現代の組織を動かしているのはアプリケーションです。F5 2025 State of Application Strategy Reportによると、現在、業界を問わず93%の組織が、収益の少なくとも一部をデジタルアプリケーションから得ています。わずか2年前には、回答者の20%以上が顧客にデジタルサービスをまだ提供していないと答えていました。この驚くべき変化から、アプリケーション革命が確実に進んでいることがわかります。
アプリケーションは、お客さまと企業をつなぐ取引の接点です。企業活動の基盤であり、中核的な業務を支えるうえで欠かせません。医療機関を探して利用する、行政サービスを利用する、請求書を支払う、資金計画を立てるなど、私たちはあらゆる場面でアプリケーションを活用しています。さらに、AIがアプリケーション環境に深く統合され、ユーザーとの対話、データ分析、意思決定に新たな方法をもたらすなか、アプリケーションは今後も日常生活を支え続けます。つまり、アプリケーションがデジタル時代の基盤であることは明らかです。
また、こうしたアプリケーションのユーザーが卓越した体験を期待していることも明らかです。そのため、アプリを健全な状態(セキュア、高速、最適化された状態)に保つことは、誰にとっても最優先事項です。しかし、この組織的な要請は、実行するとなると容易ではありません。その理由は、大半のアプリケーションの導入・管理方法にあります。
“一元管理ソリューションは、作業の集約と運用の簡素化を支援し、エッジからアプリまで、アプリケーションインフラストラクチャ全体の状況を常に把握できるようにします。さらに、一貫性と再現性を確保し、大規模環境でも統制を維持することで、総所有コスト(TCO)の削減に貢献します。”
ハイブリッドおよびマルチクラウドアーキテクチャにまたがる異種混在環境が一般的になっています。さらに注目すべき管理に関する知見を、2025年版アプリケーション戦略の現状レポートからご紹介します。組織の94%が複数の異なる環境にアプリを展開しています。また、多くの組織がパブリッククラウドのコストが高すぎると認識する中、ワークロードをオンプレミスのデータセンターへ回帰させることが主要な取り組みとなっています。回答者の79%が、アプリをパブリッククラウドからオンプレミスまたはコロケーション環境へ移行している、あるいは今後12か月以内に移行を計画していると回答しています。
こうした複雑さに伴い、可視性の欠如、ポリシーの不整合、手作業のプロセス、アプリケーションの健全性を支える各チーム間の優先事項の相違など、管理上の大きな課題が生じています。これらの課題の根本原因は、個別最適化された断片的な管理アプローチにあります。多くの組織が統合を優先している一方で、サポートをポイントソリューションに依存することで、複雑さがさらに増しています。
主要なアプリケーションデリバリおよびセキュリティ機能を統合するプラットフォームが必要であることが明らかになりつつあります。また、プラットフォームに不可欠な要素は、一元化された制御ポイントを含む、アプリケーションデリバリおよびセキュリティ管理への統合的なアプローチです。
このブログでは、一元化がもたらす5つの主なメリットと、このアプローチがあらゆる規模の組織による、ユーザーに喜ばれるデジタル体験の提供をどのように支援するかをご紹介します。
1. アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを一元的に可視化
「テクノロジーやツールは、主人ではなく従者として使うときにこそ、役立つ強力なものとなります」— スティーブン・コヴィー
特定のアプリケーションやワークロードには、それぞれ適した導入モデルがあり、パフォーマンスの向上につながる可能性があります。たとえば、マイクロサービスはコンテナ環境との相性が良い一方、モノリシックアプリケーションや3層アプリケーションにはオンプレミスのデータセンターが最適です。同様に、クラウドごとに得意とするアプリケーションワークロードが異なるため、チームはワークロードに基づいて、アプリケーションごとに導入先とホスティング先を決定します。たとえば、AWSはWebアプリケーションとAIに適しており、AzureはエンタープライズアプリケーションやMicrosoftへの投資を活用する場合に適しています。一方、Google Cloudはデータ分析と機械学習に最も適しています。
同様に、アプリケーションのデリバリとセキュリティの各ソリューションには、それぞれに適した運用環境があります。だからこそ、プラットフォームが重要です。重要な機能を最も必要な場所に導入できるほか、各チームに最適な方法で管理できます。
こうした点は、アプリをどこに展開し、運用するかを決定する際の判断材料となることが少なくありません。そのため、世界中のお客さまがハイブリッドおよびマルチクラウド戦略を採用しています。F5の「2025 State of Application Strategy」調査の回答者によると、アプリは中央値で4社のパブリッククラウドベンダーに展開されており、各クラウドにほぼ均等に分散しています。
F5 BIG-IP、F5 NGINX、F5 Distributed Cloud ServicesなどのF5ソリューションは、アプリケーションの健全性とセキュリティに関する優れた情報源です。しかし、情報の流れは双方向です。大規模なF5環境(わずか4台のデバイスでも)、特に異なる環境にデプロイされている場合、各デプロイを個別に管理しようとすると、アプリケーション、サービス、セキュリティ態勢の全体像を一元的に把握することが難しくなる可能性があります。
一元化により、インスタンス、サービス、サーバープール、仮想IP、ライセンス、主要な指標などを単一の画面で把握できるようになり、この問題を解決できます。この統合された可視性により、NetOps、SecOps、アプリケーション所有者、PlatformOpsなどの各チームは、全体像を把握しながら、それぞれにとって最も重要な事項に注力できます。こうした統合された役割別の可視性は、チームによるギャップ、脆弱性、停止の特定を支援し、平均特定時間(MTTI)と平均復旧時間(MTTR)を短縮することで、アプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)とセキュリティサービスの運用に伴う管理負担を軽減します。
2. ポリシーの一貫性
「卓越性の証であり、偉大さを測る試金石となるのは、一貫性です」 ― Jim Tressel
ハイブリッドクラウド戦略やマルチクラウド戦略は、全体的な複雑さを増すことは確かです。しかし、ビジネスニーズへの対応、レジリエンス、コスト面などのメリットには、リスクを負うだけの価値があると多くの人が考えています。
アプリケーションを運用するための導入モデルやクラウドベンダーが多岐にわたる中、回答者がセキュリティポリシーとデリバリーポリシーの一貫性確保に苦慮しているのも不思議ではありません。本レポートの調査では、それぞれ53%と47%が課題として挙げています。この不整合は柔軟性と引き換えに生じるものであり、今やごく一般的な状況です。
しかし、管理と可視化を一元化することで、この問題への対処に役立ちます。包括的なダッシュボード、専用に設計されたワークフロー、ADCとセキュリティ管理における「1対多」のアプローチにより、一元管理でポリシーの一貫性を容易に確保できます。ビジネスニーズを満たすWAFポリシーを一度作成してテンプレート化し、必要に応じて各チームに提供したうえで、あらゆる環境、さらには単一環境内の異なるワークロードにあるすべてのファイアウォールへ、わずか数回のクリックで一括展開できるとしたら、そのメリットを想像してみてください。個別対応や管理から取り残されたセキュリティおよびデリバリーポリシー、独断的な運用によって生じる脆弱性をなくせます。
これが一元管理の力です。
3. 自動化による運用の効率化
「自分のコンピューターがどのように動作しているのか、詳しく説明することはできません。自動化のレイヤーを介して使っているからです」 — Conrad Wolfram
ネットワーク、セキュリティ、アプリケーション開発の各プロセスを自動化すると、導入時間の短縮、コストの削減、エラーの減少、システムのレジリエンス向上など、数多くのメリットが得られます。また、自動化によって多くの複雑さが抽象化され、F5ソリューションの活用に必要な専門知識を大幅に減らすことができます。
自動化ワークフローの構築に広く利用されているツールの1つが、Red Hat Ansibleです。Ansibleは、さまざまな一般的なタスクを簡素化し、自動化する強力なオープンソースツールです。また、F5のアプリケーションデリバリおよびセキュリティサービスの作成、デプロイ、管理をInfrastructure as Codeで実現できます。これは、Ansible Galaxyで提供されているPlaybookとRoleを通じて実現されます。
もう1つの一般的な方法は、Terraformを使用することです。これにより、F5のアプリケーションデリバリおよびセキュリティソリューションの導入時間を短縮できます。管理者は、F5インスタンスの望ましい状態を構成ファイルに定義し、そのファイルをコマンドラインまたはユーザーインターフェースからTerraformに送信できます。Terraformは構成を解釈し、F5インスタンスに必要なAPI呼び出しを行って、その状態を構築します。これらの構成ファイルは組織間で共有できるため、大規模な導入が容易になります。
さらに、F5 BIG-IP Automation Toolchainは、アプリケーションデリバリおよびセキュリティサービスの作成、プロビジョニング、デプロイに使用できる宣言型モデルを提供します。NetOps、SecOps、AppDevは、最新のF5 BIG-IP Application Services 3 Extension(BIG-IP AS3)アプリテンプレートと連携することで、これらのツールを使用してアプリサービスをテンプレート化し、迅速かつプログラムによるデプロイを実現できます。
複数のインスタンスを対象にBIG-IPを管理する場合、時間と労力を大幅に削減し、リスクを軽減できます。BIG-IPの自動化には個別のアプローチを採用することも可能ですが、名前空間の競合、ポリシーの不整合、バージョン管理上の問題など、システムにリスクが生じる可能性があります。一元管理では、自動化にガードレールを設けてベストプラクティスの遵守を徹底することで、エンタープライズ規模でも自動化を安全に導入できるようにします。また、自動化の活用中に発生したエラーを、より簡単かつ迅速に修正できます。
4. セキュリティ態勢の強化
「敵が何者かを知らなければ、打ち負かすことはできない。」 – アンソニー・ホロヴィッツ
多くの組織では、アプリケーションごとに導入方法を決定しています。このこと自体にリスクがあるわけではありません。すべてを適切に把握できていれば、アプリ、API、データセット、ワークロードのそれぞれに個別のアプローチでセキュリティを確保できます。しかし、そのためには、特にエンタープライズ規模で運用している場合、組織について次のような前提(おそらく誤った前提)を置くことになります。
- すべてのアプリ、API、デプロイ環境にセキュリティポリシーが一貫して適用され、遵守されていること。これは、ほとんどの組織にとって容易ではありません。
- 従業員が退職することは一切ありません。仮に退職者が出たとしても、その従業員がすべてのアプリケーションワークロードを漏れなく記載した完璧なオフボーディング文書を用意してくれます。
- オンボーディングは完璧で、新任のNetOpsおよびSecOps担当者には、開発環境から本番環境まで、あらゆる運用環境のすべてのワークロードが周知されます。
- シャドーITや未承認ツールをすべて排除し、組織でサポートしている場合は、BYODとエンドポイントのセキュリティも確保しています。
これが自社に当てはまるなら、言うことはただ1つです。「うらやましい限りです!」
それ以外の多くの組織にとって、大規模な環境で効果的かつ一貫したセキュリティを実現するのは容易ではありません。特に、可視化と管理の一元化ができていない場合はなおさらです。一元管理により、セキュリティ態勢を統合的に把握できるほか、大規模環境に対応するポリシーの作成、一貫したセキュリティサービスの提供、問題が発生する前の脅威の軽減が可能になります。つまり、一元化に加え、セキュリティ専用のダッシュボードと管理ワークフローを備えたツールを活用することで、WAFポリシー、脅威プロファイル、暗号化トラフィック、セキュリティ態勢全体の可視性が向上し、アプリケーション環境をより効果的に保護できます。
5. 将来の成長に対応する拡張性
「成長を目指す企業はすべて、規模拡大を阻む障壁に正面から取り組むべきです」 – Hendrith Vanlon Smith Jr.
事業の拡大に伴い、アプリケーションのユーザー数やトラフィックが増加すると、パフォーマンスとセキュリティが課題になります。つまり、スケールアップに取り組む時期です。これは成長の証しともいえる望ましい課題ですが、対処が必要であることに変わりはありません。
可視化と管理を一元化していないと、巡回時に気付いたり、ユーザーから問題の報告を受けたり、収益に影響が出始めたりするまで、アプリケーションのパフォーマンス低下、さらには利用不能に陥っていることを把握できない可能性があります。いずれも望ましい状況ではありません。
一元管理により、すべてのアプリケーション、API、デリバリサービス、セキュリティサービスのテレメトリが定期的に更新されるため、問題が深刻化する前に迅速に対処できます。単一のツールと管理ワークフローで、リソース不足の特定、スケールアップやスケールアウト、F5ソリューションの新バージョンへのアップグレード、ライセンスや証明書の適用、脆弱性への対処、迅速かつ容易な再デプロイが可能です。これらはすべて、ユーザーへのサービスを中断することなく実行できます。
統合された一元管理が、効果的なADCおよびセキュリティ管理の鍵
多くの組織では、アプリケーション環境が動的で、頻繁に変化することは明らかです。特にハイブリッドクラウドやマルチクラウドのアプローチが普及する中、こうした複雑さの管理は極めて困難です。すべてのアプリケーションとその実行基盤が、同じ要件やアーキテクチャを持ち、同じサービスによって支えられている可能性は低いためです。
また、場当たり的な対応や個別対応では到底立ち行かず、F5環境が拡大するにつれて、この問題はさらに深刻になります。加えて、アプリケーションの健全性、セキュリティ、パフォーマンス、可用性を担う各チームの優先事項がしばしば競合することも、課題を一層複雑にしています。
一元管理ソリューション(F5 BIG-IQ、F5 NGINX One、F5 Distributed Cloud Consoleなど)を使用すると、あらゆる環境のすべてのアプリとF5インスタンス(仮想および物理)を、目的別かつ役割別に設計された一元的なダッシュボードと管理ワークフローから分析、トラブルシューティング、スケーリング、制御できます。これらの管理ソリューションは、取り組みの集約、運用の簡素化、エッジからアプリまでアプリケーションインフラストラクチャ全体の状況把握を支援します。また、一貫性、再現性、大規模な制御によって、総所有コスト(TCO)を削減できます。
一元管理により、最高水準のアプリケーションセキュリティとパフォーマンスを実現し、運用環境全体でサービスとポリシーの一貫性を確保するとともに、F5ポートフォリオの可視性を高め、管理性と制御を強化できます。
詳細については、F5の一元管理ソリューションをご覧ください。
著者について

関連するブログ記事

F5 Application Study Tool:OpenTelemetryによるF5 BIG-IP環境の監視
F5の新しいオープンソースツールは、BIG-IP環境を詳細に可視化し、データを追跡するとともに、強力でカスタマイズ可能なインサイトを得るための基盤を提供します。
F5 BIG-IPでAI防御を実現
F5 BIG-IP Advanced WAF、BIG-IP APM、BIG-IP SSL Orchestratorが、生成AIアプリ向けに包括的なセキュリティソリューションを提供する仕組みをご覧ください。
F5 Advanced WAFによるGraphQL APIの保護
ここ数年、多くの組織がデジタルトランスフォーメーションを進めており、COVID-19のパンデミックによってその動きは加速しています。
アプリケーションサービスの現状 通信業界版:リーダーとしての台頭
通信ネットワークが進化し、さまざまな業界の幅広いユースケースに対応するなか、通信業界の回答者がテクノロジーリーダーとしての存在感を高めていることがわかります。
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではない
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではありません。真のモダナイゼーションにアプリケーションアーキテクチャとセキュリティの再構築が必要な理由を、F5ブログでご覧ください。
やめましょう。もう本当にやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。
もうやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。プロトコルのパフォーマンスに関する微妙な違いと、暗号化トラフィックを適切に最適化する方法については、F5ブログをご覧ください。