テレメトリ:従来とは異なるデータ

F5エコシステム | 2020年2月24日

業界として、私たちはテクノロジーのほぼあらゆる側面について議論を交わします。しかし、特に得意なのは、用語をめぐる論争のようです。専門用語。言葉。

クラウド。DevOps。SDN。オープン。黒いソファに犬の毛がまとわりつくように、これらの用語の定義には今なお議論がつきまとっています。

そちらはそちらの比喩を、私は私の比喩を使います。どうも。

今回は、今後10年ほどは議論を呼び続けそうな用語、「テレメトリ」について取り上げます。結局のところ、単なるデータではないのでしょうか。「データ」より格好よく聞こえるから「テレメトリ」と呼んでいるだけなのでしょうか。

いいえ。まったく違います。

結局のところ、データもテレメトリも、整理された情報の断片です。両者を同じ意味で使っても問題はありません。しかし、正確に言えば違いがあります。そして、組織がデータエコノミーへと進むにつれ、その違いはますます重要になります。

テレメトリ(telemetry)は、ギリシャ語で「遠隔」を意味する「tele」と「測定」を意味する「metron」という2つの単語に由来します。Wikipediaによると、「テレメトリとは、遠隔地やアクセスできない場所で測定値やその他のデータを収集し、監視のために受信装置へ自動送信することです」。

このため、多くの運用データがテレメトリと呼ばれています。データが(リモートで)収集され、別のシステムに送信されるからです。テレメトリデータは新しいものではありません。ネットワークやアプリケーションサービスが登場して以来、それらに本質的に伴う副産物として存在してきました。ネットワークとアプリケーションの監視では、数十年にわたり、エージェントやプロトコルを使用してテレメトリを収集してきました。その主な価値は、データパス上の問題のトラブルシューティングにあります。

しかし、企業がデジタルトランスフォーメーションを進め、ビジネスプロセスとテクノロジーの境界が曖昧になるにつれて、データパス全体から得られるテレメトリによって、技術上の問題とビジネス上の問題の両方について知見を得られるようになります。組織が社内外で、また顧客やパートナーとの間でビジネスを遂行するうえでアプリケーションへの依存を強める中、最も価値の高いテレメトリは、データパスを構成するアプリケーションサービスから生成されるものです。

そのデータパスを見ると、スケーラビリティとセキュリティを支えるアプリケーションサービスが少なくとも1つ、実際には10に近い数存在します。

各アプリケーションサービスと、そのデプロイ先となるプラットフォームには、特定のカスタマーエクスペリエンスの状態に関する有用な情報があります。ユーザープラットフォームの特性(デバイスの種類、場所、ネットワーク)から、データパス上の個々の「ホップ」で費やされた時間まで、あらゆる情報をインシデントのトラブルシューティング、悪意のある攻撃者の特定、パフォーマンス上の問題の詳細な把握に活用できます。これは「顧客」データでも「企業」データでもなく、運用データです。つまり、テレメトリです。

しかし、そのデータを真に活用するには、データパス上のアプリケーションサービスから生成される膨大な量のデータを収集し、分析する方法が必要です。そこでクラウドが重要になります。

テレメトリの活用にクラウドが不可欠な理由

現在、すべてのテレメトリを保持するには利用可能な容量を超えるストレージが必要となるため、収集されているのは一部のみです。

現在生成されている、または生成される可能性のあるテレメトリの量は膨大です。ほとんどのシステムでは、数週間分、場合によっては数日分を超えるテレメトリを保存できません。多くの場合、容量を節約するために時系列データに分割されますが、それでもストレージへの極めて大きな負荷は解消できません。最終的には、より新しく関連性の高いテレメトリデータ用の容量を確保するため、削除する必要があります。

このため、高度な分析サービスはパブリッククラウドでホストされる傾向があります。クラウドのコンピューティング能力とストレージ容量を機械学習と組み合わせることで、膨大な量のテレメトリを収集、保存、処理するために必要な技術基盤が整います。十分に充実したテレメトリデータがあれば、高度な分析によって、一見無関係に見えるデータポイント間のパターンや関係性を発見し、組織が行動に移せるインサイトを提供できるようになります。

しかし、その実現には、クラウドベースのリポジトリが取り込める限り多くのテレメトリを、アプリケーションサービスから送出する必要があります。また、データパス上のポイントを可能な限り幅広く網羅しなければなりません。カスタマーエクスペリエンス全体(データパス)から収集できる情報が多いほど、パターンや関係性を探索するシステムにとって、その情報の価値は高まります。これにより、カスタマーエクスペリエンスとビジネスパフォーマンスの両方の向上につながる、実用的なインサイトを見いだせます。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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