セキュリティインシデントから得た教訓

F5 Research | 2025年10月22日

先週、F5は、高度な能力を持つ国家支援型の脅威アクターが関与した重大なセキュリティインシデントを公表しました。CISOとして、パートナーからこのような知らせを受けることがどのようなものか、私自身よく理解しています。このインシデントがお客さまに多大なご負担と混乱をもたらしたことを重く受け止め、心よりお詫び申し上げます。また、F5は本件に対する責任を全面的に負います。

この1週間、数百社のお客さまやCISOの皆さまと対話を重ねてきました。この困難な時期に連携してくださったお客さまと、より広範なセキュリティコミュニティの皆さまに感謝申し上げます。

私たちは、このインシデントから学ぶことに全力で取り組んでおり、改善すべき点があることも認識しています。これまでに得た最大の教訓は、管理策にばらつきがあり、強固な部分がある一方で、そうでない部分もあったということです。今後は改善してまいります。

信頼の回復とセキュリティ水準の恒久的な向上に向け、全社のチームが迅速かつ連携の取れた対応に取り組んでいます。インベントリ管理とパッチ管理の自動化を改善し、検知と対応のための監視を強化しました。また、インフラストラクチャと運用全体でゼロトラスト機能を強化するとともに、F5 BIG-IPに高度なエンドポイント可視性をもたらすため、CrowdStrikeと提携しています。実際に、F5の企業ネットワーク境界にあるBIG-IPデバイスではCrowdStrike EDRを稼働させています。さらに、お客さまのBIG-IP環境にも同じ保護機能を提供しています。

F5は、事態の是正に向けて24時間体制で取り組みを続け、あらゆる段階でお客さまと連携しています。今後も調査を継続し、このインシデントから得られた教訓を整理したうえで、より広範なセキュリティコミュニティの強化に役立つよう、その知見を共有してまいります。

そのため、現在お客さまから特に多く寄せられている質問と、その回答およびガイダンスを以下にまとめます。

脅威アクターがアクセスした顧客データの種類は?

ナレッジ管理プラットフォームから流出したファイルの一部には、ごく一部のお客さまに関する情報が含まれていました。重要な点として、CRM、財務、サポートケース管理、F5 iHealthの各システムのデータにアクセスされた、またはデータが流出したことを示す証拠は、引き続き確認されていません。これまでに確認された影響対象のお客さまデータは、主にお客さまとのやり取りに関する社内メモであり、トラブルシューティング、機能開発、バグ修正依頼に使用される情報が含まれる場合があります。

これらのファイルについては、現在も詳細な調査を進めています。迅速に対応する一方で、正確な情報をお伝えするために必要な時間をかけています。これまでにデータが含まれていることを確認したお客さまには、すでに通知しています。今後も新たな情報が判明次第、該当するお客さまに直接お知らせします。

流出した情報は、一般公開またはダークウェブ上で公開されていますか?

本インシデントで流出した情報が一般公開されたり、ダークウェブ上で共有されたりした事実は確認されていません。また、アクセスされた脆弱性が実際に悪用されたことを示す証拠も確認されていません。

CISAはこのインシデントに関する緊急指令を発令しました。お客さまは懸念すべきでしょうか?

未公表の重大な脆弱性やリモートコード実行の脆弱性、または先週公表した脆弱性が悪用された事実は把握していませんが、CISAの指令は、(1)お客さまにBIG-IPソフトウェアをできるだけ早く更新していただくよう公表時に強く推奨したこと、(2)管理インターフェースをパブリックインターネットに決して公開せず、適切なセグメンテーション、ネットワーク分離、アクセス制御によって常に保護するという構成ガイダンスの重要性を改めて示すものです。

F5の「四半期セキュリティ通知」で発表したアップデートは、脅威アクターがアクセスした情報に含まれる重大度の高い脆弱性に対処するものです。また、F5環境の強化と監視に役立つ追加リソースをこちらで提供しています。今後もCISAおよびお客さまと緊密に連携し、F5製品に関する明確性と透明性を確保し、信頼を高めてまいります。

なぜこのインシデントをもっと早く公表しなかったのですか?

セキュリティインシデントに関する情報発信では、迅速さが重要であると認識しています。そのため、適時かつ責任ある形で、正確で対応に役立つ情報を開示できるよう努めました。また、法執行機関および政府機関のパートナーとも緊密に連携してきました。

脅威アクターがBIG-IPのソースコードにアクセスしたことによる影響は何ですか?

まず、ソースコードやビルドおよびリリースのパイプラインを含む、F5のソフトウェアサプライチェーンが改変されたことを示す証拠は確認されていません。この評価は、サイバーセキュリティ調査の大手企業であるNCC GroupとIOActiveによる独立したレビューを通じて検証されています。厳格な監視を維持するため、今後も両社に継続的な分析を依頼します。

第2に、お客さまにはBIG-IPソフトウェアをできる限り早急にアップデートするよう強くお願いしています。新しいリリースは24,000回ダウンロードされており、相当数のお客さまがアップデート済みソフトウェアへの移行を進めています。また、お客さま向けに200件を超えるカスタムリリースも提供しています。

今後数週間以内に、製品のセキュリティをさらに強化するため、バグバウンティプログラムも開始します。

BIG-IPでCrowdStrike Falconの利用を開始するには?

CrowdStrike Falcon SensorとOverwatch Threat Huntingは、BIG-IP Virtual Edition(VE)で早期アクセスをご利用いただけるようになりました。BIG-IPハードウェアシステムでも今後利用可能になる予定です。F5のお客さまがCrowdStrikeのFalcon SensorをF5 BIG-IPプラットフォームに直接組み込み、CrowdStrike Falcon Adversary OverWatchのマネージド脅威ハンティングサービスを活用できるようにすることで、両社は、企業の最も重要なアプリケーションおよびAPIトラフィックを処理するネットワーク境界に、適応型のAI駆動型セキュリティを拡張しています。

F5は、対象となるBIG-IPのお客さまに2026年10月14日まで無償アクセスを提供し、初期費用なしでネットワークレベルのAIネイティブセキュリティと脅威ハンティングをすぐに導入できるよう支援します。F5 BIG-IPをご利用のお客さまは、詳細を確認してこちらから開始できます。

今後もパッチをリリースする予定ですか?近いうちに追加のリリースはありますか?

BIG-IPのアップデートと修正は、今後も現在の頻度で継続する予定です。脆弱性については、F5の「脆弱性対応ポリシー」に従って対処し、情報をお知らせします。ただし現時点では、入手可能なログを調査した結果、未公表の重大な脆弱性やリモートコード実行の脆弱性は把握しておらず、未公表のF5の脆弱性が実際に悪用されているとの報告も認識していません。

IOCを入手できますか?

F5のお客さまは、ご要望に応じてIOCをご利用いただけます。IOCと脅威ハンティングガイドを入手するには、MyF5でサポートケースを作成するか、F5サポートまたは担当のアカウントチームに直接お問い合わせください。

この脅威ハンティングガイドはCrowdStrikeが作成したもので、F5に特化したものではありません。お客さまの環境内で脅威アクターを探索する際に役立つことを目的としています。

BIG-IPの修正済みバージョンはどれですか?

お客さまがインストールすべきBIG-IPの更新済みバージョン:

  • BIG-IP 17.5.1.3
  • BIG-IP 17.1.3
  • BIG-IP 16.1.6.1
  • BIG-IP 15.1.10.8

これらのリリースと修正した脆弱性の詳細については、10月の「四半期セキュリティ通知」をご覧ください。

F5のサポート対象外となったサポート終了(EOL)バージョンを使用している場合、どうすればよいですか?

最新のセキュリティアップデートと機能強化を確実に適用できるよう、EOLを迎えたソフトウェアは、F5が現在サポートしているバージョンに更新することを強く推奨します。

BIG-IPシステムのアップデートについては、 F5サポート に直接お問い合わせいただけます。

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タグ: cybersecurity

著者について

Christopher Burger
Christopher Burger最高情報セキュリティ責任者 | F5

Chris BurgerはF5の最高情報セキュリティ責任者(CISO)として、サイバーセキュリティの戦略、プログラム、ガバナンスを統括しています。 実践的なサイバーセキュリティリーダーであるChrisは、セキュリティインシデント対応、運用、エンジニアリングの分野で数十年にわたる経験を有しています。F5入社以前は、Slalom初のCISOとして、同社のグローバル事業と成長を支えるセキュリティ戦略およびガバナンスの監督を担いました。これまでWashington Mutual、Corbis、Clearwire、Russell Investmentsで要職を歴任し、金融サービスや通信といった規制の厳しい業界でサイバーセキュリティチームを率いてきました。

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