クラウドに関するインサイト:『State of Application Delivery 2017』
コントロール。この言葉はよく使われます。自分を律する。自らの運命を切り開く。将来の家計を管理する。その方法をご覧ください。
「コントロール」はシンプルな言葉ですが、物事の手綱を握り、どこでどのように進めるかを自ら決めるという、非常に力強い概念を表しています。
企業において、クラウドを検討する際には、この「コントロール」という概念が重要な要素となっています。意外に思う方もいるかもしれません。一方、特にこの10年間にわたって読み続けてきた方にとっては、そうではないでしょう。いずれにせよ、企業がコントロールできないクラウドモデルよりも、コントロールできるモデルを選んでいるのが実情です。これは、そうしたモデルがリソース(IaaS)や機能(SaaS)のコモディティ化を主な基盤とするクラウドモデルではないという意味ではありません。導入するアプリケーションの性質などを考慮し、まず別のモデルを選ぶ傾向があるということです。

世界各地のあらゆる業界、あらゆるIT職種で働く2,100人以上のITプロフェッショナルに、組織内での各種クラウドモデルの利用状況について尋ねたところ、圧倒的多数が、コントロールを確保できるモデルを選好していることが明らかになりました。
ただし、これは場所の問題ではありません。回答者からはオンプレミスのプライベートクラウドが圧倒的に支持されましたが、アプリケーションとインフラストラクチャをオフサイトに展開するコロケーションクラウドとオフプレミスのプライベートクラウドも、利用中のモデルとして挙げられた点は重要です。その割合は、IaaSやPaaSといった他の「パブリック」モデルを上回りました。もちろん、SaaSも企業の規模や業種を問わず、引き続き広く利用されています。これらもすべてオフプレミスです。
つまり、企業にとって問題なのは場所ではなく、主にコモディティ化の概念に基づくモデルに必然的に伴う、可視性と制御の制約です。
コモディティ化には高度な標準化が伴い、標準化によって標準からの逸脱が制限されます。カスタマイズできる可能性はありますが、アプリケーション層に限られます。このようなサービスの利用者は、インフラストラクチャに手を加えることができず、したがってアーキテクチャの大部分も変更できません。
それには十分な理由があります。たとえば、誰もがAmazonやAzureのネットワーク層を自由に変更できれば、システム全体が混乱し、増大するコストが顧客に転嫁される可能性があります。障害が発生し、やがて隣接するアプリやシステムが停止する、あるいはさらに深刻な事態に陥ることで、パブリッククラウドの価値が低下し、利用そのものが現実的でなくなるおそれがあります。
パブリッククラウドモデルによる標準化は必要であり、望ましいものです。これにより、比類のないコスト削減、安定した環境、一貫したエクスペリエンスが実現します。いずれも大きなメリットです。ただし、通常はクラウドプロバイダーによって抽象化され、管理されているインフラストラクチャ層まで含め、組織がより高度な制御を求める場合は例外です。
おそらくこれが、「制御可能」なクラウドモデルの利用率が非常に高い理由です。組織における制御の必要性の高まりに応えるものとして、オフプレミスのプライベートクラウド(Amazon VPCなど)は以前から提供されてきました。しかし、コモディティ化に伴い、これにも限界があります。そのため、コロケーションクラウドは短期間で広く利用される選択肢となりました。コロケーションクラウドプロバイダーは、制御の必要性とパブリックIaaSクラウドという選択肢を組み合わせ、制御性とコモディティ性の適切なバランスを実現することで、企業向けクラウドモデルの選択肢をさらに増やしています。
手頃な価格でコモディティ化されたリソースや機能と、フルスタックの制御という相反するニーズに対し、組織は単一のモデルではなく、複数のモデルを活用して対応しています。グラフの割合を合計すると100%を超えていることにお気づきでしょう。これは、回答者が該当するモデルをすべて選択したためです。利用しているクラウドモデルの平均数は1.8でした。

実際に、組織が使用しているモデルの種類数を見ると、半数近く(46%)が3種類以上を使用しています。また、こうした多様なニーズに対応するため、無視できない割合である10%が4種類以上の異なるモデルを使用しています。
また、パブリック(IaaS)クラウドの利用も拡大しています。F5の調査結果から、あらゆるカテゴリーのアプリサービスをパブリック(IaaS)クラウドに導入する傾向が強まっていることがわかりました。通常、アプリのサポート、セキュリティ確保、配信を目的とせずにこうしたアプリサービスを導入することはないため、パブリック(IaaS)クラウドへのアプリ導入も同様に増加していると考えてよいでしょう。
つまり、今後の調査では、利用されるクラウドモデルの数もそれに応じて増加すると予想されます。その一因は、各種モデルに導入されるアプリケーションの種類にあります。使い捨て型アプリ、更新可能なアプリ、モバイルアプリなどは、アクセス性、拡張性、コストモデルの面から、もともとパブリッククラウドに適しています。回答者が示したアプリケーションの導入先の傾向にも、この点が調査結果として表れています(まだ調査結果を入手されていない場合は、こちらから入手できます)。
つまり、私たちはマルチクラウドの時代を迎えつつあります。回答者の55%は依然として単一のクラウドモデルのみを利用しており、その大半はオンプレミスのプライベートクラウドですが、組織が他のクラウドモデルの導入を加速するにつれ、この状況は急速に変化しています。ただし、企業が今後もクラウドプロバイダーを慎重に選定し、その判断が主にアーキテクチャ全体を管理する必要があるかどうかに基づくという点は変わりません。
クラウドには多くの「モデル」がありますが、突き詰めれば、実際には2種類しかありません。制御性を提供するクラウドと、コモディティ化を前提とするクラウドです。そして企業は、その両方を大量に利用しています。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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