IT/OTコンバージェンスの現状と、セキュリティを最優先すべき理由

業界動向 | 2026年4月29日

数十年にわたり、情報技術(IT)と運用技術(OT)は、それぞれ別の領域で利用されてきました。ITは、メール、エンタープライズアプリ、ユーザーアクセス、データなど、ビジネスを支えてきました。一方、OTは、産業用制御システム、SCADAシステム、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)のほか、工場の生産、電力会社による電力供給、交通システムの運行を支えるテクノロジーなど、現場のオペレーションを担ってきました。

こうした分離は急速に解消されつつあります。現代の企業では、運用システムをクラウドプラットフォーム、分析パイプライン、リモートワーカー、AIを活用した自動化に接続しています。その結果、デジタルビジネスシステムと物理的な運用システムがネットワーク、データ、アプリケーションを共有する「IT/OTコンバージェンス」が加速しています。

“IT/OTコンバージェンスが進んでいるのは、より迅速でスマート、かつ拡張性の高い運用を実現できるためです。一方で、Webアプリ、API、アイデンティティ、クラウド接続が物理システムに直接影響を及ぼし得るという、新たなリスク領域も生み出します。”

この変化は運用面で確かなメリットをもたらす一方、組織が従来想定していなかった形でリスクを拡大させます。OTの接続性が高まるにつれて、ITが直面する脅威もOTに及ぶようになります。そのため、ITセキュリティはレジリエンス、安全性、稼働時間を支える基盤となります。

IT/OTコンバージェンスを推進する要因

複数の要因により、組織では運用環境とITシステムの統合が進んでいます。特に運用データの戦略的価値が高まるなか、デジタルトランスフォーメーションによって、OTにもエンタープライズITと同様のモダナイゼーションが求められています。インフラストラクチャの分散に伴い、アプリ、API、ユーザー、データはハイブリッド環境やマルチクラウド環境にまたがって存在するようになりました。そのためOTチームには、これまで以上に多くの拠点で、保守、監視、ベンダーサポートのためのセキュアなリモートアクセスが必要です。

組織は、予知保全、異常検知、需要予測、最適化といった運用上のインサイトをリアルタイムで得ることも求めています。こうしたユースケースでは、OTテレメトリを、多くの場合API経由でITデータプラットフォームに取り込む必要があります。また、環境の拡大に伴い、手作業のプロセスやサイロ化したツールによって効率が低下し、ダウンタイムのリスクが高まるため、自動化の重要性がますます増しています。

OTをITに接続する際のリスク

従来、OTは、隔離、独自プロトコル、エアギャップに依存していました。しかし、OTがITネットワークに接続され、さらにインターネットやクラウドサービスにもつながるようになると、現代の攻撃者を想定して設計されていないシステムへの侵入経路が増加します。

今日の脅威の性質が、問題をさらに深刻化させています。ボットやAIを駆使した高度な攻撃に加え、Ransomware-as-a-Serviceなどの脅威により、従来の境界型セキュリティは通用しなくなりつつあります。共有IDシステム、リモートアクセス経路、Webアプリ、APIを介してOT環境に到達できるようになると、リスクは一層高まります。攻撃によって、デジタルワークフローだけでなく、物理的なオペレーションも中断する可能性があるためです。

多くの組織が重大な課題に直面するのは、まさにこの点です。組織は、特定の脅威やユースケースへの対応を目的に設計された個別製品に依存していますが、こうした製品では、ITとOTが融合した環境全体に、一貫性のある統合されたセキュリティとデリバリーを提供できません。これらの分散したツールの管理には多くのリソースが必要となり、セキュリティ上のギャップが生じるほか、ITチームにもOTチームにも容易には対処できない複雑さが加わります。

F5 ADSPが組織の安全な統合を支援する仕組み

すでに複雑な環境にポイント製品をさらに追加するのではなく、F5 Application Delivery and Security Platform (ADSP)は、アプリケーションとAPIのセキュリティを高性能な配信と単一のプラットフォームに統合します。オンプレミス、エッジ、ハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャのいずれでも、組織の現在の環境や運用方法に対応します。

IT/OTコンバージェンスの観点では、これはいくつかの重要な点で大きな意味を持ちます。

  • ゼロトラストアクセスの適用:ITネットワーク経由でOTにアクセスできるようになると、ゼロトラストの原則(「決して信頼せず、常に検証する」)が不可欠になります。F5 ADSPは、強固なアイデンティティとリクエストごとの認証、最小権限アクセス、継続的な監視、動的なポリシー適用により、ゼロトラストアーキテクチャを支援します。これにより、ITの侵害が運用停止につながることを防ぎます。
  • WebアプリとAPIの保護:OTデータは、産業用プロトコルだけでなく、アプリやAPIを介してやり取りされるケースが増えています。F5 ADSPは、WAF、DDoS緩和、ボット対策、APIセキュリティなど、業界をリードするWebアプリケーションおよびAPI保護(WAAP)機能を、さまざまな環境で一貫して提供します。多くの組織では、運用するすべてのAPIを完全には可視化できておらず、死角や管理されていないリスクが生じているため、これは極めて重要です。
  • 暗号化トラフィックの検査:現在、アプリケーショントラフィックの大半は暗号化されたSSL/TLSトラフィックであり、攻撃者も暗号化の中に潜んでいます。F5 ADSPは、高性能な復号と再暗号化の機能を備えており、隠れた脅威の検出を可能にし、ランサムウェアなどの見えにくい攻撃に対する防御を支援します。さらに重要な点として、このプラットフォームは、重要インフラで必要性が高まっている耐量子暗号(PQC)アルゴリズムにも対応できるよう設計されています。
  • レガシー環境とモダン環境に一貫したセキュリティを提供:IT/OTコンバージェンス特有の課題の1つは、運用環境において、レガシーシステムと最新のクラウドネイティブインフラストラクチャが併用されることが多い点です。F5 ADSPは、既存の正常に稼働しているシステムの置き換えを組織に強いることなく、レガシー環境からKubernetesなどのコンテナ環境まで、あらゆるアプリとAPIに一貫したセキュリティとデリバリーを提供できるよう設計されています。
  • 自動化と可視性:統合環境では、手作業のプロセスが遅延や不整合を招きます。F5 ADSPは、すべてのソリューションにわたってポリシー、テレメトリ、自動化を拡張します。これにより、ITチームとOTチームは実用的な可視性を確保し、運用負荷を軽減できるため、インシデント対応の改善とダウンタイムのリスク低減につながります。

コンバージェンスは避けられない。セキュアなコンバージェンスを実現するかどうかは選択次第

IT/OTコンバージェンスが進んでいるのは、より迅速でスマート、かつ拡張性の高い運用を実現できるためです。しかし同時に、Webアプリ、API、アイデンティティ、クラウド接続が物理システムに直接影響を及ぼし得るという、新たな種類のリスク領域も生じます。

多くの組織が直面している問題は、認識不足ではなく、環境の分断です。ポイント製品が多すぎる一方で一貫性に乏しく、すでに重要インフラを管理しているチームに過度の複雑さをもたらしています。連携を前提に設計されていないサイロ化されたツールに依存すると、セキュリティ上の隙が生じ、高度な攻撃者に悪用される可能性がますます高まります。

プラットフォームアプローチの利点は、妥協することなく統合できる点にあります。F5 ADSPは、個別に運用されてきたセキュリティツールとデリバリーツールを単一の統合プラットフォームに集約し、管理の複雑さとコストを軽減します。組織は、業務の進め方を抜本的に変えることなく、ゼロトラストの適用、アプリとAPIの保護、暗号化トラフィックの検査、ハイブリッド環境全体での稼働時間とコンプライアンスの維持を実現し、IT環境とOT環境にわたって一貫した包括的な保護を得られます。

コンバージド環境では、セキュリティを後付けにすることはできません。基盤として組み込む必要があります。F5がIT/OTインフラストラクチャを保護する方法と、現在および将来の脅威から守る方法をご覧ください。

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著者について

Frank Yue
Frank Yueテクニカルマーケティングマネージャー | F5

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