マルチクラウド競争を制するKubernetes

F5エコシステム | 2019年10月14日

これは、Sumo Logicの最新レポート「Continuous Intelligence Report」に掲載されたデータが示す結果です。

ほとんどの企業組織はマルチクラウドを採用しています。これは、F5独自の調査に加え、確認できるほぼすべての業界レポートでも示されています。実際、パブリッククラウドを全面的に避けている組織は、一貫して20%未満です。汎用的なビジネス機能(CRM、生産性向上、SFA、コミュニケーション)の提供にSaaSがほぼ例外なく利用されていることを踏まえると、組織がアプリケーションポートフォリオの一部をホストするために、複数のクラウド環境を利用していることは明らかです。

2,000社を超える顧客の実際の利用状況を基に集計されたSumo Logicの最新データを詳しく見ると、特にAWSでKubernetesの利用が増加していることがわかります。2018年には、AWS顧客の20%がECS(Amazonのコンテナサービス)を利用していました。この割合は2019年に22%へ増加しました。一方、2018年にKubernetesを利用していたAWS顧客はわずか14%でしたが、2019年には20%へ増加しました。

複数のクラウド環境を利用しているお客さまに目を向けると、Kubernetesがクラウドプロバイダーのサービスを明らかに上回っていることは、驚くべきことではありません。

SUMOLOGIC

これが驚くに値しないと言えるのは、マルチクラウドを採用する理由をお客さまに尋ねると、必ず上位に挙がる回答の1つが「ベンダーロックインの回避」だからです。企業があらゆるものをマルチベンダー化してきた理由も、20年以上にわたって同じでした。これがパブリッククラウドにも当てはまることは、何ら不思議ではありません。結局のところ、クラウドもネットワークスイッチやデータセンターサーバーと同じく、れっきとした製品なのです。

この中心的なテーマは、Kubernetes導入の推進要因としてよく挙げられる「ポータビリティ」とも非常に相性が良いものです。

企業が明らかに求めているのは、特定の環境に縛られることなく、複数の環境にアプリケーションを自由にデプロイできる方法、すなわちポータビリティです。Kubernetesとロックインの関係について、Heptioの「State of Kubernetes」に示された次の調査結果をご覧ください。

オープンソースのKubernetesを本番環境で運用している組織は、ロックインの回避(66%、平均60%)とマルチクラウドの実現(56%、平均48%)に対する意欲がより高くなっています。

さらに、こちらの興味深いデータもあります。PortworxとAqua Securityによる2019年コンテナ導入調査では、回答者の19%が、特に「ユーザーが複数のクラウドプラットフォーム上で実行できるようにする」ために、アプリをコンテナで実行していると回答しています。

ロックインを避けるためにマルチクラウド対応とポータビリティを求める傾向が、Sumo Logicのレポートでクラウド固有のアプリケーションサービスの導入が進んでいない理由であり、Kubernetesの導入とマルチクラウドの採用に相関関係が見られる理由でもあると考えられます。

確かに、Sumo Logicがアプリケーションサービスに関して対象としているのは、AWSの利用状況のみです。これは主に、Sumo Logicの顧客基盤の大半(64%)がAmazonのクラウドを利用しているためです。しかし、それだけにAWSに関するデータの信頼性は高いと言えます。他のクラウドプロバイダーについても同じことが当てはまると推測でき、おそらくその推測は正しいでしょう。データの背景にある要因は、どのクラウドでも変わらないためです。

このデータによると、Amazonが提供する150以上のアプリケーションサービスのうち、導入数の中央値は15です。これは、提供されている全サービスの10%未満に相当します。上位10位には、予想どおり、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、アイデンティティの各サービスが入っています。いずれもコアインフラストラクチャです。

Sumo Logicは、「管理、ツール、高度なセキュリティの各サービスは、コアインフラストラクチャサービスと比べて導入率が大幅に低い」と指摘しています。

私が考えるに、依然として続く「一貫性の課題」は、毎年マルチクラウドの課題リストの首位に挙げられており、クラウド固有の管理、ツール、高度なセキュリティサービスの導入が進まない主な要因となっています。コンテナオーケストレーションは、この「ツール」のカテゴリーに該当し、広い意味では「管理」にも含まれます。そのため、一貫性を求め、ロックインを積極的に回避しようとする組織が、より移植性の高いKubernetesに続々と移行しているのも不思議ではありません。

Sumo Logicのレポートには、AWSにおけるアプリケーションインフラストラクチャとセキュリティサービスの利用状況や、Lambdaの導入に関する予想どおりのデータなど、ほかにも有益な情報が掲載されています。ぜひご覧ください。解説は控えめでデータが豊富なため、読みやすく参考になるレポートです。

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タグ: 2019

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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