自動化はデジタルトランスフォーメーションに不可欠な要素です。これは、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれるビジネス変革の道のりにおいて、その第1段階ではアプリケーションによるタスクの自動化が中心となるためです。
第2段階では、企業がデジタルプレゼンスを拡大して新たな体験を創出する中で、ワークフローの自動化が重要なテーマとなります。
そして、第3の最終段階である「AI支援型ビジネス」では、AIOpsやその他のAI駆動型テクノロジーを通じて、実用的なインサイトを創出し、その後活用するうえで、自動化が中心的な役割を果たします。

自動化は非常に重要な概念であるため、何を自動化するのかという背景を抜きに語ることは困難です。
毎年、Cindy Borovickと私は、State of Application Strategyから何を明らかにしたいのかをじっくり話し合い、現在だけでなく、将来何が重要になるのかも見通せるような質問を考えています。
自動化については、自動化の実装に使用されているツールやテクノロジーを基本的に理解するだけでは不十分です。自動化が運用やビジネスにどのような影響を及ぼすのか、また現在、実務担当者が何に課題や不満を感じているのかを探る必要があります。さらに、自動化を推進するために市場でどのようなアプローチが採用され、それらがデジタルトランスフォーメーションにどのような影響を及ぼしているのか、あるいは及ぼしていないのかを把握することも重要です。
そのアプローチの1つが、Infrastructure as Codeです。
Infrastructure as Code
Infrastructure as Code(IaC)は、プロビジョニングや構成のアーティファクト(ファイル)を、開発者がコードを扱うのと同じように扱う、DevOpsおよびSREの方法論から取り入れられたプラクティスです。つまり、リポジトリ内でレビュー、テスト、バージョン管理を行うことが理想的です。これにより、人とツールのどちらも、Xの新しいインスタンスをデプロイする際に常に最新のアーティファクトを参照できるため、デプロイメントパイプラインを自動化できます。Xには、Webサーバー、APIゲートウェイ、Ingressコントローラーなどが該当します。IaCによって実現されるこの種の自動化は、その起源に敬意を表してか、GitOpsと呼ばれることがよくあります。これは、GitHubとGitLabがリポジトリとして広く採用されており、現在ではどちらもパイプライン自動化ツールと緊密に統合されているためです。
IaCを導入している組織では、自動化の取り組みを成功させるうえで効果が得られることがわかっています。

半数をわずかに上回る組織(52%)が、「Infrastructure as Code」を採用しています。採用している組織は、導入していない同業他社と比べて、デプロイの頻度が高く、完全な自動化に対応したアプリケーションデプロイパイプラインを備え、アプリケーションポートフォリオのより多くを自動化している傾向があります。
IaCと自動化のメリットは明らかです。それにもかかわらず、なぜより多くの組織がこうしたアプローチを採用していないのでしょうか。実は、それにはもっともな理由があります。
自動化における最大の課題はスキルとツール
自動化にはツールが不可欠であり、F5は長年にわたりその動向を追跡してきました。なかでも、TerraformやAnsibleのような、マルチクラウドに対応し、多くの場合オープンソースである選択肢が主要なツールとして台頭しています。クラウドプロバイダーのAPIは依然として広く利用されていますが、特定のクラウドプロバイダーに依存します。そのため、複数のクラウド環境にまたがってアプリケーションを運用する際、セキュリティ、インフラストラクチャ、ネットワークを含むITのあらゆる領域の運用に大きな課題が生じます。
したがって、クラウドに依存しないツールセットの人気が高まっているのも不思議ではありません。回答者の半数近く(47%)が、Terraform、Ansible、GitHub、GitLab、Puppet、Chefなどのツールを使用しています。一方、最下位となったベンダー固有のツールセットを使用している回答者は、わずか29%でした。アプリケーションポートフォリオと、その配信およびセキュリティ確保を担うテクノロジーが、複数のパブリッククラウドやプライベートクラウド、データセンター、さらにはエッジにまで分散している現在、包括的でクラウドに依存しない自動化が必要であることを、この結果は示しています。
ツールセットが重要なのは、組織がインフラストラクチャをコードとして扱えるようにするためです。問題は、今年の回答者が最大の課題として挙げたのがスキルセットであり、世界全体で最も不足していたスキルが……なんと……ツールセットに関するものだったことです。

スキルギャップを解消し、より多くの組織がインフラストラクチャをコードとして扱うメリットを享受できるようにするには、特に環境をまたぐ自動化において、ツールセットをより使いやすくする必要があることは明らかです。
自動化に関するさらなる知見をはじめ、多彩な情報を年次レポートでご紹介しています。ぜひご覧ください。今後も、アプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーの現状と今後について、詳しく解説していきます。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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