ほんの数年前まで、テクノロジー業界では、組織が全面的にパブリッククラウドへ移行するという見方が盛んに語られていました。しかし、その予測は現実のものとならず、むしろハイブリッド、マルチクラウドのアプローチがますます広く採用されるようになっています。
According to F5のState of Application Strategy(SOAS)レポートによると、約90%の組織がハイブリッド導入モデルを採用しています。つまり、アプリとAPIはパブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジサイト、オンプレミスのデータセンターなどにまたがっており、3分の1以上(38%)の組織が6つの異なるモデルにアプリを導入しています。2020年の時点では、5つのモデルを使用していた組織でさえわずか18%だったことを考えると、アプリがかつてないほど広範に分散するという新たな常態への移行が加速しています。
データによると、企業規模を問わず、さまざまな導入モデルが利用されています。では、なぜあらゆる規模の組織が、これほど複雑で分散したIT環境全体でアプリとAPIを運用しているのでしょうか。答えは明快です。潜在的なデメリットを上回るメリットがあるためです。

ハイブリッド・マルチクラウド・アプローチを導入することで得られる6つのメリットをご紹介します。
1. クラウド全体の支出を削減
ワークロードごとに要件は異なります。あるワークロードにとって最も費用対効果の高いクラウドプロバイダーが、別のワークロードにも最適とは限りません。ハイブリッドマルチクラウド戦略を採用することで、組織はアプリケーションやワークロードごとに最適なプラットフォームまたはクラウドを柔軟に選択できます。たとえば、静的なレガシーアプリケーションをリフトアンドシフトでクラウドに移行しても、経済的なメリットはほとんど、あるいはまったく得られません。一方、トラフィックパターンに応じて動的にスケールアウト/スケールインする必要がある最新のWebアプリケーションには、パブリッククラウドが最適です。
組織は、プロバイダー間で競合する料金モデルやコスト構造を活用し、投資収益率(ROI)を最適化できます。また、ハイブリッド・マルチクラウドのアプローチは、ピーク時やトラフィックの急増に対応できる規模で自社インフラをすべて維持することに伴う、固有のオーバーヘッドコストの回避にも役立ちます。
2. 規制への準拠を維持
組織の規模が拡大すると、ワークロードも増大します。ハイブリッドおよびマルチクラウドの導入は、地域ごとのデータ主権への対応や、GDPR、州固有の法律など、変化する規制への準拠に役立ちます。また、多くの規制では、データに関するリスクの低減に取り組むことが組織に求められます。必要に応じてデータをオンプレミスのプライベートクラウドに保存し、機密性の低いデータはパブリッククラウドに保存できます。
3. アプリケーションのニーズに適したクラウドの選定
すべてのクラウドサービスが同等とは限りません。特定のタスクに優れたサービスもあれば、別の種類のワークロードに適している可能性があるサービスもあります。
ワークロードを複数のクラウドに分散することで、組織は単一のクラウドプロバイダーへの過度な依存を回避できます。ケースごとに判断するアプローチなら、現在のプロバイダーが特定の機能をサポートしていない場合に切り替えたり、各ワークロードに最適なサービスを選択したりするなど、固有のビジネス要件に柔軟に対応できます。

4. レジリエンスと災害復旧の強化
「すべての卵を1つのかごに盛るな」と言われます。これはアプリケーションとデータの世界にも当てはまります。自然災害や人為的災害、サイバー攻撃、障害、人的ミスは、事業継続を脅かし、ダウンタイムを引き起こす可能性があります。
ハイブリッド・マルチクラウドのアプローチでは、アプリケーションとデータを複数の拠点に分散することで、レジリエンスと災害復旧能力を向上できます。バックアップ用のプロバイダーを用意しておけば、災害発生時の問題を軽減できます。たとえば、1つのプロバイダーが停止した場合でも、ワークロードを別のプロバイダーに移行し、ダウンタイムとデータ損失を最小限に抑えることができます。
5. 合併・買収の支援
企業が合併したり他社を買収したりする際には、多くの場合、異なるITシステムを統合する必要があります。たとえば、A社がすべてをオンプレミスで運用する一方、B社はすべてをクラウドで運用しているという極端なケースもあります。単に利用しているクラウドプロバイダーが異なる場合もあります。
「どちらか一方を選ぶ」のではなく、ハイブリッド・マルチクラウド戦略を採用すれば、すべてを一からやり直すことなくシステムを統合できるため、この移行段階を円滑に進められます。
6. AIアプリケーションのデプロイを促進
組織は、より深いインサイトを獲得し、イノベーションを活用して効率を最適化するため、かつてない勢いで人工知能(AI)と機械学習(ML)の導入を進めています。しかし、AI自体も急速に進化しています。
ハイブリッド・マルチクラウドのアプローチを活用することで、組織は柔軟性と自由度を高め、新たなトレンドに適応しながら、利用可能な最先端のAIテクノロジーを提供するプロバイダーを選定できます。
AIの台頭も、今日のハイブリッド・マルチクラウド環境の拡大を後押ししています。その主な理由は、AIワークロードは通常、複数の部分に分割され、必要なデータのできるだけ近くにデプロイする必要があるためです。その結果、データはさまざまな環境に分散しており、精度、コスト効率、インサイト、パフォーマンス、セキュリティを最大限に高めるため、組織の80%がパブリッククラウドで、54%がオンプレミスでAIアプリを運用しています。
新たな常態を乗り切る
ハイブリッドマルチクラウド環境は複雑ですが、コスト削減、柔軟性、レジリエンス、高度なテクノロジーへのアクセスといったメリットがあるため、大多数の組織にとって魅力的な選択肢となっています。
適切なアプリケーションセキュリティおよびデリバリーツールは、組織が複雑さを克服し、分散型導入がもたらす多くのメリットを安全に享受するとともに、今後の成長に必要なアーキテクチャを活用できるよう支援します。
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