アプリケーション戦略の現状:7年間にわたるIT優先事項の評価

F5エコシステム | 2021年3月25日

昨年の今頃、COVID-19危機がもたらす長期的な影響の1つとして、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが加速すると予想していました。実際、F5の「アプリケーション戦略の現状」調査では、デジタルトランスフォーメーションを実行している組織の割合が、2020年の80%から87%に増加したことが確認されました。Lori MacVittieが紹介したように、組織は新たなプロジェクトに着手しただけでなく、デジタルエクスペリエンスを大規模かつ迅速に導入しました。この段階にあると回答した組織は、2020年の36%に対して57%に上ります。特に興味深いプロジェクトとしては、空間の消毒、COVID-19検査時間の短縮、さらには大学キャンパスでロボットを使って食事を配達するなど、COVID-19への対応を目的としたロボティクス活用の拡大が挙げられます。最後の例は、テクノロジーに慣れ親しんだZ世代に向けたイノベーションが、まだ始まったばかりであることを示しているに違いありません。

過去7年間の調査から、アプリケーションのモダナイゼーション、クラウド、自動化、そして最近ではAIといった、デジタルトランスフォーメーションに関連するテクノロジーの変化に歩調を合わせて、アプリケーションセキュリティおよびデリバリの導入が成熟し、拡大していることがわかりました。毎年、導入が計画されている上位のアプリケーションセキュリティおよびデリバリテクノロジーを見ることで、翌年の戦略的優先事項と、各組織におけるデジタルトランスフォーメーションの進捗状況が明らかになります。2015年の戦略的ITトレンドの首位はプライベートクラウドであり、各組織はマルチクラウド運用モデルでアプリケーションを安全に配信する際に増大する課題について検討し始めていました。この傾向は上位のアプリケーションサービスにも表れ、DNSSEC、グローバルサーバーロードバランシング、IDフェデレーションが上位を占めました。その数年後には、セキュリティ侵害の影響が経営幹部にも認識されるようになり、回答者はネットワーク、アプリケーション、ユーザーエンドポイントを保護するセキュリティテクノロジーを優先していました。2017年に導入が計画されていたテクノロジーでは、DDoS、WAF、IPS/IDS、スパム対策が上位を占めました。2018年には、SDN、API、IoTゲートウェイが台頭し、各組織がデジタルトランスフォーメーションに向けて準備を進めていることが見て取れるようになりました。

現在に目を向けると、導入予定のテクノロジーから、安全でレジリエントなマルチクラウドアプリケーション基盤を構築する必要性が明らかになっています。デジタルトランスフォーメーションを成熟させるには、アジリティとスケーラビリティが必要です。回答者の4分の3以上(77%)が、コンテナを使用中または使用予定です。大規模なエコシステムを備えるコンテナは、マルチクラウド環境全体でアジリティとスケーラビリティを実現する手段として、多くの組織から注目されています。導入予定のアプリケーションサービスおよびデリバリーテクノロジーの上位3つは、Service Mesh、Service Discovery、SD WANです。Service MeshとService Discoveryを利用することで、本番環境に対応したレジリエントなエンドユーザーエクスペリエンスに必要なポリシーとセキュリティを損なうことなく、マイクロサービスによるアジリティのメリットを得られます。

クラウドアプリケーションによって構築される、分散型でセキュアなデジタルワークスペースは、今や主流となっています。従業員のハイブリッドワークモデルが定着するだけでなく、分散したデータセンター間でアプリケーションとAPIを連携させる必要性も今後続きます。SD WANは、世界各地に分散するユーザーとアプリケーションに対応する帯域幅を迅速かつ費用対効果の高い方法で拡大できます。回答者の約3分の1(31%)がネットワークの再設計を計画しており、最終的なソリューションにSD WANを組み込む予定であると回答しました。今年導入が予定されているテクノロジーから、デジタルトランスフォーメーションによって分散型かつデータドリブンな環境が生まれていることが分かります。

アプリケーションのセキュリティおよびデリバリを支えるテクノロジーは、単に姿を消すわけではないという点が重要です。Global Server Load Balancingは、2015年当時と同様、現在も重要です。基盤を強化して拡張していく中で、導入環境、アプリケーションアーキテクチャ、脅威の状況も成熟していきます。

アプリケーションセキュリティおよびデリバリのテクノロジーは、オンプレミスからエッジまで、あらゆる種類のデータセンターでホストされています。今年は、クラウドがオンプレミスと同等の水準に近づき始め、エッジはパフォーマンスの向上、コンプライアンス要件への対応、テレメトリの収集における重要な拠点として台頭しました。

セキュリティの重要性は、これまでと変わりません。ビジネス成果の達成におけるアプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーの重要性を評価したところ、セキュリティ関連の成果が最も重要であると認識されていました。顧客データの保護は最優先事項であり、不正行為からビジネスを守ることも同様です。従業員の生産性は優先順位がやや低いものの、希少な人材をめぐる組織間の競争が激化するなか、今後数年でその重要性は高まると考えられます。従業員の生産性はカスタマーエクスペリエンスに直接影響します。仕事と家庭の境界が曖昧になるにつれ、従業員はスキル、オートメーション、アプリケーション全体のパフォーマンスに投資する組織を選ぶようになるでしょう。

皆さまがかつてないほど多忙を極める中、IT戦略と導入状況についてお聞かせくださった数千人の方々に、Lori MacVittieと私は心より感謝しています。皆さまから得た知見を踏まえ、来年への期待はさらに高まっています。データ分析を通じてビジネステレメトリを実用的なインサイトへと変換する、AIを活用したアプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーが、デジタルトランスフォーメーションの成熟度を高める組織にとって基盤になると考えているためです。

詳細については、F5の「2021年版アプリケーション戦略の現状」レポートをダウンロードしてご覧ください。また、アジア太平洋地域におけるモダナイゼーションとエッジのトレンドを取り上げた、野崎敬一郎の示唆に富むブログもぜひお読みください。さらに、AIセキュリティと自動化に関する今後のインサイトにもご注目いただき、Twitterで「@F5」をフォローしてください。

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