エージェント型AI時代には、ボット検知だけでは不十分

業界動向 | 2026年10月19日

過去10年の大半において、ボット管理では「このインタラクションは人間によるものか、それともボットによるものか」という比較的単純な問いが中心でした。

この問いがなくなるわけではありませんが、もはやそれだけでは十分ではありません。エージェント型AIによって、推論し、計画を立て、行動できる自律型エージェントが生まれています。こうしたエージェントは、人間がほとんど、あるいはまったく介入しなくても、Webサイトを操作し、コンテンツを解釈し、変化に適応しながら、複雑な複数ステップのワークフローを実行できます。

セキュリティチームにとって、これは、望ましくない自動化を単に特定してブロックするだけでなく、その意図を把握し、どのように対処するかを判断することが課題になりつつあることを意味します。

ボット管理の次の時代には、これまでとは異なる問いに答える必要があります。それは、「このインタラクションは信頼できるか」という問いです。この問いは、F5のオンデマンドイベント「Post-Mythos Security Summit」の一環として行われる私のセッション「AIエージェント時代の信頼」の中心的なテーマです。

“今問うべきなのは、単に相手がボットかどうかではありません。そのやり取りが何を目的としているのか、信頼できるのか、そしてどう対処すべきかです。”

より大きな変化は量ではなく、能力です。

自動化されたトラフィックは増え続けています。しかし、より重要な変化は、組織が目にする自動化の量だけではありません。その自動化で何ができるかです。

今日のAIエージェントは、正規ユーザーと見分けがつかないほどよく似た動作が可能です。ログイン、サイト内の移動、カートへの商品の追加、アカウント登録、取引の完了まで行えます。同時に、攻撃者は高度化する自動化を利用して、ID、デバイス、セッションをまたいで適応する攻撃キャンペーンを展開できます。

これにより、セキュリティチームが長年頼りにしてきた区別が曖昧になります。正規のショッピングアシスタントは、小売業者が受け入れたい自動トラフィックである可能性があります。一方、クレデンシャルスタッフィング、アカウント乗っ取り、スクレイピング、プロモーションの不正利用を試みる自動化システムは、明らかにそうではありません。しかも、どちらもリクエスト単位で見ると正当に見える方法でアプリケーションとやり取りする可能性があります。

正当なリクエストでも悪い結果を招く可能性がある

この点で、従来のアプローチでは不十分な場合があります。

ボット管理や不正防止に特化したツールは通常、悪意のあるリクエストの特定や不審なトランザクションの検出など、特定の問題に対処します。しかし、対象範囲が限定されているため、複数のデバイス、ユーザーセッション、アカウント、カスタマージャーニーの各段階にまたがる組織的な活動を特定するための十分な可視性を確保できない場合があります。競合他社がトラフィックを保護するのに対し、F5はビジネスワークフローを保護します。

チェックアウトのワークフローを例に考えてみましょう。ログインは正当なものに見える場合があります。商品ページの閲覧、カートへの商品の追加、取引の送信も同様です。しかし、一連の流れ全体と、それに関連するID、デバイス、行動を把握することで、まったく異なる実態が明らかになる可能性があります。

たとえば、ボットと自動化に関する社内分析では、2025年12月から2026年5月にかけて、モバイルプラットフォーム上のチェックアウトにおける自動化が13.38%増加したことが判明しました。これは、個々のリクエストを保護することと、それらのリクエストが最終的にもたらすビジネス成果を保護することが同じではない理由を示しています。

そのため、セキュリティチームと不正対策チームは、単に自動化されているかどうかだけでなく、より多くの情報を把握する必要があります。特定のインタラクションを許可、監視、追加認証、ブロックのいずれの対象とすべきかを判断できるだけの十分なコンテキストが必要です。

検知からリアルタイムの意思決定へ

ボットの検知は依然として極めて重要です。しかし、ボットを完全に識別できたとしても、それだけではこの問題を解決できません。

次のステップは、アイデンティティ、行動、意図に基づいてリアルタイムに判断することです。そのためには、アプリケーションを継続的に利用しているのが誰または何であるかを把握し、アクティブなセッション間で行動のコンテキストを維持するとともに、永続的なデバイスアイデンティティを確立し、複数のアカウントにまたがる異常なアクティビティを関連付ける必要があります。

つまり、解決策は個々のポイントでの検知精度を高めるだけではありません。より的確な意思決定を実現することです。

これはボット管理にとって重要な進化です。自動化そのものが、通常のデジタルビジネスの一部になりつつあるためです。自律型エージェントが人に代わって検索、買い物、予約、取引を行う機会が増えるなか、組織はすべての自動化されたやり取りを単に阻止すべきものとして扱うことはできません。正規のお客さまに不要な負担をかけることなく、信頼できる自動化と悪意のあるアクティビティを区別し、適切に対応する必要があります。

自律型エージェント時代の信頼性判断

私が登壇する F5 Post-Mythos Security Summitのセッションでは、F5 Distributed Cloud Bot Defenseが、エージェント型AIの検出やデバイスインテリジェンスなど、この環境に対応するためにどのように進化しているかをご紹介します。また、永続的なデバイスID、行動コンテキスト、アカウント間の関係性が、セキュリティチームや不正対策チームによるリアルタイムの信頼性判断にどのように役立つか、さらに、エージェントIDに関する新たなアプローチによって、組織が正当なAI主導のやり取りを受け入れながら、不正利用に適切に対処する方法についても解説します。AIエージェントはWebページだけでなくAPIも介して動作するため、F5 Distributed Cloud Bot DefenseはF5 Distributed Cloud API SecurityとともにF5 Application Delivery and Security Platform上で機能し、場所を問わず、あらゆるやり取りに信頼性判断を適用できます。

自動化スクリプトと人間のアクティビティを容易に区別できた時代、ボット検知は重要な課題を解決しました。しかし、エージェント型AIによって、その前提が変わりつつあります。

自律型AIの時代に成功を収めるのは、最も多くのボットをブロックする組織ではありません。信頼できるインタラクションを見極め、その判断に基づいてリアルタイムで対応できる組織です。

詳しくは、F5 Post-Mythos Security Summitでの私のプレゼンテーションをぜひご覧ください。

エージェント型AIの悪用による脅威にF5が対処するためのテクノロジーについて詳しくは、技術記事をご覧ください。

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著者について

Vikas Shetty
Vikas Shetty 製品管理担当バイスプレジデント | F5

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