F5とNGINXで分断を解消

F5エコシステム | 2019年9月09日

F5による先般のNGINX買収と、統合後の企業として今後どのような戦略を展開していくのかについて、多くの関心が寄せられています。この買収により、従来型の企業からWebスケールのデジタルネイティブ企業まで、どの段階にあるお客さまにも、その状況に応じてF5が対応できるようになります。

世界中のほとんどの企業が、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。手作業を自動化して業務の改善を進めるとともに、新たな顧客へのリーチや新しい体験の提供に向けて、デジタルでのプレゼンス拡大も図っています。特に先進的な企業では、機械学習や人工知能を活用し、中核となるビジネスプロセスや意思決定の強化に取り組んでいます。

そのため、近年、世界中でアプリケーション数が爆発的に増加しているのも不思議ではありません。2018年、IDCは企業向けアプリケーションのワークロードが約7億件に上ると推定しており、1その数は2023年までに5倍に増加すると予測されていました。

しかし、アプリケーションが現代の企業にとって最も価値の高い資産となる一方で、アプリケーションポートフォリオを開発、導入、運用、保護、管理する能力には、企業間で大きな差があります。これらのプロセスがアプリケーションライフサイクルを構成します。従来型の企業では、このライフサイクルを1回完了するだけでも数か月、場合によっては数年を要します。これに対し、GoogleやFacebookのようなデジタルネイティブ企業では、数日以内で完了します。

企業が対応できる新規アプリケーションやアプリケーション変更の量にも、大きな差があります。モノリシックアプリケーションや3層アプリケーションを扱う従来型の企業では、1年間に管理できるアプリケーションライフサイクルは数十件にとどまる場合があります。一方、Webスケールの組織では、同じ期間に数百件、場合によっては数千件ものアプリケーションライフサイクルを管理します。

これは非常に大きな幅です。アプリケーションエコノミーでは、迅速な反復こそが競争優位性となります。Amazon、Lyft、Google、Facebook、Netflixなどの企業は、アプリケーションライフサイクルの迅速な反復を大規模に活用することで、市場全体に変革をもたらしてきました。

では、それ以外の企業はどうでしょうか。現在、大半の組織は「混沌とした中間層」のどこかに位置しています。Webスケールのデジタルネイティブ企業ではありませんが、変革しなければ生き残れない可能性が高いことは認識しています。こうした企業は、緊急度や積極性に差はあるものの、ポートフォリオ内の既存の従来型モノリシックアプリや3層アプリに、マイクロサービスベースのクラウドネイティブアプリを追加したり、それらを使って拡張したりしています。

この状況により、テクノロジー環境は決して均質とはいえないものになります。企業のIT環境は堆積岩によく似ています。企業は設立当初から、事業を支えるためにテクノロジーへ投資し、それを蓄積していきます。多くの場合、十分に確立された安定性の高いテクノロジーを、より新しいアプローチに置き換えるだけの確かなビジネス上の根拠はありません。この状況を最もよく示しているのが、企業のIT環境でメインフレームが今なお使われ続けていることです。

また、古いテクノロジーや手法で開発されたアプリケーションが、ビジネスの最重要領域の一部を担っていることも少なくありません。これは、そうした領域が組織内で最初にテクノロジーの導入や自動化が進められたためです。その結果、現在ほとんどの企業では、モノリシック、3層、マイクロサービスベースのアプリケーションが混在する多様なポートフォリオを管理しています。さらに、こうしたさまざまなアプリケーションアーキテクチャを支える幅広い基盤テクノロジーも管理しています。

従来型アプリケーションを確実に運用しながら、クラウドネイティブアプリと最新のDevOpsプラクティスが切り拓く未来を目指す組織には、レガシー環境を支えつつ、変革を可能にするソリューションが必要です。この2つの世界をつなぐ一連のソリューションを、どのように提供すればよいのでしょうか。

これこそがF5の価値提案の核心であり、NGINX買収の根底にある原則です。F5は、企業がアプリをコードから顧客へ、より迅速かつ安全に、大規模に届けられるよう支援するソリューションを提供しています。F5では、これらをマルチクラウドアプリケーションサービスと呼んでいます。これは、マルチクラウドアーキテクチャにおける開発、デプロイ、運用、セキュリティ、ガバナンスを促進する、アプリケーション開発者向けのパッケージ化されたツールです。

F5の「BIG-IP」は、エンタープライズアプリケーションの課題に対応し、IT運用チームの能力を高めてきた確かな実績があります。また、アプリケーション開発とDevOpsの分野では、NGINXはデジタルネイティブ企業のニーズに応える規模、パフォーマンス、導入実績を備えています。実際、世界最大級のパブリッククラウドやSaaSプラットフォームの多くがNGINX上で稼働しています。

F5とNGINXが目指しているのは、単に統合し、従来と同じ方法で共同展開することではありません。この買収の根底にあるのは、両社のポートフォリオを組み合わせることで、多大な価値を提供できるという考えです。両社は、モノリシック、3層、マイクロサービスベースのアプリケーションを対象に、アプリケーションライフサイクル全体を網羅するソリューションを提供します。

  • 開発段階では、軽量で複数のプログラミング言語に対応するアプリケーションサーバー(NGINX Unit)、世界をリードするWebサーバー(NGINX OSSおよびNGINX+)、APIゲートウェイ(NGINX OSSおよびNGINX+)を提供します。
  • デプロイ時 – マルチクラウドのトラフィック管理およびセキュリティ機能(NGINX OSS、NGINX+、BIG-IP)に加え、テンプレート化、自動化、オーケストレーション(F5 Automation Toolchain)を提供します。
  • 運用時には、一元管理、分析、可視化の機能を提供します(NGINX Controller、BIG-IQ)。
  • ガバナンスとセキュリティでは、ポリシー管理を簡素化し、リスクを一元的に可視化するとともに、IT部門とビジネス部門のリーダーがアプリケーションポートフォリオに関するインサイトを得られ、ポートフォリオ全体のコンプライアンスレポートを作成できるソリューションを開発しています。

最近、F5のカスタマーイベント「F5 Aspire」の一環として、世界各地の数十社のお客さまとお会いしています。F5とNGINXの組み合わせが、最先端のWeb企業をすでに支える一方で、従来型企業のデジタルトランスフォーメーションも加速させていることを実感しています。両社が一体となることで、コードから顧客に至るアプリケーション領域全体を管理するための統合プラットフォームと一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供し、デジタルトランスフォーメーションのどの段階にある企業にも必要なものを提供できていることは明らかです。

詳細について、また私や他のF5リーダーから直接話を聞くには、明日、太平洋時間午前8:40から始まるNGINX Conf 2019のライブ配信をご覧ください。

1ベアメタルサーバー、仮想マシン、またはコンテナに直接デプロイされるアプリケーション機能と定義されます

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タグ: 2019

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