F5 NGINX:Kubernetesゲートウェイソリューションの未来を切り拓く

NGINX | 2025年3月20日

KubernetesコミュニティがGateway APIの一般提供を正式に発表してから、まもなく1年半になります。これは、Kubernetesクラスターにおけるネットワークとトラフィック管理のあり方を再定義する節目となりました。単なる段階的なアップデートではなく、クラウドネイティブ環境のネットワークに根本的な変革をもたらし、接続を管理するための強力で拡張性に優れた、表現力豊かなフレームワークを提供するものです。

Gateway APIは、Ingress APIの限られた機能に代わり、ロール指向の設計、標準化されたリソース、拡張性を提供します。高度なトラフィックルーティングやトラフィック分割の導入から、ロール指向の設計によるマルチテナンシーの実現まで、Gateway APIによって、従来は対応が難しかった複雑なユースケースに対応できるようになります。F5を含むベンダー各社が、Kubernetesネットワーキングの未来を形作る可能性を認識したことで、この変化が業界全体に幅広いイノベーションをもたらしたのも当然と言えるでしょう。

しかし、このような新しい標準が一朝一夕に普及するわけではありません。Gateway APIには明確なメリットがある一方で、多くの組織は依然として慎重な姿勢を取っています。移行の複雑さや既存のIngressツールと、標準化されながらも柔軟なGateway APIのルーティング設定を慎重に比較検討しています。導入の判断を左右するのは、技術的な制約だけではなく、さまざまな要素の兼ね合いです。移行に伴う時間、労力、リスクに見合う、意義のある具体的なネットワーク機能の向上が求められます。

業界全体で導入が緩やかに進んでいることは、こうした慎重な姿勢を反映しています。Gateway APIはKubernetesネットワーキングの将来を担うものとして広く認識されていますが、多くの組織は本格導入に踏み切る前に、依然としてその機能を検証したり、トレードオフを評価したりしています。Kubernetesコミュニティの報告によると、Gateway APIの試験的な利用は着実に増えています。早期導入組織は、シンプルなHTTPルーティングから高度なマルチテナントアーキテクチャまで、さまざまなユースケースでGateway APIを活用しています。多くのチームが様子を見ている一方で、こうした動きはGateway APIの可能性への関心が高まっていることを示しています。

F5でも、同様の動きが見られます。多くのお客さまは、すぐに移行することを見送っています。関心がないからではなく、イノベーションと、成熟したIngressソリューションがもたらす運用上の確実性とのバランスを重視しているためです。だからこそF5は、Gateway APIへの移行を急ぐ必要はなく、戦略的に進めることが重要だと考えています。

詳しく見ていきましょう。Gateway APIへの移行には、次のような課題があります。

  • 複雑なインフラの全面的な見直し:移行には、自動化処理の書き直しや、既存のアプリケーションパイプラインの変更が必要になる場合があります。
  • エコシステムのサポート不足: ツールとコントローラーの全面的なサポートは、現在も発展途上です。
  • 時間と専門知識の不足: 習得とリファクタリングには、専用の時間を確保する必要があります。
  • リスク回避:チームは、すでに正常に機能しているものに変更を加えることをためらいます。

一方で、大きなメリットもあります。

  • ロール指向の設計:Gateway APIリソースは組織内のロールごとに分割されています。これにより、開発者は他のチームに影響を与えることなく変更を加えられます。
  • 標準化されたトラフィックポリシー:一般的なトラフィックポリシーの多くはAPI自体に緊密に統合されているため、実装が異なっても一貫した設定が可能になり、Ingressアノテーションよりもはるかに管理しやすくなります。
  • 拡張性:拡張ポイントにより、各実装はGateway APIを拡張し、APIのフレームワーク内でカスタム機能を提供できます。

アプリケーションデリバリとインフラストラクチャについて確かなことがあるとすれば、それは、変革には時間がかかり、全社的な理解を得る必要があるということです。移行を始めるためにも、継続的なサポート、ガイダンス、イノベーションが欠かせません。

Gateway API導入への取り組み:F5の知見

F5は、Kubernetesネットワーキングの開発と進化に深く関わってきました。現場で課題に向き合い、チームによる課題の克服を支援してきました。

F5の経験から、1つの重要な事実が明らかになっています。Gateway APIの導入を成功させるには、新しい標準を実装するだけでは不十分です。将来の成功に向けた基盤を構築する必要があります。そのためには、シンプルさ、パフォーマンス、柔軟性、充実したサポートを重視したソリューションが求められます。これらの原則が、より円滑な移行を実現し、長期的な価値を生み出す土台となる仕組みをご紹介します。

  • 白紙からのアプローチによるシンプル化: Gateway APIへの移行には、技術的な変更だけでは不十分です。文化面と運用面での転換も必要になります。白紙から見直すことで、Ingressに関するあらゆる課題に対処し、Gateway APIという単一のインターフェースを通じて、より優れたネットワーク体験を実現できます。初期段階ではより多くの労力が必要になる可能性がありますが、プロセスの合理化、オーバーヘッドの削減、成果創出の迅速化といった長期的なメリットは、課題をはるかに上回ります。
  • 基盤となるパフォーマンス:ネットワークパフォーマンスは、特に大規模なKubernetes環境において極めて重要です。無駄のないGateway API実装では、アーキテクチャ上のオーバーヘッドを最小限に抑えるよう設計されたデータプレーンを採用し、レイテンシ、リソース効率、スケーラビリティの向上を図る必要があります。チームが速度や信頼性を損なうことなく移行できるよう、ソリューションにはGateway APIの柔軟性と、デフォルトでの高いパフォーマンスを両立させることが求められます。
  • モジュール設計による柔軟性:Kubernetes環境は、基本的なルーティング要件から複雑なアーキテクチャまで多岐にわたります。モジュール型のGateway APIソリューションでは、複雑さを増すことなく環境のニーズに対応できるよう、サービスメッシュなどの他のソリューションと併用しながら、必要な機能を導入できます。このアプローチにより、試行錯誤が促進され、ソリューションの拡張性と適応性が維持されます。
  • 成功を後押しするサポート:Gateway APIの導入にあたっては、専門家のガイダンスが大きな助けとなります。包括的なドキュメント、信頼できるリソース、実践的なサポートにより、Ingressからの移行に伴う負担を軽減できます。信頼できるパートナーやコミュニティとの連携によって移行が大幅に簡素化され、困難に思える移行も円滑かつ効率的に進められます。

未来はGateway APIへ……自分のペースで

18か月は決して長い期間ではありません。また、Gateway APIによって可能性が大きく広がったからといって、すべての組織が今すぐ導入できるとは限らないことも理解しています。

多くのチームにとって、Ingress APIは十分な機能を備えたソリューションであるだけでなく、既存インフラストラクチャの重要な構成要素でもあります。Ingress APIは長年にわたり、Kubernetesネットワーキングの基盤として機能してきました。すでに確立された環境を持つ組織が、安定して成果を上げているソリューションを無理に手放す必要はありません。

F5はこの現状を十分に認識しているため、Ingress APIを廃止することはありません。F5 NGINX Ingress Controllerの開発への投資を継続し、最新のユースケースに対応できる堅牢性とセキュリティを維持するためのイノベーションと機能を提供していきます。

Ingressを引き続き利用する組織にとって、現在のKubernetesワークロードを安心して稼働できる価値の高いソリューションであり続けるよう、F5は取り組んでいます。Gateway APIを検討しているチーム向けに専用設計されたF5 NGINX Gateway Fabricは、最新のシンプルさ、パフォーマンス、柔軟性を兼ね備え、組織が安心してこの標準を導入できるよう支援します。

The decision to Gateway APIへの移行は大きな決断であり、一夜にして実施する必要はありません。しかし最終的には、移行することで、組織は成長とイノベーションに向けた体制を整えられます。同時に、Kubernetesネットワーキングの未来を形作る、モダンでスケーラブルかつ相互運用可能なシステムを通じて、将来の成功に向けた基盤を築くことができます。今すぐでも将来でも、準備が整ったときにF5が支援します。詳しくは、F5までお問い合わせください。

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著者について

Mike Stefaniak
Mike Stefaniakシニアプロダクトマネージャー | F5 NGINX

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