2024年初頭、F5はF5 AI Data Fabricを発表しました。これは、お客さまのために人工知能の力を活用すべく構築した新しいプラットフォームです。F5 AI Data Fabricにより、F5の製品チームはポートフォリオ全体で生成AIを容易かつ安全に利用できるようになります。AI Data Fabricを活用してポートフォリオ全体でAIの導入を加速することで、パートナーとお客さまに具体的かつ実質的なメリットをもたらします。
本記事は、AI Data Fabricとは何か、どのように機能するのか、そして市場投入を支援している優れたAI対応の新機能について詳しく掘り下げるブログシリーズの第1回です。シリーズの初回では、迅速な導入促進という目標の指針となった基本原則に焦点を当てます。
AIの民主化
AI Data Fabricでは、データサイエンスのバックグラウンドを持たない分野の専門家も含め、製品チームの誰もがAIを利用できるシステムの構築を目指しました。このシステムは、データ処理パイプライン、複数の基盤Transformerモデル、共有モジュールのエコシステム、MLOps、およびソフトウェア開発キット(SDK)を介して公開されるコントロールプレーンを組み合わせたものです。
F5 AI Data Fabricの中核を成すのは、F5によるAIを活用した迅速なイノベーションを支援するために設計された「AIファクトリー」です。優れたAIファクトリーとして、AI Data Fabricは、AIアプリの構築と実行に必要な共通のスケーラブルなインフラストラクチャを提供します。これにより、製品チームは次のようなことが可能になります。
- トレーニングデータの生成とラベル付け
- タスク固有のモデルをトレーニングし、ファインチューニングする
- それらのモデルをパッケージ化し、必要なあらゆる環境にデプロイ
- モデルのパフォーマンスとモデルドリフトを監視
“F5 AI Data Fabricは、その中核を成すAIファクトリーであり、F5がAIを活用して迅速にイノベーションを推進できるよう設計されています。”
お客さまの現状に寄り添う
この取り組みを開始するにあたり、導入を促進するための具体的な設計目標を定めました。ユーザーに働き方の変更を強いるのではなく、現在の働き方に寄り添う必要がありました。そのため、あらゆるデータの検索と接続を支援し、セルフサービスを実現するとともに、モビリティとポータビリティをサポートし、コラボレーションとイノベーションを促進するエコシステムを構築し、大規模言語モデル(LLM)を活用してモデルのトレーニングを加速しました。
データがどこにあっても接続
優れたAIはデータから始まります。F5 AI Data Fabricは、F5のポートフォリオ全体の製品から収集される膨大なデータを基に、インサイトの創出を支援します。大規模にアプリを運用する多くの企業と同様に、データは単一のデータレイクだけでなく、さまざまなストアに分散しているのが現実です。F5は、オンプレミスのほか、パブリッククラウドとプライベートクラウドを含む複数のクラウドに展開されたアプリとデータソースに対応しています。AI Data Fabricは、データがどこにあっても接続し、コンピューティングリソースをデータに関連付けることができます。共通のデータカタログにより、ユーザーは多数のデータソースを容易に把握できます。また、F5のデータガバナンス戦略に沿って、データ資産に対する適切な統制と監査を確保できます。この戦略により、ユーザーの作業方法を変えることなく、複数のデータレイクやデータソースにまたがるさまざまなアプリケーションと製品のデータからインサイトを創出し、データを管理してガバナンスを適用できます。
セルフサービスを実現
ユーザーがデータにコンピューティングリソースを割り当てられるようにするだけでは十分ではありません。利用を促進するには、データサイエンスにおけるユーザージャーニー全体を考慮し、どこで障壁を取り除けるかを検討する必要がありました。
AIアプリのパッケージ化とデプロイは、その好例です。ユーザーの負担を減らすため、複雑な作業の多くをAI Data Fabricが担います。AI Data Fabricは、Pythonの依存関係を管理し、HTTPサーバーを備えたコンテナにAIアプリをパッケージ化して、そのエンドポイントをAPIゲートウェイに設定できます。さらに、必要な場所に応じて適切なGPU、CPU、メモリ要件を指定し、AIアプリをKubernetesにデプロイできます。使いやすいSDKを通じて、モデルのトレーニング、パッケージ化、デプロイを1つの自動化されたワークフローで実行できるのです。このシステムにより、データサイエンティストはAIアプリケーションの新しいバージョンを10~15分でデプロイできます。作業上の障壁を減らすことで、データサイエンティストが本来の専門分野であるデータサイエンスに注力できるよう支援します。
AIの移動性とポータビリティを考慮した構築
これも、お客さまの状況に応じた対応の一例です。ビルドされたすべてのコンテナはAI Data Fabricのコンテナレジストリに保存されるため、エアギャップ環境を含め、必要な場所にAIアプリを自由にデプロイできます。
エコシステムの構築
AIの導入を加速するには、迅速な連携が必要です。先人の成果を活用し、その上に新たな価値を築くことが重要です。AI Data Fabricには、一般的なものから複雑なものまで、さまざまなAI機能を実行するためのツールや構築済みモジュールで構成される「AIエコシステム」が組み込まれています。ユーザーがモジュールやモデルをエコシステムに還元することで、イノベーションを大きく加速できます。モジュールには、構築済みの異常検知モデルや分類モデルのほか、検索拡張生成(RAG)を実行するアプリなどがあります。
LLMを活用してモデルのトレーニングを加速
導入をさらに加速するため、F5はAgentic AIの原則をF5 AI Data Fabricに適用しました。その結果、データについて推論するモデルをトレーニングしてデプロイし、得られたインサイトをAIで推論したうえで、タスクを特定して完了できるシステムを構築しました。つまり、大規模言語モデルを使用してデータを生成し、そのデータを活用して、より小規模なタスク特化型モデルのトレーニングを支援しています。その好例が、トレーニングデータのラベル付けです。これはデータサイエンティストにとって大きな負担ですが、軽減できます。AI Data Fabricはトレーニングデータに接続してその意味を抽出し、抽出した意味をAIで推論してラベル付けタスクを実行した後、ラベル付け済みのデータを別の場所に送信します。
メリット
導入のしやすさを重視することで、製品チームには次のようなメリットがあります。
- 効率性:AI Data Fabricにより、コラボレーション、モデル開発、デプロイを迅速化できます。
- スケーラビリティ:高度に自動化された方法で、数千ものモデルを制御、管理、保守できます。
- リスクの軽減:ベストプラクティスと、データ処理および自社モデルの実行に使用する共通の標準化されたシステムを組み合わせることで、ガバナンスを大幅に強化し、顧客データを保護するとともに、規制遵守の確保に役立ちます。
今後の展望
F5 AI Data Fabricはすでに、AIアシスタント、分類モデルのトレーニング、WebアプリケーションおよびAPI保護(WAAP)のユースケース向けシグネチャ生成など、社内の複数の主要プロジェクトで活用されています。こうした優れた機能は、モデルのトレーニング、ファインチューニング、デプロイ、推論を支えるAI Data Fabricの基盤モデルとサービスによって実現されています。
F5 AI Data Fabricを活用して、お客さまやパートナーに提供できる価値に大きな期待を寄せています。今後も、活用している手法、克服してきた課題、実現を進めている具体的な製品機能について詳しくご紹介します。今後の投稿にご期待ください。
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