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脱クラウド(オンプレミス回帰)とSRE運用の不思議な関係

Lori MacVittie サムネール
Lori MacVittie
Published July 28, 2022

 

私は哲学が好きです。あと3つクラスを履修すれば学位が取れます。数年ごとに、いつか修了するぞと自分に言い聞かせています。私の哲学好きは長男に受け継がれました。息子はコンピュータ サイエンスとデータ サイエンスの学位を補完するために哲学の学位も取りました。お察しの通り、私たち親子のテキストのやり取りはとても面白いものになります。

そのため、私は統計学および論理で因果の誤りとして知られているものを熟知しています。「相関関係は因果関係ではない」ということわざはこの言葉から来ています。これは、出来事Yが出来事Xの後に起こるとしたら、出来事Yは出来事Xに起因するに違いないと想定する論理の誤りです。この誤りを最も顕著に指摘したのはBobby Hendersonでした。彼は、地球温暖化は世界から海賊が減ったことが原因であることを示すチャートを使用して、相関関係から因果関係を想定することの不条理を説明しました。

そうです。これは理にかなっていませんが、人々が因果関係を引き出す多くのチャートも同様です。2つのデータ ポイントが相互にマップされているからといって、一方が他方を引き起こしたことを意味するわけではありません。多くの場合、2つを相関させることは論理的な意味を成しません。結局のところ、海賊と温暖化など、実際にそれほど深刻に考える人はいないのです。

しかし、SRE運用と脱クラウドの関係の問題を深く掘り下げるうえで、これは重要なポイントとなります。

誤解のないように言うと、SREプラクティスの採用が脱クラウドにつながることを示唆しているのではありません。私が意味するのは、この2つの間には密接で有意義な関係があるということです。クラウド プロバイダーであるGoogleがSREをプラクティスとして作成したという事実は間違いではありません。SREに関連するモデル、考え方、スキルセットは、クラウド インフラストラクチャとサービスの運用の成功に不可欠です。

脱クラウドは現実

脱パブリック クラウドは、特定の領域ではタブーのトピックです。Andreessen Horowitzが「The Cost of Cloud, a Trillion Dollar Paradox」(「クラウド利用でインフラ費用2倍」クラウド コンピューティングの不都合な真実)を公開し、企業が脱クラウドを行った結果コストを大きく削減していると主張したときに論議を呼んだときのことを考えてください。そのようなことは起こっていないと信じ込まされた人もいるでしょうが、脱クラウドが発生していることを示すのに十分なデータと事例証拠があります。

当社の2021年版レポートでは、脱パブリック クラウドについて市場に尋ねました。アプリケーションの脱クラウドを行ったのはわずか13%、脱クラウドを計画していたのは14%でした。それから1年後、これらの合計は40パーセント(それぞれ37%と30%)に増えました。これは例外ではありません。複数の信用できる分析会社が同様な結果を報告しています。興味深いことに、脱クラウド率は世界的には共通していません。APCJとLATAMはどちらも、EMEAとNAと比べて脱クラウドを行う可能性は低くなっています。

私が主張することは、企業はパブリック クラウドからアプリケーションの脱クラウドを行っており、問題は「それを行っているかどうか」ではなく、「いくつのワークロードをクラウドから移動しているか、どこへ移動しているか」です。これらの質問には、来年に2023年版アプリケーション戦略状況レポートを完成させるときに答えられるようにします。

現在は、脱クラウドの推進要因と考えられるSRE運用を掘り下げて探っています。増大するクラウドのコストによって脱クラウドへの願望が駆り立てられているとしても、別の場所で効率的に運用して低コストのメリットを得るためのスキルがなければ、脱クラウドを行う意味はありません。

そして、ワークロードを別のパブリック クラウド、オンプレミス、エッジのいずれに移行する場合であっても、企業が脱クラウドを実施して、その意思決定を正当化するために必要な効率とコスト削減の維持を可能にするのは、SRE運用プラクティスとスキルです。

データを掘り下げる

表面上は、脱クラウドに伴うSREプラクティスの採用と適用には密接な相関関係があり、クラウドのように運用できる組織は(SREプラクティスを採用しているなど)、おもちゃ(アプリケーション)を片付けて、家(オンプレミスやその他の場所)に戻ります。それができるからです

脱クラウドSRE

別の方法で説明すると、SREプラクティスを採用していない組織のわずか4%がパブリック クラウドからアプリケーションを移動しています。SREプラクティスを採用している組織の何と73%が、同じくアプリケーションを移動しています。

もちろん、プラクティスの採用は必ずしもプラクティスの適用を意味するわけではありません。そのため、組織が実際にアプリケーション、システム、インフラストラクチャをどのように運用しているか調べてみました。具体的には、SREプラクティスを使用している運用の割合を調べました。意外でもないでしょうが、同様の結果が出ました。

脱クラウド

SREプラクティスを使用して、アプリケーション、システム、インフラストラクチャの0%を運用する組織のうち、81%が脱クラウドを行っていません。逆に言うと、アプリケーション、システム、インフラストラクチャの運用の76%~99%にSREプラクティスを使用している組織の54%が脱クラウドを行っています。脱クラウドが加速し始めるのは、組織がアプリケーション、システム、インフラストラクチャの4分の1(25%)以上の運用にSREプラクティスを使用するようになったときです。

APCJとLATAMは、脱クラウドの可能性がはるかに低いと申し上げたのを覚えていますか?これらの地域は、アプリケーション、システム、インフラストラクチャの運用にSREプラクティスを利用する可能性もはるかに低くなっています。実際に、LATAMとAPCJでは4分の1以上(それぞれ26%と29%)が、SREプラクティスを使用してアプリケーション、システム、インフラストラクチャをまったく運用していませんでした。EMEAでは、この割合はたったの5%です。NAではさらに低い2%です。

有意義な関係か、不思議な偶然か?

運用上のプラクティスとしてSREを受け入れている組織と、脱パブリック クラウド率の間には議論の余地のない相関関係があるようです。しかし、それは有意義な関係でしょうか?それとも単なる興味深い偶然でしょうか?

これは私のブログですから、それは有意義な関係だと主張します。

SREに関連するプラクティスとスキルセットは、大規模なクラウドのような環境の運用に完全に適合します。前にも述べたように、SREを作成し、文字通りそれについての本を書いたのはGoogleでした。前に行ったことをもう一度言いますが、クラウドの価値は運用モデルにあります。運用モデルは、HTTP交換で測定するか、顧客セッションによって測定するかにかかわらず、トランザクションあたりのコストを大幅に削減できます。それにより、アプリケーションやデジタル サービスをコスト効率良く拡張できます。

中断なしのオカレンスではなく、意味のあるインシデントを重視した自動化やプラクティスの使用により、高レベルの可用性とパフォーマンスの維持を担う人材(およびその専門知識)をコスト効率良く拡張できます。

SREプラクティスの採用と使用により、組織は、パブリック クラウド、オンプレミス、エッジのいずれにおける運用も効率的に拡張することができます。そしてデータは、組織がこれを行うためにその機能を使用していることを語っています。

デジタル ビジネスにサービスを提供するためのアーキテクチャのモダナイゼーションと、SRE運用の採用については、O’Reillyの新書『デジタル ビジネスのためのエンタープライズ アーキテクチャ』を参照してください。