攻撃を受けたら、クラウドを活用

F5エコシステム | 2016年11月21日

サイバー。モノ。セキュリティ。DDoS。これらはデジタル世界の混乱要因です。現代にたとえるなら、門前に迫る敵、城壁内に侵入した敵、そして味方に紛れ込んだ敵です。問題の本質は、モノが(またしても)攻撃を仕掛けたことではありません。ますます厄介になり、しばしば成功を収めるこうした攻撃がビジネスを混乱させ、業界全体に波及するパニックを引き起こしていることです。

そもそも、分散コンピューティングリソースの活用は目新しいものではありません。SETIを基盤とする分散処理が広く普及し、世界中の技術愛好家が自分のマシンで使われていないCPUやメモリのリソースを提供して、プログラムが収集した膨大なデータの処理に協力していたことを覚えている方も多いでしょう。これは多くの点でクラウドコンピューティングの最初期の形態であり、突き詰めれば「他人のコンピューター」を利用することにほかなりません。

最新のガジェットや機器などの「モノ」が持つコンピューティングリソースを利用する場合でも、何も知らない消費者のマシンのリソースを利用する場合でも、今日の攻撃者は、組織に対して常識的な範囲をはるかに超える量のデータを送り付けることができます。多くの組織が利用するインターネット接続の平均帯域幅は10~40 Mbpsであるため、ボリューム型攻撃を受けた際に、まずネットワークが過負荷になるのも不思議ではありません。

“……攻撃がネットワークに到達した時点で、トラフィック量はネットワークの処理能力をはるかに上回り、ほぼ即座にネットワークの可用性に問題が生じます。”

デジタルビジネスでは、デジタル上の混乱は避けられない現実です。実店舗がブラックフライデーや新学期セールなどによる物理的な混乱に対応するため、規模を拡大する方法を見いだす必要があったように、デジタルビジネスも、頻度と規模を増すこうした攻撃に対処するためのスケーリング戦略を策定しなければなりません。

クラウドは、合理的かつ理にかなった解決策です。拡張性が環境に組み込まれているクラウド環境へアプリケーションを移行する場合でも、DDoS対策のようなクラウドベースのサービスを利用する場合でも、クラウドはデジタルディスラプションの影響を単なる厄介事にまで抑えるための最善策の1つです。

アプリケーションをクラウドに移行することで、攻撃を受けてもネットワークが過負荷に陥ることはない*という一定の安心感を組織にもたらします。もちろん、これはクラウドプロバイダーがインターネット上に分散しているだけでなく、インターネットバックボーンのごく近くに位置し、攻撃を吸収するために必要な容量を備えていることが前提です。

クラウドに移行できない、またはまだ移行していないリソースが攻撃の標的となった場合でも、クラウドは有効な選択肢です。この場合、組織のプレゼンスをクラウドベースのセキュリティサービスに移すことで、正規のトラフィックはデータセンターへ引き続き転送しながら、攻撃トラフィックの吸収をプロバイダーに任せ、影響を軽減できます。この選択肢は、クラウド上にあるかどうかを問わず、すべてのアプリケーションを保護する場合にも有効です。抽象化レイヤーとして機能することで、アプリケーションの配置場所が継続的に変化しても組織への影響を抑え、攻撃者が狙う真の価値、つまりデータの所在元であるアプリケーションを特定しにくくします。

モノのセキュリティを懸念する必要がないということではありません。特に、消費者やパートナーに「モノ」を提供する事業を展開している場合は、十分に懸念すべきです。しかし、この種の攻撃に対してモノだけをどう保護するかに注目するのではなく、一歩引いて、事業にとって本当に支障となるものは何か、そしてそれにどう対処すべきかを見極める必要があります。

DDoSの場合、問題となるのは多くの場合、ネットワークとアプリケーションの処理能力です。ネットワークとアプリケーションの拡張性が限界まで試されるような障害への対処には、クラウドが有効な選択肢となります。

* インターネットの世界に保証はありません。それも魅力の一つだと言われています。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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