アプリケーションデリバリは変化しています。あえて流行語を使うなら、デジタル変革が進んでいるのです。継続的デリバリはDevOpsの標準となっており(71%が導入を計画)、企業がApplication Capitalの時代に成功するには、継続的デプロイもそれに続く必要があります。組織の73%が継続的デプロイの導入を計画している一方で、その半数近くはまだ着手していません。さらに、驚くべきことに42%はコンポーネントを1つも自動化していません。これは継続的デプロイパイプラインを構成するコンポーネントについての数字です。
デリバリーとデプロイメントの間には、現実に隔たりがあります。理論上は調査結果に、実際の運用ではクラウドとデータセンターの間にある大きな溝に、その隔たりが表れています。組織内でも、継続的デリバリーが「継続的とは言い難いデプロイメント」に直面して停止するという壁に表れています。
テクノロジーの面でも、分断されたアプリケーションデリバリーチェーンによって、可視性に明確なギャップが生じています。これは、マルチクラウド環境でアプリケーションパフォーマンスを監視、測定できないことにも表れています。さらに、数千もの企業が現在管理している、複数世代にわたるアプリケーションポートフォリオ全体にセキュリティポリシーを一貫して導入し、適用できないことにも表れています。
格差は拡大している
最新のクラウドネイティブなアプリケーションやアーキテクチャの導入が進むにつれ、この隔たりはますます広がっています。データセンターに依存し続けるアプリケーションも、その影響を免れません。その影響が、あらゆるものを継続的に進めるという新たなアプローチであれ、最新のクラウドネイティブ環境におけるセキュリティと拡張性のニーズに応える新たなアプリケーションサービスであれ、明らかなことが1つあります。マルチクラウドの世界で一貫性と可視性のニーズに対応するには、アプリケーションデリバリを変革し、DevOpsとNetOpsの隔たりを埋める必要があります。
DevOpsの世界は、オープンソースを基盤とする傾向がますます強まっています。NGINXのCEOであるGus Robertson氏は、最近のブログで次のように述べています。「ソフトウェアが世界を飲み込んでいるのなら、オープンソースはソフトウェアを飲み込んでいる」。現在、アプリケーション自体は主にサードパーティ製コンポーネントから開発されており、その大半がオープンソースです。アプリケーションインフラストラクチャも、オープンソースコンポーネントを基盤とする傾向が強まっています。Webサーバーからアプリケーションサーバー、データベースからイングレス制御、メッセージングからコンテナランタイムやオーケストレーションまで、多岐にわたります。IT運用は、Puppet、Chef、Terraform、Helm、Kubernetes、Ansibleなどのオープンソースツールによって支えられています。
これらのツールやテクノロジーが採用されているのは、迅速かつ頻繁なデリバリーとデプロイ、そして円滑なビジネスモデルという複数の課題に対応できるためです。さらに、組織全体でオープンソースを基盤とする運用の標準化を進めることで、コラボレーションを促進し、イノベーションを加速できるというメリットもあります。
そのすべてを可能にしているのが、オープンソースソリューションの改善にたゆまず取り組む、情熱あふれる開発者コミュニティです。
F5は、このようなコミュニティの価値を高く評価しています。
F5が考えるコミュニティ
同様の例として、F5の「DevCentralコミュニティ」は、オープンソースプロジェクトを推進する原則の多くを指針とした、協働によるイノベーションを基盤としています。コミュニティ全体でコードを共有し、知識を伝達することで、数十万人のメンバーによるイノベーションと、F5のBIG-IPプラットフォーム向けの新機能開発を支援しています。こうしたソリューションから、Puppet、Chef、node.jsなどのオープンソースプロジェクト向けに、新たな拡張機能、プラグイン、ライブラリが生まれています。
F5はこうした取り組みに積極的に参加し、奨励、支援することで、自社製品だけでなく、お客さまやコミュニティが事業運営に利用しているオープンソースソフトウェアの強化にも貢献しています。
それでも、特にNGINXオープンソースコミュニティの皆さまの多くが、F5についてまだよくご存じないことは承知しています。そのため、F5に懐疑的になるのも無理はありません。これまで、F5のオープンソースへの関わりは、その大部分が表に出ないものでした。
とはいえ、F5自身の変革では、アプリケーションデリバリからアプリケーションサービスへと軸足を移す中で、CI/CDパイプラインと製品を推進するためにオープンソースを幅広く活用しています。F5はオープンソースと継続的に関わっており、コアエンジニアはloopback.ioとnats.ioに積極的に貢献しています。F5のAspen Mesh部門は、istio.ioを日常的に利用し、貢献するとともに、F5が保守する関連オープンソースプロジェクトを複数立ち上げています。たとえば、istio-vet、istio-client-go、tracing-goなどです。また、オープンソースのAnsible用モジュール群も開発・保守しています。
私たちがこの取り組みを大々的にアピールしないのは、マーケティング上の評価を得るために貢献しているわけではないからです。F5自身、お客さま、そしてオープンソースプロジェクトを支える各コミュニティにとって、それが正しい行動だと考えて貢献しています。
橋渡し
企業による継続的なITの実現を阻む隔たりを埋めるには、アプリケーションデリバリースタックで最も広く採用されているオープンソースコンポーネントの一部について、その使命をさらに推進し、実現を加速することが今求められています。
ここで、GusとIgorが伝えたことを改めて申し上げます。F5は、NGINXのミッションをさらに推進し、加速させるために投資を拡大する方針です。
F5とNGINXを統合することで、複数のクラウド環境に存在する多様なアプリケーションアーキテクチャ全体で迅速かつ頻繁なデプロイを実現するという、ITにおける最も差し迫ったニーズの1つに対応できる、一貫したエンドツーエンドのアプリケーションサービス群を企業に提供できます。これを成功させるには、NGINXがオープンソースであり続け、NGINXを築き上げたコミュニティが引き続きその発展を大きく牽引していくことが不可欠だと考えています。
NGINXはこれまで、オープンソースソフトウェアとコミュニティを見事に導いてきました。それが、F5がNGINXに魅力を感じた理由の1つです。NGINXとF5は、今後、アプリケーションが未来を動かし、形作っていくと考えています。その未来を見据え、NGINXスタックの開発とイノベーションをさらに推進し、加速させる必要性と機会があると認識しています。
これらのコミュニティから学び、アプリケーションとその確実なデリバリーに対する共通の情熱を礎とする未来に向けて、共に取り組んでいけることを楽しみにしています。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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