
私はこれまで、アプリケーションアーキテクチャとネットワークの間に時として生じる不安定な関係について、数多く取り上げてきました。その多くでは、アプリケーションアーキテクチャの変化が、ネットワークや、速度、拡張性、セキュリティを実現するためのアプリケーションサービスにどのような影響を及ぼすかに焦点を当ててきました。しかし今回は視点を逆にして、ネットワークがアプリケーションに大きな影響を及ぼし、ひいてはイノベーションにも影響する仕組みを見ていきます。
最近のHigh Scalabilityへの投稿では、ネットワークが重要である理由を著者が解説しており、その進化の過程から、サーバーレスが登場した現在、インターネットが事実上コンピューターそのものである世界を現実的に考えられるようになった理由までが取り上げられています。この記事を読んで、そのことを改めて思い出しました。長文ですが一読の価値がありますので、ぜひ時間を取ってお読みください。ここでは要点をまとめますが、元の記事には、ここで触れきれない興味深い内容が数多くあります。
インターネットへの接続にダイヤルアップが使われていた時代、Webサイトはほとんどがテキストで、画像があっても1~2点の低画質なものに限られていました。インタラクティブな操作が必要な場合は、gopherやtelnetを起動し、テキストベースの端末を使用していました。ダイヤルアップによるラストマイルでは、それ以上に複雑な処理を実現することは到底できませんでした。
ダイヤルアップの速度が向上し、やがて初期の「ブロードバンド」サービスに置き換わると、アプリではより多くの画像が表示され、複数のページに分かれるようになりました。ネットワークが十分に高速になり、利用者が退屈してDiabloをプレイしに行ってしまう前に、それらの情報を送信できるようになったためです。この傾向は、スケールが問題になるまで続きました。サイトの足かせとなったのは、もはや速度ではなくスケールでした。ロードバランシングは突如として金脈になったのです。
ネットワーク速度は、ラストマイルだけでなく、データセンター内やインターネットのバックボーンでも向上し続けました。Web 2.0によってWebアプリという概念が世界に広まり、ネットワークがデータ交換の規模と速度を確保できることを活用した、応答性に優れたインタラクティブなWebサイトが登場しました。
ネットワークの進歩に伴い、アプリケーションアーキテクチャも変化しました。十分な速度とスケーラビリティがなければ、あらゆる消費者が本質的に求めるスピードを満たせず、Web 2.0の世界が誕生することはなかったでしょう。しかし、こうしたアプリケーションは依然として、プレゼンテーション層、ロジック層、データ層で構成される従来型の3層モデルを採用していました。それらがインターネット上に分散配置されていたにすぎません。
その後まもなく、SOA(若い方のために説明すると、サービス指向アーキテクチャのことです――ところで、年寄りの庭からは出ていってください)が一世を風靡しました。標準規格(SOAP、XML)を組み合わせ、既存のサービス指向の概念を基盤とする「Webサービス」が主流になりました。WebサービスとSOAは、アプリケーションを個々のサービスに分割するという概念をもたらしました。聞き覚えがあるのも当然です。現在、この概念は「マイクロサービス」と呼ばれています。
Webサービスの問題は、XMLがデータ量の多い形式であり、クライアント(またはサーバー)での解析に時間がかかることでした。XMLはSOAの中核にあったため、各サービスでネットワーク経由のデータ交換と処理に一定の時間が必要でした。利用者からのリクエストを処理できる時間には限りがあるため、アプリケーションを現実的に分割できるサービス数も必然的に制限されました。実現できても、せいぜい2つか3つのサービスでした。
現在では、ネットワークはエンドツーエンドで高速化し、帯域幅も拡大しています。データセンター(およびクラウド)のネットワーク速度は、メガビット毎秒ではなくギガビット毎秒で測定され、ブロードバンド接続でさえ、初期の企業ネットワークとは比べものにならないほど高速です。つまり、ネットワーク経由の転送が高速化したということです。さらに、コンピューティング性能とI/O速度の飛躍的な向上(ムーアの法則が正しいため)も相まって、アプリケーションを数十、さらには数百ものサービスに分割し、想定される応答時間の範囲内で呼び出して実行できるようになりました。これらをマイクロサービスと呼びます。
こうしたネットワークの変化により、最新のアプリケーションアーキテクチャとAPIが実現しました。また、2000年代初頭には到底不可能だったリアルタイムの情報交換も可能になりました。テクノロジーが従来の補助的な役割を超え、今やビジネス戦略の重要な要素と見なされているのと同様に、ネットワークもアプリケーションの重要な要素になりつつあります。次のアーキテクチャの波であるサーバーレスが到来する中、スケーリングやセキュリティに関するイベントにほぼ瞬時に対応できる、応答性に優れた統合型のネットワークおよびアプリケーションサービス層がなければ、このようなコンピューティングモデルは実現できません。
今や重要なのは、ネットワーク自体の速度(光速という限界に近づいています)よりも、スケールアップやスケールダウン、進行中の攻撃の阻止、ネットワークやアプリケーションインフラストラクチャの問題を回避するための経路変更といったイベントに対するネットワークの応答速度です。次世代のネットワーキングは、ソフトウェアで定義され、ソフトウェアで駆動され、ソフトウェアの活用を可能にします。また、ジャストインタイムのアプローチを取り入れたスケーラビリティモデルへと移行しつつあります。このモデルでは、コンテナ内でホストされるサービスにアクセス、スケーリング、セキュリティを提供するサービスに、ほぼ瞬時の応答速度が求められます。
一般に「ネットワーク」と呼ばれるものは、さまざまなソフトウェアやハードウェア上に存在するサービスで構成されています。こうした「ネットワーク」が応答し、ジャストインタイム型のモデルでサービスを提供できるかどうかが、これらの新たなアプリケーションアーキテクチャモデルの成否を左右する要因の1つとなります。
「ネットワーク」は今、かつてないほど重要になっています。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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