長時間かけてダウンロードし、その後Slackwareを独自にコンパイルしていた時代から、オープンソースは大きな進歩を遂げてきました。この20年間、オープンソースを基盤に数多くの企業や財団が興隆し、衰退するのを目にしてきました。他が失敗する中で成長を遂げた組織の成功に最も大きく貢献したのは、商用とコミュニティの両面からのサポートです。
オープンソースが長期的に成功するには、商用とコミュニティの両方のサポートが必要です。商用ベンダーによるサポートは、必要性の高いサービスと資金面での支援を提供し、コミュニティがコードに集中できるようにします。これは、依然としてオープンソースソフトウェアの導入を拒む企業が存在することからも明らかです。2016年のZenossの調査によると、企業がオープンソースを避ける最大の理由は、今なお「サービスとサポートが限定的」であることです。一方、オープンソースを積極的に導入している企業の半数以上(56%)は、有料版に「アップグレード」していました。Zenossの調査に回答した企業の半数以上(51%)が、アップグレードの理由として「より充実したサービスとサポート」を挙げています。
一見、相容れないように思える商用ベンダーとコミュニティの組み合わせは、広く知られるようになったほぼすべてのオープンソースプロジェクトにおいて、成功の秘訣の一つとなってきました。Androidがその好例です。
F5(企業としての「私たち」)は、20年以上にわたりオープンソースに携わってきました。F5のエンジニアとIT部門はオープンソースに参加し、貢献しています。また、F5のiRulesコミュニティも、アイデアやコードを共有し、協力するという同じ原則に基づいています。F5は、商用アライアンスパートナーと同様の熱意をもって、商用オープンソースベンダーとの統合を開発し、パートナーシップを模索してきました。さらに近年では、オープンソースをより積極的に取り入れ、ソリューションを構築し、オープンソース向けにオープンソースとして公開しています。
しかし今こそ、コードのコミットにとどまらない取り組みが必要です。
こうした考えのもと、F5はオープンソース技術への取り組みをさらに推進するため、Cloud Native Compute Foundation(CNCF)にSilverメンバーとして加盟したことをお知らせします。また、CNCFの統括組織であるLinux FoundationのSilverスポンサーにも就任します。
Cloud Native Compute Foundationは、Kubernetes(コンテナ管理)やEnvoy(サービスメッシュプロキシ)など、多数のオープンソースプロジェクトをホストしています。F5の「State of Application Delivery 2018」調査では、企業の回答者の約16%が、優先するコンテナソリューションとしてKubernetesを使用している、または使用を予定していると回答しました。また、コンテナ化の対象はアプリだけではありません。コンテナへのアプリサービスの導入を希望する回答者の割合は、前年比で2倍になりました。
Pivotal、Docker、Mesosphereをはじめとする多くの企業がKubernetesをサポートしていることから、コンテナ化がアプリケーション導入の大きな割合を占めるようになる中、Kubernetesが主要な選択肢の1つ(あるいは最有力の選択肢)になることは明らかです。Kubernetesに加え、OpenShiftやCloud Foundryとのコンテナ統合にも大きな関心が寄せられています。そこで、アプリケーションやプラットフォームのスケーリングに関するF5の専門知識をKubernetesプラットフォームに活用し、特にネットワーク層におけるさらなる成熟を支援したいと考えています。
こうした背景から、最新のオープンソースイニシアチブであるAspen Meshを発表します。Aspen Meshはエンタープライズグレードのサービスメッシュです。堅牢なマイクロサービス通信ファブリックは、データセンター、クラウド、またはその両方でコンテナ化されたアプリケーションをスケールするための最善の手段だと考えているためです。一方で、エンタープライズの本番環境に固有のニーズと複雑さも理解しています。サービスメッシュには、アプリケーションのスケーリングだけでなく、監視とセキュリティ確保も求められます。そのため、Aspen MeshはIstioプロジェクトを基盤として構築しています。サポート付きのサービスメッシュインフラストラクチャを提供することで、DevOpsチームが求める柔軟性と自律性を確保しながら、本番環境向けアプリケーションの運用に必要なポリシー、可視性、マイクロサービスに関するインサイトを運用チームに提供します。Aspen Meshは現在早期アクセス段階にあり、このプロセスにご協力いただけるお客さまを募集しています。製品版は来年後半(2018年)に提供開始する予定です。
コンテナ技術とその環境が切り拓く未来に期待するとともに、その成功に向けて、コードの提供にとどまらない貢献ができることをうれしく思います。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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