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デジタル ビジネスは可観測性と自動化にマッピングされる

 サムネール
Published May 31, 2023

「今日の能力では明日成功することはできない」といった言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これは新しい概念ではありません。イノベーションは、あらゆる業界やビジネスで生き残るための鍵となります。ビジネスの基盤となるエンタープライズ アーキテクチャにも同じことが当てはまります。

最近大きな注目を集めているイノベーションが生成AIです。しかし、機械学習を活用したAIは自動化の基盤の上に構築されています。また、手動プロセスや反復作業を自動化することはできますが、自動化の成功と戦力の強化は、それに対応する可観測性がなければ実現されません。

たとえば、自動車業界内のイノベーションとそれが平均的なドライバーに与える影響を考えてみましょう。25~30年前に旅行に行く際は、車のグローブ ボックスに地図が入っていた可能性が高かったでしょう。曲がり角や出口を間違えたときにルートを案内してくれる運転助手がいない状態で、行ったことのない場所を旅行したとしたら、車を停めて、地図を車のフロント部分に広げ、細い線や道路の名前を目を細めながら確認して、コースを修正しなければならないでしょう。

そこで可観測性と自動化の登場です。全地球測位システム(GPS)追跡(本質的には経度と緯度の位置を識別できる位置データまたはテレメトリの流入)の進歩により、ドライバーはパーソナル ナビゲーション デバイスを使用して、最寄りの道路標識まで車で向かわなくても、目的地に関して自分がいる場所を知ることができます。さらに、これらのナビゲーション デバイスには、観測されたテレメトリを使用して、ドライバーの最終目的地までの経路を変更する機能を備えた自動化機能が含まれています。あとはドライバーが新しいコースに従うかどうかです。

アーキテクチャにおける可観測性と自動化

デジタル ビジネスは、実店舗のビジネスとは異なり、可観測性と自動化機能がエンタープライズ アーキテクチャに組み込まれていなければ成功しません。顧客のデジタル エクスペリエンスは、企業のデジタル サービスの可用性、セキュリティ、パフォーマンスに結びついています。

デジタル サービスの要素を監視するには、パフォーマンスの低下を認識し、消費者エクスペリエンス、ひいてはビジネスに深刻な影響を与える前に脅威を特定するために、オンプレミス、クラウド、エッジのすべての場所のあらゆるシステムとアプリケーションに対するフルスタックの可観測性が必要です。しかし、運用データのフローから洞察を収集したとしても、完全な自動化がなければデジタル エクスペリエンスはリスクにさらされます。「ミリ秒で大きな違いが生まれるなら人間が介入できる余地はない」ため、手動による対応、修復、緩和では大規模な需要を満たすことはできません。これこそが、私たちが真のデジタル ビジネスについて考えるときに議論していることなのです。

例えば、ナビゲーション システムを使用している先ほどのドライバーを考えてみましょう。システムの自動化はある程度までしか拡張していません。新しいコースを選択するかどうかはドライバー次第だからです。また、GPSのルート変更を待ちながら街中を運転したことがある方は、システムが現在位置を示すデータを処理するのに余分な時間がかかるため、何度も順番を逃すたびに苛立ちを覚えた経験があるかもしれません。もちろん、新しい道を特定し、ルート変更された交差点を通過したら地図は更新されます。デジタル サービスの完全な自動化は、自動運転車に似ています。これらのアーキテクチャ内では、可観測性と自動化は明らかに後から考えられたものではありません。ドライバーや同乗者のエクスペリエンスを最適化するための継続的な評価、分析、対応が確実に実行されるよう、基盤に完全に統合されています。

デジタル ビジネスの場合でも(まれな例外を除いて)、車を運転する場合でも、最終的な意思決定者は依然として人間です。しかし、最適な決定を下すには情報が必要であり、その情報はGPSシステムやフルスタックの可観測機能などのデジタル信号から得られます。デジタル ビジネスは、意思決定よりも早く軌道修正することはできません。意思決定の速度は、システムが実用的な洞察を取り込み、分析し、生み出す速度に完全に左右されます。デジタル ビジネスの場合、それは可観測性と自動化を意味します。そのため、これらをコア機能として組み込むようにエンタープライズ アーキテクチャをモダナイズする必要があるのです。

これらの主要機能を実装する方法と、この機能がデジタル ビジネスにもたらす他のメリットについては、当社のO’Reillyブック『デジタル ビジネスのためのエンタープライズ アーキテクチャ』でエンジニアリング担当副社長兼アプリケーション担当CTOであるMike Wileyが担当した「可観測性と自動化」の章をご覧ください。