アダプティブアプリケーションとイベント駆動型Infrastructure as Code

F5エコシステム | 2021年6月28日


デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーの進化を伴うビジネス変革の道のりです。その過程で、業務を手作業から自動実行へと移行することにより、デジタルビジネスが実現します。

攻撃者が絶えず進化しているため、この自動化ではセキュリティ関連技術が先行しているかもしれませんが、運用も実際にはそれほど遅れていません。たとえば、必要に応じてデジタル機能を拡張するために、オートスケーリングに依存していることが挙げられます。かつては、外部システムにデジタル資産のキャパシティを管理させるべきかどうかをめぐり、激しい議論が交わされていました。

本当の話です。

今では、これはもはや議論の余地もありません。インフラストラクチャスタックの一部として、オートスケーリング機能を単に「受け入れる」だけでなく、「当然のものとして期待している」のです。

したがって、より高度な自動化がいずれ当然の要件として受け入れられるようになると考えるのは、極めて自然です。デジタル体験の提供と保護を担うリソースを手動で管理することの価値は、いずれ費用対効果が低下する段階に達し、テクノロジーを信頼して任せる方向への転換が求められるでしょう。

デプロイの限界効用逓減の法則

私たちは、Infrastructure as Code(IaC)のアプローチに価値があることを認識しています。F5の調査では、IaCの導入によりデプロイ頻度が大幅に向上することが明らかになりました。半数を超える組織(52%)がインフラストラクチャをコードとして扱っており、そうした組織がデプロイをより頻繁に行う可能性は、そうでない組織の2倍以上です。さらに注目すべきことに、アプリケーションのデプロイパイプラインを完全に自動化している可能性は、4倍に上ります。

この関係性は注目に値します。これは、アダプティブアプリケーションのビジネス上のメリットを享受したい組織にとって、重要な機能となるためです。

イベント駆動型Infrastructure as Code

Infrastructure as Codeとイベント駆動型Infrastructure as Codeの違いは、基本的にデプロイを何がトリガーするかにあります。

ほとんどの組織は、手動の方法からInfrastructure as Codeによる自動化へ移行しても、デプロイの制御は引き続き維持します。つまり、デプロイを開始するには、依然としてオペレーターによる操作が必要です。これは、ボタン操作で実行するデプロイです。

イベント駆動型のアプローチでは、イベントに基づいてトリガーが自動化されます。ここでも、自動スケーリングを例に考えてみましょう。設定変更と追加ワークロードの実際のデプロイはイベントによってトリガーされます。多くの場合、同時接続数が事前に設定されたしきい値を超えたときに実行されます。このように、定められた上限を超えるというイベントが、自動化されたワークフローをトリガーします。

ここで、このプロセスをアプリケーション全体に拡張する場合を考えてみましょう。これには、アプリケーションの配信とセキュリティ確保を担うすべてのワークロードと関連テクノロジーサービスが含まれます。この場合、許容可能なデジタルエクスペリエンスの基準を下回るパフォーマンス低下がイベントとなります。このイベントは、地球の反対側に「アプリケーション」を自動的にデプロイする必要があることを示し、完全に離れた場所でその処理を実行する自動ワークフローをトリガーします。

運用インフラの進化

これは(コンピューター)SFの話ではありません。アプリケーション全体(ワークロード、インフラストラクチャ、サポートサービス)をこのように自動デプロイする手法は、Terraformなどのオーケストレーションツールを使用してパブリッククラウドにデプロイする際によく用いられます。構成アーティファクトはリポジトリから、コンテナはライブラリから、シークレット(証明書と鍵)はセキュアな保管庫から、それぞれ自動的に取得されます。これがInfrastructure as Codeの本質です。構成、ポリシー、シークレットをコードアーティファクトと同様に扱うことで、デプロイパイプラインを自動化できます。

現在、自動化されていないのはトリガーです。現時点では、「オペレーターがボタンを押した/コマンドを入力した」ことがイベントになります。将来的には、時刻、特定の場所における需要、地域ごとのパフォーマンスがイベントになるでしょう。

これは、将来アプリケーションをアダプティブにするうえで重要な要素です。イベントに自動的に反応し、サービスレベル目標を達成できるよう、ロケーション、セキュリティ、キャパシティを適応させる機能を指します。Edge 2.0は、統合コントロールプレーンにより、企業が複数のクラウド、エッジ、データセンターにまたがるリソースを活用して、この目標を達成するための手段となります。

イベント駆動型のInfrastructure as Codeは、アダプティブアプリケーションのメリットをビジネスにもたらすうえで不可欠な機能となります。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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