラットフォームを支えます。新たなトークンエコノミーを支えるために必要なスピード、保護、インテリジェンスを提供し、大規模なAI運用のあり方を再定義します。
NCPリファレンスアーキテクチャ:AIクラウドの基盤
NCPリファレンスアーキテクチャは、AIクラウドを導入するための包括的なフレームワークを提供します。NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティング、ネットワーキング、ソフトウェアの各機能と、主要なエコシステムパートナーが提供する補完的なテクノロジーを組み合わせることで、高性能で拡張性とセキュリティに優れたAIソリューションをクラウドで実現します。
このアーキテクチャの一環として、F5 BIG-IPは、GPUを活用するAIワークロードに高度なトラフィック管理、ゼロトラストセキュリティ、高度なサービス、オブザーバビリティを提供し、NCPが確信を持って推論サービスを導入、拡張、保護できるよう支援します。
トークンエコノミーの台頭とNCPリファレンスアーキテクチャ
AIクラウドプロバイダーや企業にとって、トークンは新たな通貨であり、その価値はスループット、総レイテンシ、最初のトークンが生成されるまでの時間、エネルギー効率、トークン当たりのコストで測られます。成功の鍵を握るのは、ユーザーとGPUクラスターを接続するインフラストラクチャです。高性能なAIサービスを支えるには、トラフィックルーティング、保護、可観測性、マルチテナンシー、ポリシー適用のすべてが、ボトルネックを生じさせることなくラインレートで動作する必要があります。
NCPリファレンスアーキテクチャは、この設計指針を体系化したものです。ソブリンクラウドとAIクラウドにおいて、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、テレメトリ、セキュリティをどのように相互接続すべきかを定義しています。NVIDIA BlueField-3 DPUsは、これらのアーキテクチャにおける南北方向トラフィックの要となります。
F5は、主要なインフラストラクチャイネーブラーとしてこのエコシステムに加わり、ネットワーキング、セキュリティ、AI対応の制御をリファレンスファブリックに直接組み込みます。
F5:NCP AIクラウドのパフォーマンス、セキュリティ、効率性を向上
F5は、NVIDIAテクノロジーの統合により、すでに優れた成果を上げています。2025年4月、F5はNVIDIA BlueField-3 DPUで高速化されたF5 BIG-IP Next for Kubernetesの一般提供開始を発表しました。このソリューションは、ネットワーク処理、セキュリティポリシーの適用、トラフィックインテリジェンスをDPUにオフロードし、ビジネスアプリケーション向けにCPUリソースを解放します。最近クラウドの概念実証(PoC)テストを実施したNCPのSoftBankは、卓越したパフォーマンス結果を達成しました。
単なる処理性能にとどまらず、F5 BIG-IPの機能は、統合されたイングレス/エグレスのポリシー制御、サービスメッシュ、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃の緩和、ゼロトラストの適用、API保護、ワークロードの分離、マルチテナント環境の可観測性といったNCPの運用要件に緊密に対応し、これらをすべて1回の処理で実行します。
今回の取り組みでは、大規模言語モデル(LLM)のルーティングロジック、トークンを考慮したトラフィックの計測とガバナンス、Model Context Protocol(MCP)のサポートを強化し、データパス自体の制御性とインテリジェンスを高めました。
NCPリファレンスアーキテクチャをサポートすることで、BIG-IPは、AIクラウドの構築、導入、ガバナンスを支える中核コンポーネントとなります。
AIスループットを向上:トークン数を30%増加、TTFTを60%短縮
初期検証では、非常に有望な結果が得られています。F5 BIG-IPサービスをNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームと併用して導入すると、トークン生成量が30%超増加する一方、最初のトークンが生成されるまでの時間(TTFT)は60%短縮されます。
こうした向上により、より長くコンテキストを的確に捉えた応答、推論サイクルの高速化、トークンあたりのコスト30%削減が実現します。さらに、ワットあたりのトークン数の増加と相まって、この統合はパフォーマンスとエネルギー効率の両方を高めます。これらは、AIの新たな経済性を左右する重要な要素です。
クラウドをご利用のお客さまにとって、NCP上で運用するメリットは大きく、価値実現までの時間短縮、運用コストの削減、導入したすべてのモデルにおけるユーザー体験の向上につながります。
こうした成果は、単なる段階的な改善にとどまりません。AIクラウドによるサービスの提供、保護、収益化のあり方が構造的に向上していることを示しています。
NCPリファレンスアーキテクチャにおけるF5の貢献を支える3つの柱
F5がNCPリファレンスアーキテクチャに組み込まれることで、AIサービスを導入するお客さまは、以下の主要領域を含め、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化、機能の拡充を実現できます。
1. パフォーマンス向上:トークンエコノミーに対応:F5 BIG-IPは、NVIDIAのGPU、DPU、ネットワーキングファブリック、ソフトウェアプラットフォームコンポーネント(NVIDIA Dynamo、NVIDIA NIM)とシームレスに統合し、AI推論のスループットを最大化します。F5のソリューションは、プロンプトルーティング、負荷分散、推論効率を最適化してボトルネックを解消し、クラスターあたりの1秒間のトークン処理数を増加させます。
あらゆるトークンが収益とモデルの精度に寄与する環境において、こうした効果は、生産性の向上、応答の高速化、収益性の向上を可能にします。F5とNVIDIAの連携により、効率とパフォーマンスがビジネス成果に直結する新たなトークンエコノミーにおいて、アクセラレーテッドインフラストラクチャの可能性を最大限に引き出します。
2. AI推論のために再構築されたセキュリティ:大規模なAI推論では、データ漏えいからモデルエンドポイントの悪用に至るまで、新たな攻撃対象領域が生じます。F5は、アプリケーションセキュリティとポリシー適用に関する豊富な専門知識をNVIDIAのリファレンスアーキテクチャに直接組み込み、コアからエッジまでGPUクラウドを強化する多層防御を提供します。これには以下が含まれます。
- 推論API向けの高度なDDoS防御と適応型トラフィック保護。
- 環境全体にわたるゼロトラストの適用とポリシーベースのID制御。
- エンドツーエンドのトラフィック整合性を確保する、包括的なレイヤー7ファイアウォール機能とMCPセキュリティ。
- グローバルなコンプライアンスおよびプライバシー基準に対応する包括的なデータ保護。
その結果、パフォーマンスと保護を両立する信頼性の高いAIファブリックが実現し、NCPのお客さまは安全性やコンプライアンスを損なうことなく、安心して拡張できます。
3. 機能の拡張とAIネイティブな制御:F5とNVIDIAの連携により、スループットとセキュリティにとどまらず、GPUクラスター全体の制御、可視性、インテリジェンスを強化する新たな付加価値サービスが提供されます。LLMルーティング、きめ細かなトークンガバナンス、適応型オブザーバビリティ、コンテキスト認識型トラフィックステアリングなどの機能により、AI運用担当者はワークロードの配置とリソース使用量をリアルタイムで最適化できます。
これらの機能は、エンタープライズグレードのアプリケーションデリバリをAI領域にもたらし、あらゆるトークン、モデル、ユーザーインタラクションを正確かつ効率的に処理します。F5は、従来のアプリケーションと急速に進化する生成AIの世界をつなぎ、複雑さを制御可能なものへと変えます。
AIインフラのための新たな台帳
F5の機能をNCPリファレンスアーキテクチャに整合させることで、スループット、トークン当たりのコスト、レイテンシ、電力効率、セキュリティをAIインフラストラクチャ設計の最優先事項として扱う、新たな評価基準の確立を支援しています。
この基盤上に構築されたAIクラウドは、モデルやワークロードの進化に伴い、より予測可能なスケーリング、より透明性の高い収益化、より迅速な適応が可能になります。NCP、企業、ソブリンクラウドは、信頼性とパフォーマンスを両立する、検証済みのリファレンススタックを活用できるようになりました。
F5は、単にNVIDIAエコシステムに加わるだけではありません。1マイクロ秒、1ワット、1トークンのすべてが重要となるトークンエコノミーを、両社で推進します。F5は、安全で高性能かつ経済的に拡張可能なAIインフラストラクチャを戦略的に支える存在としてNVIDIAと連携し、お客さまがより効率的かつ迅速、安全、スマートにトークンを生成できるよう支援します。
お客さま、パートナー、そしてイノベーションに取り組む皆さまと協力し、妥協のない次世代AIサービスを構築できることを楽しみにしています。
詳細については、F5 and NVIDIAのWebページをご覧ください。
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